『翔太には、次の相手がちゃんと居た…立ち止まったままなのは、俺だけだったのか…』
心の中に渦巻く嫉妬心…
自分のしてしまった事を、今更になって後悔する…
岩本の反応から見て、2人が付き合っているのは間違いない
渡辺と別れて、仕事だけに集中していた宮舘は
最近、心から笑えていない自分に気がついた…
勿論、仕事では割り切って笑えていたものの
プライベートでは、何をしていても楽しくない…
『翔太に会いたい…』
居なくなってから気づく大切な存在…
趣味の料理を作ると、美味しそうに食べてくれたり
仕事で上手くいかなかった時には、横に座ってただ話を聞いてくれた…
仕事が忙しくなって、一番大切な存在を切り捨ててしまった自分に
渡辺は、今何を思っているのだろうか…
『それでも俺は、翔太に気持ちを伝えたい…そして出来る事ならもう一度…』
宮舘は、諦めきれない自分の思いに踏ん切りを付ける為
渡辺に連絡すべくスマホを取り出し、打ち始めた…
◇◆◇◆
「翔太…行くの?」
岩本の家の玄関で、座って靴紐を結び直していると
声の主が…そう言いながら背中に乗って来た
「重いって…」
「ねぇ、本当に行くの?」
あの日、2人で話し合っている時に渡辺のスマホを鳴らしたのは
宮舘からの、自宅での食事の誘いだった…
「もう行くって答えちゃったし…。涼太とも、もう一度…しっかり話しておきたいから…」
大きな身体を押し戻し、立ち上がった渡辺は岩本の方を振り向き
「ちゃんと、ここに戻って来るから…」
情けない顔をしている、この家の主人に声を掛ける
「分かった…待ってる…」
普段、リーダーとしてグループを引っ張っているイメージとは程遠い
捨てられた子犬の様な顔つきに、思わず笑ってしまう
「ねぇ、何で笑うの?」
「良いから、照は大人しく待ってろよ」
このままここに居ると…自分も一緒に行くと言い出しかねないと
渡辺は、会話もそこそこにして部屋を出た
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