テラーノベル
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境内を取り囲む観客ギャラリー席では観客達が湧きに沸いていた
「おおっ!あの勇ましいのは誰じゃ!」
「今年の西の花棒担ぎはすごいの!」
「山田旅館の婿さんじゃ!」
「でかいのう!体格が違う!」
「なんでも韓国人らしいぞ!」
「あの荒くれ者しかおらん東の青年団に、真っ向から挑んどるぞ!」
観客の興奮が、波のように広がっていく。
キャー――!
「ジンさんすごい、すごい!」
「ジンさーーーん!」
「さっちゃんのお婿さん凄いね!」
「自慢のお婿さんねーーー」
ギャラリーの興奮が、境内全体を包みこみ、女性達の黄色い声援がひときわ大きく響いた
提灯の灯りが激しく揺れ、太鼓の音が一層激しくなる。観客の拍手と歓声が、リズムを刻む
「うおおおおおお!」
喧嘩祭りの男衆の雄叫びが、淡路の青空に響き渡る、ジンの筋肉が悲鳴を上げている、骨が軋んでいる、肺が焼けるように痛い。心臓が破裂しそうだ、それでもやめなかった
そして東の青年団の神輿が、少しずつ後退し始めた、信じられない光景だった、あの東の荒くれ者たちが、押されている
「くそっ!ヤルな!ジンさん!」
政宗が歯噛みする、その顔には悔しさと、それでいて嬉しさが混ざっていた、強い相手と戦える喜び——それが、政宗の表情に滲んでいた
屋台の上から政宗も叫んだ、もはや敵も味方もない、ただ、男同士の戦いを讃える声だった
「花棒担ぎがこんだけ頑張っとるんや!全員踏ん張れ!!西の底意地見せんかいっっ!」
誠一郎の号令が響き、全員がジンに合わせて、押す、押す、押す、激しいぶつかり合いの元、ジンの勢いは止まらない
「うおおおおおおおお!」
もう一度、渾身の力で神輿同士をぶつけ合う、もう一度!視界が白く染まる、もう何も考えられない。ただ、押す
そして——
ドカー―――ン!バリバリバリ
辺りにとんでもない重低音が響き、東の青年団の神輿がなんと音をたててパッカリ二つに割れて大破した
巨大な神輿が、まるでスローモーションのように、ゆっくりと崩れていく、担ぎ棒が折れ、屋根が傾ぎ、装飾が宙を舞う、東の担ぎ手達がバランスを崩し、神輿と共に次々と吹っ飛んでいく、政宗も宙に飛ばされた
「やったああああああ!」
「キャーーーーーーー!!」
桜率いる山田旅館のギャラリーから、爆発的な歓声が上がった、観客席も、総立ちで拍手と歓声を送る
「すげえ!」
「いけ!いけ!いけ!このまま宮入りじゃ!」
「進め!進め!」
「山田の婿さん、半端ないわ!」
「ええぞ!韓国人、やるやないか!」
拍手と歓声が、ホイッスルに怒涛の太鼓がまるで嵐のように境内を包んだ、ジンは荒い息を吐きながら、後方の政宗を見た、東の青年団達と一緒に、政宗は大の字になって地面に倒れて伸びていた、目はナルトのように渦を巻いている
そしてそのまま怒涛の様に西のみんなで神輿を担ぎ、見事神聖な境内の地を踏んだ
境内放送では『今年は西が勝利を収めた』と鳴り響き、会場中が拍手喝采だ
夏の太陽がさらに高く昇っていく・・蝉の声が祭りの喧騒に混ざり合った
.。 .:・.。.
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淡路島の空は、どこまでも青く・・・澄み渡り
高台の社の奥深く、人の目には見えない場所で、荒神様が群集を静かに見下ろしていた
何百年、何千年と、この島を見守り続けてきた神
人々の祈りを受け、厄を祓い、福を招き続けてきた存在・・・その荒神様が、今年の祭りを、じっと見つめて言った
.。 .:・.。.
ホッホッホッ
「よきかな・・・よきかな・・・・」
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コメント
2件
男達の熱い戦いに感動✨✨ 勝ったのは西軍だけど、東軍も含めて、全員が本気でぶつかり合った最高の祭りでした‼️ ジンさんお疲れさまでした👏
うわぁ😭圧巻✨️✨️ 臨場感にあふれ興奮で胸が震える文章でした! 手加減せずにぶつかり合った男たちに拍手👏👏👏 ジンさん素晴らしい!!! おばちゃん泣いてしまったよ😭 政宗も安心してね😌桜ちゃんきっと幸せになるから!