「いらっしゃい」
笑顔で迎えてくれる宮舘
「おじゃまします…」
久しぶりに来た、この宮舘の部屋
別れ話をして以来…もう2度と、ここには来れないと思っていた…
相変わらず何処もかしこもキッチリと整頓され、お洒落な家具が主人のセンスの良さを教えてくれる
「そんなにジックリ見ないでよ…翔太が良く来てくれてた頃と、そんなに変わってないと思うんだけど…」
「あぁ、ごめん…」
キョロキョロと見回していた事に気付き、慌てて視線を宮舘に戻す
「翔太、お腹空いてる?」
「うん。ここでご馳走になるって分かってたから…昼から何も食べてないし」
「そうなんだ、嬉しい。翔太の好きそうなモノ作ったんだけど…作りすぎちゃって」
そう言いながら、食卓を見る…
「……これは、また」
そこには、たくさんの美味しそうな料理が並んでいた
「久しぶりに食べてもらうから、張り切って作り過ぎちゃって…あっ!全部、無理に食べなくても良いからね。もし良かったら翔太、料理しないから…明日のご飯に持って帰ってもらっても全然大丈夫だし」
『手料理なんて持ち帰ったら…【アイツ】が、何か言い出しそう…』
家で待つ、嫉妬心強めな大型犬を思い出して苦笑いする…
「ほら、ここ座って」
すでに取り皿と箸が用意されていて
「わぁ〜美味しそう」
素直に見た目の感想を言うと、嬉しそうに微笑む宮舘
「ご飯も食べる?」
「うん」
どれもこれも、絶対ご飯に合うであろう逸品ばかり
「はい、どうぞ」
差し出された、お茶碗を手に取って見ると…
「これ…」
それは以前、2人が付き合っていた際に愛用していたモノだった…
「そう、翔太のお茶碗」
「捨てて無かったんだ…」
別れた時に、もう必要ないからと捨てられたとばかり思っていた
「これは、俺の大切なモノだから…また日の目が見れて嬉しいよ」
しばらく使っていなかったのに、確かに手入れがされている
「……俺、あの…」
何故か気まずい空気を感じて、渡辺が慌てて声を出そうとすると…
「ほら、話は後で…。料理冷めちゃうから、先に食べよ」
そう笑顔で促され…
渡辺は、それに従った
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