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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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俺が8月末に死ぬかも、ということを伝えたいのは、あと、おっくん。おばあちゃんには伝えたくない、俺のわがままだけど。おばあちゃんがショックを受ける姿を見たくないし、事情が込み入りすぎて説明してもわかってもらえないと思うし。でも、おばあちゃんを残して逝くかもしれない時に、フォローも何もなしはダメだ。おばあちゃんとのリモート面会予定を早めに入れてもらって、その時栗田さんにも会わせてもらって、何があってもおばあちゃんをよろしくお願いします、は言っとこう。
おばあちゃんのいる老人ホームに連絡して面会予定を入れ、おっくんに「大事な話があるから、週末に会えない? 千歳にはこれ全部秘密にしてね」とLINEして、OKの返事をもらった。あとは……普通の暮らしをするだけだ。千歳を騙し切るために、普通の暮らしを。
グリーンライトの仕事はたくさんあったし、仕事に集中してれば余計なこと考えなくて済む。俺はしばらく仕事に没頭した。
『おい、昼飯だぞ』の声がかかって、俺は仕事に没頭しすぎていたことに気づいた。
いつもは時間までに仕事済ませて、俺が麦茶やコップや箸を並べてるんだけど、今日は千歳がやってくれていた。
「ごめん、コップとかやってもらっちゃって」
『いいって、仕事大変なんだろ』
薬味たっぷりとゆで鶏が乗ったざるそばを食べながら、二人でなんでもないことを話した。
『最近、朝でも暑すぎて散歩できないだろ? 大丈夫か?』
「家でなんか代わりの運動でもするよ」
そうだ、散歩どころじゃなくなってたけど、その辺もボロを出さないようにちゃんとやらなきゃ。
「おばあちゃんに送る花の写真は撮れないけど、またリモート面会予約入れたからそれで勘弁してもらう」
『まあ、お前の顔見れるのが一番喜ぶだろ』
「そうだね」
……おばあちゃんが、俺の顔を見たほうが喜ぶのはその通りだと思う。でも、もうすぐ、二度と顔を見せられなくなってしまう。ごめん、おばあちゃん、本当にごめんなさい……。
俺は、努めて顔に動揺を出さないようにして、週末の予定を話した。
「あと、おっくんと週末ちょっと遊ぶことになった。まだ細かい時間決まってないけど」
『ふーん、夜でも外暑いから気をつけろよ』
「うん、ありがとう」
千歳は何も気づいてない。このままやれればいい、このまま走りきれればいい。
8月の、末まで。
コメント
1件
うわあ……この静かな諦念と、それでも気丈に振る舞おうとする姿勢が沁みますね。「普通の暮らしを」という繰り返しが、逆に普通じゃない現実を浮き彫りにしていて切なかったです。おばあちゃんに「二度と顔を見せられなくなる」と心の中で謝るシーン、ざるそばを食べる何気ない日常の描写が、かえって胸に刺さりました。千歳さんが何も気づいてないまま「気をつけろよ」って言う優しさもまた……。8月の末まで、どうか走り切ってほしい。続きがすごく気になります。