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ケンは、1人どうしようか悩んでいた。
「ケン・・・」
ヨシはいつもの草原に1人立ち、弓を引いた。
弓は、的の真ん中へと刺さった。
「今日も、調子いいな」
風がひと吹きした。
何故か嫌な予感がする・・・・・。
「ミュウ!」
「あっ!ミュウ、待てよ!」
突然走り出したミュウ。
「危ない!!ミュウ!!」
空から爆弾のようなものが降ってきた!
彼は、ミュウを守ろうとしてその爆弾で大ケガをしてしまった。
「・・・・っつ・・・・」
動けないヨシ・・・。
(俺はこのまま死ぬのかな・・・)
「ミュウ!ミュウ!」
ミュウは、鳴いている。
「・・・大丈夫だ・・・ミュウ・・・お前は・・・逃げるんだ・・・・・」
そのまま意識を失ってしまったヨシだった。
「ミュウ!ミュウ!」
ミュウは、泣き叫んだ。まるで誰かを呼ぶように・・・・。
「あの?大丈夫ですか?」
気を失う彼を、起こそうとしている少女がいた。ミュウの鳴き声を、聞いたのだろうか?
「ひどい怪我・・・。君のご主人様?」
「ミュウ!」
まるで言葉がわかるかのように、答えるミュウ。
彼女は、光の国の王女【レイナ】だった。
「彼は風の国の者?」
彼の衣服の紋章を見てすぐにわかった。だが、彼女は戸惑っていた。
「・・・彼を助けたら・・・・」
一体どういうことになるのだろう。
きっと処刑されるだろう。でも、これは人助けだ。そう思ったレイナは迷わず彼を馬に乗せ、一緒に走り出した。
ある町に、2人の若者が食べ物の買い出しをしている。
「ちょっと、兄さん・・・、買いすぎだよ」
「いいんだよ!これくらい買わなきゃ、戦には勝てないだろ?魔物がうろついてるんだから」
「・・・ったく・・兄さんってば」
彼らの名前は、【ゴウ(兄)】と、【ジュン|(弟)】兄弟に見えるが実は血の繋がりはない。ゴウの国に迷い込んだジュンを、ゴウの家族が受け入れ、兄弟のように育ち、同じ使命を受けたのだ。
そして、たった二人きりで旅を続けているのだった。
「兄さん、あの方・・・もしかしたら探している人かも・・・」
「えっ?」
兄さんは、パンを口にくわえながら別方向へ向いている。
「・・・・・」
「ちょっと、兄さん?聞いてる?」
「・・・・ジュン、感じないか?」
「えっ?何を?」
「魔物の気配だよ」
「・・・・別に・・・」
「まだまだ未熟だな、お前も・・・」
「・・・わ、悪かったね」
「・・・・試してみるか・・・・」
ゴウは小石を拾うと、念力を貯めて気配のする場所へ投げた。
すると?
「うぎゃぁぁぁぁああああ」
「な、なに?いまの」
呻き声と共に出てきたのは・・・・
「げっ、本物!」
驚くジュンに対してゴウは何故か冷静である。
「まぁ、要するにこいつが土の中に潜んでいたって訳」「・・・さすが兄さん」
【お前か?我が眠りを妨げたのは・・・・】
「お前こそ、この村を狙っていたんだろ?」
ゴウは、また石に念力を貯めている。
その魔物は、は向かおうとしている。
「みなさん、逃げて!早く!」
その様子を見ていたのは・・・【ヒロ】
「・・・少年たち・・・。私も手助けいたします!」
「・・・兄さん・・・・」
「行くぜ!」
ゴウ、ヒロ、ジュンは三方向へ行き、魔物の目を晦ますために散らばった。
【・・・ククク(。-∀-)ニヤリ無駄だ】
「無駄かどうかは、俺たちの力を見てからにしな!」
ゴウは、剣を抜くとその魔物を一突きで刺した!!
【グァァァァ】
「なんだよ、弱いじゃん」
【お、覚えていろよォーー】
その魔物は倒れ、消えていった。
「・・・ヒロ様!今のは・・・」
村人たちは、その男に話しかけていた。
ん?ヒロ様?
「恐らくこの世に甦った魔物の手下であろう」
その、ヒロ様と呼ばれた男は淡々と答え、ゴウとジュンの方へ向く。
「そなたたちのおかげだ。助かった。礼を言う」と、ヒロは2人に頭を下げた。
「ヒロ様!あなたがヒロ様」
ジュンは、膝まづいた。
「えっ?」
「ヒロ様、私と兄は今のように魔物を退治する旅をしております。途中、氷村の【ヒロ様】に会えと言われて参りました」
「そなたたちは、もしや大地の国から参られたのか?文は届いている。よく来たな」
「・・・・名乗ってませんでしたね。俺の名は【ゴウ】。で、こいつは・・・」
「弟のジュンです。と、言っても兄さんとは血の繋がりはありませんが・・・」
「ここでは話できないこともある。私の家に来なさい。疲れているでしょうから」
「・・・・全然疲れてないぜ?」
息が上がってないように見えるが・・・・。
「そうですか?さっきの力でだいぶ体力使ったみたいですね。もしももう一度使ったら倒れてしまいますよ?こういう時こそ、休息は必要です」
「わかったよ」
素直に応じたゴウ。
「お世話になります。ヒロ様」
この3人の出会いは、偶然ではない。
そして、あとの3人も旅をしながら出会っていくことになるのでした。
「父さん、今なんて?」
「お前は旅に出ろ」
「もしかして、魔物の封印を解かれたのと、この国が関係するのですか?」
「お前には、魔物を封印する使命がある」
「えっ?俺が?」
「はるか昔に約束したんだ。ちょうどお前くらいの年だったかな。」
「誰と・・・・」
「とにかく、旅立つ準備をしなさい。あと・・・・」
「えっ?」
「その前にやるべきことがまだ、お前にはあるはずだ」
「やるべきこと?」
「・・・・ナミは知っておるみたいだぞ?お前が旅に出ることを・・・」
「父上、話したのですか?」
「・・・どうやら聞かれてしまったらしい」「・・・・・・・」
「いいから、早く行きなさい」
「・・・・はい。では・・・」
お言葉に甘えて・・・
ナミのやつそれであんなことを・・・・・。
でも、それなら自分の気持ちを話せるチャンスだと思った。
「えっ?キョウカ?」
「ケンが私に話があるって聞いたの」
「えっ?僕は別に今は」
呼んでないはず・・・。
「何?愛の告白するんじゃないの?」
2人を合わせたのは紛れもなくサキ。実はサキは、ケンに思いを寄せていたのだが・・・。ケンがキョウカしか見ていないことに気がつき、応援しようとしていたのだ。奥手なふたりが焦れったくてつい、せわをやきたくなるのだ。
「・・・ケン、もしかしてあのことを話すの?」
「サキ!なんで知ってるんだよ!」
「えっ?なんのこと?」キョウカが聞いてくる。
「あのね?ケンのやつ、キョウカのために男を磨きに旅に行くんだってさ」
「私のためなの?」
「あっいや・・・キョウカのためだけじゃないよ?平和のためとか・・・自分のためとか・・・。いつ帰れるか分からないけど・・・・」
「そんな危険な旅なのに?まさか、1人で?」
「・・・いや、途中仲間を探すよ。父さんたちと目的は一緒かな」
「・・・・」
泣きそうな顔のキョウカ。昨日見た夢と同じだ。「・・・キョウカ、僕は・・・・」とキョウカと見つめあっていると、
「・・・そういうことは、2人きりの時にした方がいいみたいだよ?」
いつの間にか周りに村の子供たちが集まっている。
「ねぇねぇ?ケン兄ちゃん。どっか行くの?」
「そのあとどうするの??」
「わかった!キスだァ」
口々に言う子供たち。
「こら!早く帰らないとお化けがでるぞ? 」と、僕は子供たちを追いかけた。
「(笑)どっちが子供なんだか」
サキがぼそっと呟いた。
「・・・・・・」
無言のままのキョウカ。
「大丈夫。ケンは帰ってくるよ」
「サキは・・・」
「えっ?」
「サキもケンのこと好きだよね」
「私は別に・・・」
「隠さなくてもいいわよ。あなたがケンを見る目は、恋する女の子だもの。」
「2人を応援しようと思っていたのに・・・(。>﹏<。) 決意したのに・・・」
「・・・えっ?サキ・・・」
「だって、お互い惹かれあってるのに、あんた達は奥手だから・・・焦れったいよ・・・」
サキが泣き始めた。
「サキ・・・ごめんね」
「謝らないでよ・・・」
僕はと言うと・・・2人が見守る中子供たちとじゃれ合っていた。
この時間が長く続けばいいのに・・・。
その頃ヨシは、目を覚ました。
(天井・・・・?確か俺は、爆発に巻き込まれて・・・・ミュウを助けようとして・・・・・)
「ミュウ!」「ミュウ?」
俺は勢いよく飛び起きた。
「・・・・・っ」
体に痛みが走った。
「ちょっと!急に起きないでよ。ビックリするわ」「・・っつ。君は・・・?」
肩に激痛が走り・・・
「ミュウとは、この子のこと?」
「えっ?」
話しかけられて、初めてその人の顔を見た。「・・・・・!?」
「なによ、その顔は」
「お、お前・・・女か?」幻か?
「女だよ?あなたを助けた」
「助けた?ここはどこだ?俺、帰らなきゃ・・・・」
「まだ、ダメよ。あなたは大怪我してるし・・・」「いや、でも・・・・」
「ほら、この子も心配してる」
「・・・・ミュウ、良かった・・・・」
俺は、ミュウを抱きしめた。
「その子は、かすり傷だったよ。ご主人様のこと、ずっと呼んでいたよ?」
「・・・・ミュウって言うんだ。俺がつけた。ミュウミュウ鳴いてるから」
「ふふっ、そうだと思った」
「森に帰そうとしたら、懐いちゃって」
「そう。ご主人様が好きなんだね」
「って、見ず知らずのあんたになにはなしてるんだろう・・・」
うかつだった。
「2、3日は、休んだ方がいい。」
「そんなこと出来ないよ」
「あら?女の子が嫌いなのかしら」
「別に・・・・」
「その怪我では、しばらく弓を射ることも出来ないと思う」
「・・・・・」
「・・・あと、お腹すいたらでいいから食べて?じゃあわたしは任務があるから」
「なんで助けた」ヨシは聞いた。
「えっ?なんでって・・・・」
「俺は、ミュウが助かればそれで良かった。なんでほおっておかなかった!」
「変な人・・・。そんな人初めて・・・・」
「この国に平和が戻ればミュウのような動物でも生きていける」
「いいから今は、休みなさいよ。熱で朦朧としているだけよ」
「でも、俺は・・・・・」
「元気になったら、聞いてあげる。おやすみ」
「あっ!ちょっと・・・・」
彼女は部屋を出て行ってしまった。
なんで話す気になったのだろう。
なぜ、話せたんだろう・・・・。
だが俺はそれから深い眠りについたのだった。