コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
4話です!ありがとうございます!
やっと投稿できました……。
遅れてすみません。
この先はまだ最初しか掛けてないので♡のやつ()なしで、、。
佐野めろさん、います。わたしがすきな佐野さんです。
ので(ので?)、今回も楽しんでいただけるとうれしいです。
翌日、仁人の家で過ごすことで大分精神の安定した俺は、マネージャーの送迎で映画撮影の仕事をこなした。
昨日はさすがに風呂は別だった……というか、さすがに一緒に風呂に入るのは考えるだけでも鳥肌モノだから辞めた。
同じ布団で寝るとかは頼んでみようかと思ったけど、なかなかタイミングがなかったのと、いつもの感じでいくとふざけてしまうのがわかっていたので、結局言い出せないまま俺は仁人の敷いた布団で寝た。
なんで俺がベッドじゃないのかって?
そりゃあ、仁人が客人にベッド譲るわけないじゃん。
でも朝は、今日は完全にオフらしい仁人が玄関まで見送りに来てくれて、そのお陰で朝からここ数年でいちばんくらい調子が良く、現場でも褒められた。
そんなこんなで帰りの車の中、帰ったらまた仁人に癒してもらわないとな〜、とベタベタデレデレすることを考えていたそのとき。
マネージャーが発した言葉は残酷だった。
「あ、佐野さん、とりあえず明日から移れる部屋があったそうなので、今日のうちにまた荷造りしといてくださいね。って、さすがに1日じゃそんなに荷物散らかしてないと思いますけど」
「…え?なに、明日仕事行ったら新しい家に帰るってこと?」
「はい、吉田さんにあんまり迷惑かけてもいけないので、急いで探したんですよ。もともと吉田さんの家に行く予定なんてなかったんですし」
そんな、まさか。
そんなに早く終わりが来るとは思わないじゃないか。
いやまあ、グループ仕事でも仁人には会うし、それ以前に連絡を取れば家に遊びに行ったり出かけたりなんてことはできるけど。
仁人と家でゆったりと過ごすあの時間がたのしくて心地いいと知ってしまった今、簡単には手放したくなかった。
マネージャーは自分のために急いでくれたことも、自分が家にいることで仁人の負担になることも当然理解できる。
でも、辛いものは辛い。
仁人ともっと、普通の友だちやメンバーでは許されない距離感で、他愛ない話をたくさんしたかった。
そりゃあ恋人とかそういう特別な関係になったわけではない。
そんな関係になりたいかと言われれば、想像するだけで気持ち悪いオプションがついてくるな、とも思う。
でも少なくともあの時間は、今回の件だけでなく日常のノイズを取り除いてくれるような、そんな特別で尊くて儚いものだった。
だからと言って、仁人といたいから新しい家に引っ越しませんなんて言えるはずもない。
意味がわからないし、勝手な事情のために我を通すなんてこと、大の大人がすることじゃないからだ。
だから結局、承諾と感謝の言葉を返すしかできなかった。
「ただいまー」
本当なら照れながら言ったであろうこの台詞も、いまは自分を傷つけて、んー、なんていう雑な返事が追い討ちをかける。
「勇斗、もう家決まったって?」
「ん、だから明日出るまでに荷物まとめろって言われた」
「そう」
そんな、なんでもない風に言うなよ。
俺がこんなに寂しいのが馬鹿みたいじゃん。
「じゃあ時間ないでしょ、ご飯の準備するから待ってて」
昨日は傷心だったけど、回復した今日もご飯の用意してくれてるとは思ってなかったし。
別に俺だって一人暮らし長い男だから自分のことくらい自分でできる。なのに、なんでそんな、優しさばっか与えられてどうすりゃいいんだよ。
……って、え、なんか豪華じゃない?
いつもインスタで見るあのクオリティどころじゃない。
パーティーみたいなすごい量の料理がどんどんと皿に盛られ、さらにはそれ持ってって、と雑に頼まれる。
「え多くない?なにこれ、クリスマス?」
「今日までなんでしょ?」
は、なにが。
クリスマス?
………ああ、俺がいるのが。
そういうこと?
「俺のためにこんなつくったん?」
「……………笑。1人だとこんな食わんからね。俺も今日の昼くらいに知ったから、そっから食材買ってきて料理して……1時間くらい前までつくってたわ」
「うわまじ?、仁人、ありがと」
「ん、」
返事は素っ気ないけれど視線は照れたように泳いでいて、そんなかっこつけ切れない仁人がかわいくてすきだなあと思う。
あ、これはメンバーとして、というか人間としてね。ほんとに。
そんなことを考えながら大皿を運んでいると、いつの間にか食卓は豪華なパーティー会場のようになっていた。
「これで全部?やっべー、この量。豪華すぎ。え、写真撮っていい?」
「いいけどあなたそれ何に使うの」
撮影しようと高くスマホを掲げる俺に、既に着席した仁人が言う。
「え?ストーリー載せようかなって」
「ぇえ、!それはやめようよ、」
「なんで!俺だってじんとくんがこんな豪華な料理俺のためだけにつくってくれたんだよって自慢したいのにそういう俺の気持ちを無視するんですか、そうやってじんとくんは俺がうれしい気持ちをファンのみんなと共有したいって思ってるのを止めるんですか」
早口で、ちょっとふざけて責める俺とは反対に、静かなトーンに上目遣いを使って仁人は言った。
「……そんなにうれしいなら、俺だけにおしえてくれればいいのに」
「、ッえ」
「俺ははやとのためにつくったんだから、はやとにしか見せたくない。だからはやとも、俺にだけ、感想おしえて」
う、わ。
思わず手で口元を覆う。
かわいすぎる。
これ、独占欲的なこと?だよね、?
なるほど……たしかに俺も、仁人がこんなに豪華な料理つくるのは俺だけがいい。
なんならその表情も、その感情も、俺にしか向けないでほしい。
「そっ…か、なんか、たぶん俺もいま同じ気持ちだわ。ごめん、じんちゃん。ストーリーは載せない。絶対。だから、その表情すんのも俺の前だけにして」
「っ//、どんなかお………」
とぼけるように目を逸らす仁人の頬を掴んで無理やり俺の方を向かせて、視線を絡ませて、その焦ったような表情に口角が上がる。
それから耳元で、しっかりと響くように低い声で言う。
「俺だけでいいって表情」
「………ッぁ//」
いつもの、肩を小さくして首を出す動き。
瞬間、こいつの頭の中は俺だけだ。
手に取るように解り、独占欲が満たされる。
「、っふは、じーんちゃん、食べよ。俺もう腹減っちゃった!」
「う、ん」
その後は特になんともなく食事をした。
これなに入ってんのー?とか、こんど佐野飯てできっかなーとか。そんな他愛のない話をして、お腹いっぱいまで夕食を味わった。
完食できるはずもなく、全種類食べるので精一杯だったその残りは、俺が明日からの家で食べられるようにとタッパーに入れてくれるらしい。
最早ママだな。仁人ママ。
ただでさえ時間の掛かったであろう料理をタッパーに詰めさせると言い出したときは、早く仁人を休ませてあげたいと反対したが、さすがに他人の家タッパーは難しく、甘えることにした。
それに、はやとのためにつくったからはやとが全部食べて、と言われると持って行かないなどできるわけがない。
だから、皿は後で洗うから!とだけ告げてとりあえず風呂に入った。