早朝、目が覚めた時、体が重かった。熱っぽくて、声が少し濁っていた。窓の外はまだ薄暗くて、冬の冷たい空気が部屋に漂っている気がする。パンダがブランコで遊んでる音が聞こえるけど、起き上がる気力はない。
「風邪アルか…我としたことが」
そう呟いて、スマホを手に取った。まずロシアに連絡しよう、もともと予定もあったし、アイツなら何かあった時すぐ来てくれる。メッセージを打つ指が少し震えてたけど、なんとか送信できた。
「風邪をひいたアル」
すぐに返事が来た。
『風邪?お前の家、別に経済には問題なかっただろ?』
クスッと笑ってしまった。うちの経済も知ってくれているとは。確かに国としての不調ならもっと大事だけど、今はただの風邪だ。
「今回は国としてじゃなくてヒトとしての風邪アル」
そう返事を打つと、またすぐに既読がついた。風邪の原因は最近また寒くなってきたからだとかだろうか。季節による気候の変化はすごいものだ。
『お前、今家でヒトリか?マカオらは?』
ロシアからのメッセージだ。少し考えて返事を打つ。
「マカオはポルトガル、香港はイギリスのところに昨日から泊まってるアル。家にいるのは我とパンダぐらいアル」
そういえば、香港とマカオにも連絡しておこう。風邪ぐらいで騒がれたくないけど、黙ってると後で文句を言われる。まずは香港にメッセージを打つ。
『香港、我、風邪をひいたアル。たいしたことないから心配しないでいいアルよ』
次にマカオだ。
『マカオ、我風邪ひいたから少し休むアル。軽いのだから大丈夫アルからな』
フタリから返事が来る前に、ロシアからまたメッセージが届いた。
『なら、今からお前ん家行くから食いたいもんかなんかあれば言え』
その言葉に、胸が少し温かくなった。アイツ、こういう時頼りになる。
「それなら…蜜柑とリンゴ欲しいアル」
単純なリクエストだけど、アイツならなにか料理を作ってくれるかもしれない。
送るとすぐに返事が来た。
「分かった。買ってから行く」
『謝謝』
スマホを置いて、ソファに体を沈めた。
今日はロシアと外で飯を食べる約束があったのに。
楽しみにしてたことが一つ無くなって素直に凹む。
横になっていると眠気が襲ってきて、目を閉じそうになった時、ロシアの顔が浮かんだ。あの日、我が作った料理を美味しそうに頬張るロシアの顔を可愛いと思ってしまって…
あの日から自分がロシアに恋心を抱いていることを悟った。ロシアからも好意は感じるけど、恋心かどうかは分からないから、時々試したくなってしまう。
そういえば朝起きてから飲み物を飲んでいない。
水でも飲もうかと立ち上がったけど、頭がクラッとしてスマホを手に持ったまま床に崩れ落ちた。
ヤバいな…と思った瞬間、意識が遠のいた。
目が覚めた時、誰かが我を呼ぶ声が聞こえた。
「中国!」
聞き慣れた低い声。ロシアだ。ぼんやりした視界の中で、アイツが我をソファに寝かせてブランケットをかけてくれた。少し安心したけど、ロシアの気配が近くて落ち着かない。
温かい水を飲ませてくれるロシアの手が唇の近くにあるのが気になって、視線を逸らした。庭のパンダがブランコで遊んでるのが見えて、少しホッとする。
ロシアがコンポタージュを温めて持ってきてくれた時、缶を受け取る手が震えたけど、なんとか飲めた。
「謝謝。ありがとアル」
かすれた声で礼を言うと、ロシアが顔を背けた。アイツ、慌ててるみたいだ。我の気持ちに気づいてるのアルか…?
…そんなわけないか。熱のせいで頭が変になってるだけかもしれない。
コンポタージュを飲みながら、ロシアをチラッと見る。我が缶に口をつける度にアイツがキッチンに目を逸らしてる。
…待てよ、この缶、もしかしてロシアが飲んだ後…?
――つまり、間接キス…?
我の中で何かが弾けて、顔が熱くなった。風邪の熱じゃない、別の熱だ。
顔…多分赤くなってるアルよな…?ば、バレないようにしないと…
「…温かいうちに、ちゃんと飲めよ。冷めたら意味ないからな」
ロシアの声が少し上ずってる気がして、クスッと笑いそうになった。アイツ、無自覚に我をドキドキさせてるアル。罪な男アルネ〜…
缶を半分飲み終えて、ロシアを見上げた。
「謝謝。ありがとアル」
「別に礼なんていらねぇよ」
アイツが立ち上がって缶を受け取った。指が触れた瞬間、ロシアの顔が熱っぽくなった気がする。我の気持ち、気づいてるアルかな…。まだまだ先が長そうアル
「なぁ、中国」
ロシアが呼びかけてきた。我は目を閉じたまま小さく返す。
「怎么了?」
「早く元気になれよ。飯の約束、果たせないままじゃ嫌だしな」
その真剣な声に、心がざわついた。少し目を開けてロシアを見ると、アイツは窓の方を見てる。我はかすかに笑って答えた。
「お前は我ん家の料理大好きアルからな〜…」
「早く治して一緒に行こうアル」
「謝謝」
ああ、ロシアの優しさが我の気持ちを高ぶらせる。アイツが窓を見てる隙に、我はブランケットにくるまって目を閉じた。早く治さないとな。ロシアとまた笑い合いたい。そう思いながらふっと意識を手放す。
我はブランケットにくるまって目を覚ました。少し寝てしまっていたみたいだ。喉がガラガラで、鼻が詰まってて、体がだるい。熱っぽさは少し落ち着いたけど、まだ本調子じゃない。でも、何より、隣にいるアイツの存在が頭から離れない。
「早上好…お腹すいたアル」
声をかすれさせながら呟くと、ロシアがこっちをチラッと見てくる。その視線にドキッとして、我は慌てて目を逸らした。風邪で弱ってるのに、お腹が空いたって言ったのは、アイツの気を引きたかっただけかもしれない。はたまた、こんな我をロシアがどんな顔で見るのか、どんな言葉をかけてくれるのか、ちょっと試したくなったのかもしれない。
「さっきコンポタージュ飲んだのに腹減ったのか?…まぁ、コンポタージュだけじゃ足りないか」
正直関節キスに気を取られてコンポタージュがお腹に入った気がしないというのが本音だ。飲んだっけ。缶を口に当ててただけな気がする。まあ、半分は減ってたから飲んではいたんだろうけど。
「リンゴの甘煮と焼き蜜柑作るヨロシ」
我がリクエストすると、ロシアは「はいはい」と言いながら立ち上がってキッチンへ向かう。その背中を見ながら、我はブランケットの中で小さく笑った。アイツ、我のために動いてくれる。風邪で弱ってるって分かってるからか、いつもより優しい気がして、つい甘えたくなる。
キッチンから甘い匂いが漂ってきて、我はソファでアイツの上着のファーをいじりながら待つ。ロシアの匂いがするこの上着に触れてると、風邪の辛さが少し和らいで、落ち着くんだ。…でも、同時に胸がざわざわしてくる。アイツが我のこと、どう思ってるのか分からないから。優しくしてくれるけど、それが恋なのかただの気遣いなのか、はっきりしない。試してみたくなるのは、そのせいだ。
「ほら、食えよ。お前ほど料理は上手くないがな」
トレーを持って戻ってきたロシアがそう言って、我の前に焼き蜜柑とリンゴの甘煮、それにミルクのマグを置く。我はブランケットから手を伸ばして、思わず目を大きくした。
「看起来很好吃!謝謝!」
本気で嬉しくて、声が弾む。焼き蜜柑を手に持って小さくかじると、熱々の果肉が口に広がって、風邪で鈍った舌にもしっかり甘さが染みる。いつももっと食べるから、アイツが見てる前でちまちま食べるのがちょっと恥ずかしいけど…その視線が温かくて、たまらない。
「親父にこれ入れてもらって風邪治してたからな。ちゃんと食って元気出せよ」
ロシアがそう言うのを聞いて、我はミルクを手に持つ。熱々のミルクに蜂蜜が溶け込んでて、喉に優しくて、胸がじんわりする。アイツが我のためにこんなことしてくれるなんて…やっぱり、ただの優しさじゃないアルよな? そう思いたいのに、アイツは自分の気持ちに気づいてないみたいで、もどかしい。まあ、そもそもただの友情かもしれないけど
「好渇」
呟きながらミルクを飲むと、ロシアがこっちを見て少しホッとしたような顔をする。その表情に、我まで安心してしまって、胸がまたキュッとなる。焼き蜜柑を2切れとリンゴの甘煮を半分くらい食べて、ミルクを全部飲み干したところで、急に眠気が襲ってきた。
「…..很饱、満腹アル…」
ブランケットにくるまりながら呟くと、目が勝手に閉じてくる。風邪のせいか、アイツの優しさが温かすぎるせいか、体がふわっと軽くなって、そのまま眠りに落ちた。
目が覚めたとき、部屋は静かで、ロシアが机の横に座り込んでこっちを見てるのに気づいた。寝てる間に熱が引いたのか、顔が楽になってる。…でも、アイツの視線に気づいた瞬間、また心臓が跳ねた。
「早く治れよ、アイツ」
ロシアの独り言みたいな呟きが耳に入って、我は寝たふりをしながら胸が熱くなるのを感じた。アイツ、我のこと心配してくれてる。それだけで嬉しいのに、もっと欲しいって思ってしまう。アイツの気持ちが恋なのか知りたいから、また試したくなる。
ソファの上でブランケットとロシアの上着にくるまりながら、我は小さく息をつく。風邪が治ったら、次はどうやってアイツの気持ちを引き出そうか。
…我の恋心、アイツに気づいてほしいアル
真っ暗な森の中で我一人で歩いている。冷たい霧が足元に絡みつき、遠くから黒い影がじりじりと近づいてくるのが見える。人かと思ったが、違う。
「いやアル…怖いアル…」
逃げようとしても足が地面に根を張ったみたいに動かない。もたもたしているうちに誰かの声が低く響いてきた。
「裏切り者…お前は一人になる…」って。
顔の見えない影がどんどん迫ってきて、手が届きそうになった瞬間、心臓が締め付けられるくらい怖くて、叫ぼうとしても喉が詰まって声が出なかった。
──たすけて
「中国、起きろよ。大丈夫か?」
我はびくっと目を覚ましてロシアを見上げた。アイツのぶっきらぼうな声が届いて、悪夢から解放された。
「你好?…夢、悪い夢アル…」
「悪夢か。…まあ、寝すぎるとそういうこともあるだろ。もう夕方だしな」
そうやって心配してくれる。ほんと、優しいアルね…
夕焼けの橙色の光が窓から差し込んでいる。その暖色とは相反して…
「…寒いアル」
熱と悪夢のせいで体が勝手に震える。さながら震源地だ。
…いや、そこまで震えてないか
「暖房つけるか?」
「お願いアル」
我がブランケットに顔を埋めて呟くと、ロシアが立ち上がって暖房のスイッチを探してくれた。
暖房が効いてきて、我はブランケットから顔を少し出して、目を閉じたまま小さく息をついた。
「….. 舒服、気持ちいいアル…」
我はソファに横たわったまま目を閉じてた。暖房のおかげで部屋が温かくなり、さっきの悪夢の影が薄れてる。
「熱が下がってきたなら、もう少し寝とけよ」
「ん…」
小さく唸って、ブランケットの中で体を動かした。目がゆっくり開いて、ロシアの方をぼんやり見つめる。まだ熱の症状はあるが、さっきよりは全然マシだった。
「…ロシア?まだいるアルか?」
我が起き上がろうとするのを、ロシアが慌てて手で制した。アイツの声が少し強めで、我をソファに押し戻した。
我は抵抗せず、ブランケットにくるまったままロシアを見上げた。ロシアの優しさが、ぶっきらぼうな態度越しに伝わってくる。
「おい、動くなよ。熱下がったばかりなんだから寝とけって言っただろ」
「…でも、気持ち悪いアル。汗かいてベタベタするアル」
我はブランケットを少しずらして、自分の腕をこすりながら呟いた。暖房で部屋が温かくなりすぎて汗が滲んでる
「そうか…」
「じゃあ、水でも飲むか?それとも…シャワーするか?」
シャワーか…
そうだ、我ちょっと無防備な姿を見せて、ロシアをドキドキさせてやるアル!
熱でぼーっとしてる今なら、自然に隙を見せてもおかしくないし、アイツの反応見て楽しむのも悪くない。
余裕アル!ロシアの顔が赤くなるの、見てやるアル!
その為には自然に演技をしないといけない。その為にはまずは気を落ち着かせないと。
「シャワー…するかどうするかアルか?」
我が首をかしげて言うと、ロシアが慌てたみたいに付け足してきた。アイツ、動揺してるのが分かって、内心ニヤリとした。
「いや、だから…お前がベタベタして気持ち悪いなら、入った方が楽になるかと思ってさ」
「ロシア、顔赤いアル。暖房のせいアルか?」
「うるせぇ、風邪引いてる奴が調子乗んな」
ロシアをからかってみると、強めな言葉を言われた。
ほっほーん、これが前日本が言ってたツンデレって奴アルね〜?
「..うん、シャワー浴びるアル。ベタベタして気持ち悪いし、熱も下がってきたアルし」
我は小さく笑って、ブランケットをはね除けてゆっくり立ち上がった。少しフラつくのをソファで支えて、バスルームに向かう背中をロシアに見せつけるつもりで歩いた。
「バスルーム、あっちアルな」
我がリビングの奥のドアを指して呟いた。自分の家なのに、熱でぼーっとしてるのか確認するみたいにロシアを見た
「お前が言うならそうだろ。お前が入ってる間にまた蜂蜜入りミルクいれるか?」
「お願いアル」
ロシアがぶっきらぼうに言うと、我は小さく笑って手を振った。アイツが我の背中を見てる気がして、胸がちょっとドキドキした。
シャワーを浴びてると、温かい水が汗を流してくれて気持ちいい。熱で火照った体がスーッと楽になって、頭も少し綺麗になってきた。悪夢の影も水と一緒に消えてくみたいだ。
「…舒服…気持ちいいアル…」
我はシャワーの音に紛れて、ちょっとロシアに聞こえるかなって期待しながら呟いてみた。アイツ、どんな顔してるか気になる。
シャワーを終えて、タオルで顔を拭きながらバスルームの鏡の前に立った。湯気で曇った鏡を軽く拭いて、自分の姿を見ると…緩いシャツを適当に羽織っただけの我が映ってる。
襟元がずれて肩が見えてて、水滴がシャツに染みてる。普段のチャイナ服と違って、無防備すぎる格好だ。熱と照れのせいで頬が赤くて、目が潤んでるみたいに見える。
…って、待て待て、我、何アルかこの姿!?
シャワー前は「ロシアをドキドキさせてやる!」なんて余裕ぶってたのに、いざ自分がこの状態でアイツの前に出るって考えると、急に恥ずかしさが爆発してきたアル〜っ…!!
我の顔が鏡の中でどんどん赤くなってく。心臓がバクバクしてきて、頭の中で「ロシアにこんな姿見られたらどうしよう!?」って叫びが響いてる。シャツの裾をぎゅっと握って、鏡の前でモジモジしてる自分が情けなくて、両手で顔を覆ってしまった。無防備なフリしてアイツをからかうつもりだったのに、逆に自分がこんなに照れてどうするアルか〜っ!!
「ぅあぁぁぁぁっ!我何やってるアルか!」
声に出してしまった瞬間、慌てて口を押さえた。
ロシアに聞こえたらどうしようって思ったけど、聞こえてないことを祈るしかない。
顔が熱くてたまらない。熱は少し下がったはずなのに、鏡の中の自分が情けないやら恥ずかしいやらで爆発寸前だ。こんな隙だらけの姿でロシアの前に出るなんて、想像しただけで胸が締め付けられる。さっきまでの余裕、どこ行ったアルか!戻ってこい!!
我は鏡をチラッと見て、シャツの襟元がずれてるのを見てさらにパニックに。手で直そうとしたけど、指が震えてうまく動かない。ロシアにこんな姿見られたら、アイツどんな顔するんだろう…って考えると、恥ずかしさで体が縮こまりそうになる。膝がガクガクしてきて、鏡の縁を掴んでなんとか立ってる状態だ。
頭の中では「無理アル〜っ!!!」
って叫んでるけど、ここで引き下がるわけにはいかない。
意地でもロシアの反応見てやるアル!なんとか平静を装わなきゃダメアルよね…!
我、奥力给!加油!
我は深呼吸して、タオルを首に引っかけて、なんとか気持ちを立て直した。顔がまだ熱いけど、これ以上鏡見てると余計パニックになる。もうバスルームのドアを開けるしかない。ドアノブを握った瞬間、手が汗で滑りそうになって、また心臓が跳ねた。
落ち着くヨロシ我。ロシアをドキドキさせるつもりだったんだから、こんなことで負けるわけにはいかないアルヨ!
我は目をぎゅっと閉じて、もう一度深呼吸。顔を叩いて気合いを入れて、なんとか平常心を取り戻そうとした。
我はドアを開けてリビングに戻った瞬間、ロシアがソファの横に立ってるのが目に入った。平静を装って、どさっとソファに座って足を投げ出したけど、内心は「うわっ、我こんな格好でアイツの前にいるアルか!?」とかそういう思いで頭が埋め尽くされている。顔が熱くて、タオルを握る手が震えそうになる。ロシアの視線を感じて、心臓が飛び出しそうだった。
「ロシア、蜂蜜入りミルク出すヨロシアル」
我が精一杯笑って体を動かすと、水滴がシャツに染みる。ロシアが一瞬目を見開いた気がして、胸がドキドキして仕方ない。顔が赤くなってないか心配で、タオルで顔を拭くふりしてそっと隠した。声が震えないように、わざと明るく言ったつもりだけど、内心「バレてないませんようにっ…!!」って祈ってばかりだ。
「気持ちよかったアル。汗も流れてスッキリしたヨロシ」
我はソファにだらしなく座ったまま、タオルを首に引っかけた状態で顔を軽く拭いてる。シャワー上がりの水滴がまたシャツに染みて、薄い生地が少し透けてるのが目に入って、ロシアが慌てて視線を逸らすのが見えた。アイツ、動揺してる!やった、作戦成功か!?って一瞬喜んだけど、我のほうも恥ずかしくてたまらない。
「お、お前..風邪引くぞ、そのままでいると」
「暖房あるから大丈夫アル」
我は首をかしげて呑気に返したけど、心の内では「声、震えてないアルよね!?大丈夫震えてないアルきっと!!」って必死に自分を励ましてた。膝がまだ少し震えてて、足を組んでごまかした。
「ロシア、なんか落ち着かないアルか?」
我がロシアを見上げて、にやっと笑う。シャツの袖をまくろうとしたけど、これ以上露出を増やすと死んでしまうからやめた。平静を装ってるけど、ロシアの視線が我の肩にチラチラ行くのが分かって、心臓がバクバクしてるのを抑えるのに必死だ。膝を軽く叩いて、落ち着けって自分に言い聞かせて、なんとか笑顔を保った。
「うるせえ。お前がそんな格好でフラフラしてるからだろ。体調悪化するぞ」
「ふーん」
ロシアがぶっきらぼうに返すと、我は適当に返事してソファに背中を預けて伸びをした。シャツの裾が少し上がって、お腹がチラッと見えた瞬間、ロシアが咳払いして目を背けた。なんとか笑顔を保ってたけど、顔を隠したい衝動に駆られてた。手でシャツを引っ張ってお腹隠そうとしたけど、逆に不自然にならないか心配で、結局そのままにした。
「なぁ、ロシア」
我がソファから体を起こして、膝を立てて座り直した。シャツがさらにずれて、肩が丸見えになってるのに、気にしていないふりをして平静を保った。内心はまだドキドキしてたけど、なんとか平気な顔を続けた。
「もう外暗くなってきたヨロシアル。帰るの面倒じゃないアルか?」
我はロシアにいてほしい気持ちが溢れてきて、素直に言おうとした瞬間、急に恥ずかしさが爆発してしまい帰るのが面倒じゃないかとかいう回りくどい発言をしてしまった。顔が熱くなって、手が震えてきて、膝をぎゅっと握ってなんとか平静を保とうとした。
言葉の意味を察すヨロシィッ…!!
「…まぁ、確かに遠いっちゃ遠いけど」
ロシアが曖昧に返す。
うぅ、察せアル〜っ…
これから言うことを想像すると顔が少し赤くなってきた。更にロシアをチラッと見て、心臓がドキドキしてきた。
でも言わないと…覚悟決めるアルヨ、我!!この服でロシアの前に出れたんだから行けるアル…!!
「じゃあ、泊まればいいアル。我、風邪でまだフラフラだしアル…」
我はロシアにいてほしい気持ちが溢れてきて、もう一言言おうとした瞬間、恥ずかしさが限界に達した。顔が熱くて、手が汗ばんで、膝がガクガク震えてきて、ソファにしがみつくようにしてた。でも、意地でも言わなきゃって自分を励まして、かすれた声で呟いた。
「…ロシアいてくれた方が、安心するアル..」
我は言葉を口にした瞬間、恥ずかしさで頭が真っ白になった。顔が燃えるように熱くなって、膝を握る手が震えて、ソファに体を預けて隠したい衝動に駆られた。でも、なんとか平静を装って顔を上げた。
「泊まる…?」
ロシアが繰り返したから、我は顔を赤くしたままコクッと頷いた。
熱で弱ってる今なら、こんなこと言っても不自然ではないアルよね…?
「そうアル。客用の布団あるし、リビングで寝てもいいヨロシアル。どうせ明日も暇だし、ロシアも楽でいいアルよ」
ソファに寝転がって、足をぶらぶらさせながら言った。シャツがめくれてまたお腹が見えてるけど、隠す気はない。
…やっぱ嘘、恥ずかしいからめっちゃ隠したい
「..分かった。じゃあ、泊まるか」
「やったアル!」
ロシアが渋々って感じで言うと、思わず笑みが零れてソファから飛び起きた。勢い余ってシャツの襟がさらにずれて、鎖骨まで見えてるのに、平気な顔で立ち上がった。もちろん演技だ。
実際は恥ずかしさで死んじゃいそうになってるのを塞ぎ込んでる。
でもそれ以上にロシアが家に泊まるという事実が嬉しい。
必死に演技したかいもあったアルかな…?
朝日がリビングに差し込んで、暖房の効いた部屋が薄明るくなってる。我はキッチンに立って、ロシアの背中を見つめてる。シャツの襟が少しずれたまま、冷蔵庫から卵を取り出してロシアに渡す。まだ体が少し頼りないけど、熱が下がったおかげで昨日より元気が出てきた。ロシアがほっとした顔してるのを見て、我も安心する。それに相反して胸のドキドキが抑えられない。
「ロシア、目玉焼き作るヨロシ。我、粥の残り温めるアル」
呑気に言って、鍋に水を入れる。シャツの裾が上がって腹が少し見えた瞬間、ロシアが慌てて目を逸らすのが分かった。さっきリビングで言った言葉が我の頭に残ってる。「ロシアといると楽しいヨロシ」とか「我、ロシアのこと…」って言いかけた時、どんな顔してたか思い出して、心臓がうるさい。
ロシアのフライパンを持つ手が少し震えている気がする。
鍋をかき混ぜながら、チラッとロシアを見る。朝日が我の首暑くする。ちょっと鬱陶しい。
風邪声が残る中でも柔らかく笑ってみせる。ロシアがその笑顔に捕まったみたいにこっちを見てるのが分かる。胸の熱が膨らんで、この気持ちをどうすればいいのか分からない。ロシアに寄せる気持ちが、ただの友情じゃないって、恋心だって自覚はある。でも、ロシアが我をどう思ってるのか、確かめたくて仕方ない。
「なぁ、ロシア」
鍋から目を離さずに、ロシアを呼ぶ。声が穏やかすぎて、自分でも少し驚く。
「何だよ。目玉焼きの形が汚いとか言うなよ」
ロシアがぶっきらぼうに返すけど、我は小さく笑って首を振る。ロシアのそんな態度が愛おしくて、笑顔が自然に出る。
「違うアル。…我、ロシアがこうやって朝飯作ってくれるの、嬉しいヨロシ。なんか、ずっとこうしてたいアル」
そんなこと呟いて、鍋をかき混ぜる手を一瞬止める。顔が熱くなって、ロシアをチラッと見てからまた鍋に目を戻した。ずっとこうしてたいって、どうして今そんな言葉が出たのか分からない。でも、ロシアがそばにいてくれるこの時間が、特別に思っているのは事実だ。ロシアの顔が少し強張るのが見えて、心臓がバクバクする。
ロシアが卵を焼く手を止めたタイミングで、鍋から粥を丼に盛って、ロシアの横に近づく。シャツの袖がずり落ちて腕が丸見えだけど、そんなこと気にしてられない。ロシアの腕に肩が軽く触れる。近すぎるって思うのに、離れたくない。
「ロシア、昨日我のことずっと見ててくれたアルね。…我、寝てても分かったヨロシ」
柔らかい声で言って、ロシアの目を細めて見つめる。寝てた時、ロシアの視線を感じてた。本当は少し意識があって、その優しい目が我を包んでる気がした。ロシアが我を見る目が、ただの看病じゃない何かを含んでる気がして、胸が熱い。
「…我、ロシアのこと、ほんと大事アル」
そこで言葉を切って、視線を落とす。丼を持った手が小さく震えて、顔がもっと赤くなった。ロシアをチラッと見て、また目を逸らす。大事って言葉じゃ足りないくらい、ロシアは我にとって特別だ。それに気づいて欲しい。
「お、お前…何だよ、急に。卵焼けたぞ、食えよ」
ロシアがやっと言葉を発して、フライパンをシンクに置く。我の言葉がロシアに刺さってるのが分かる。ロシアの胸がざわついてる様子が伝わってきて、我も同じくらい心臓がうるさい。「謝謝」と呟いて、丼と卵をテーブルに運ぶ。ロシアを見上げる時、さっきの言葉の余韻が残ってる。ロシアにだけ見せるこの気持ちが、特別だって伝わってほしい。
朝日がキッチンに差し込んで、暖房の効いた部屋が薄明るい。我はテーブルに向かいに座って、シャツの襟がずれたまま丼にスプーンを入れる。まだ少し動きが頼りないけど、熱が下がって昨日より元気になった。ロシアがほっとした顔してるのを見て、我も安心するけど、胸のざわめきが収まらない。
「ロシア、お前も早く食うヨロシ。冷めたら美味しくないアル」
呑気に言って、ロシアを見上げる。朝日が我の首筋を照らしてて、ちょっと熱い。
風邪声が残る中でも柔らかく笑う。ロシアが我の言葉に心臓をうるさくしてるのが分かる。さっきの「ずっとこうしてたいアル」とか「大事アル」って言葉が、ロシアの頭にこびりついてるはず。我がロシアに寄せる気持ちが、特別だって気づいてほしい。
卵を一口食べると、ロシアが我をじっと見つめてくるのに気づく。胸がドクンと跳ねて、ロシアの熱っぽい視線に捕まる。
「なぁ、ロシア」
小さく呟いて、テーブル越しに少し体を寄せる。シャツの袖がずり落ちて腕が丸見えで、ブランケットを肩に掛けたままの姿が自分でも無防備だと思う。
「何だよ。粥足りねえのか?」
ロシアがぶっきらぼうに返すけど、我は小さく笑って首を振る。その態度が愛おしくて、笑顔が止まらない。
「違うアル。…我、ロシアとこうやって朝飯食うの、ほんと嬉しいヨロシ」
そんなこと言って、顔が少し赤くなる。嬉しいって言葉じゃ足りないくらい、ロシアと過ごす時間が我にとって大事だ。ロシアの心臓がバクバクしてるのが伝わってくる。我がロシアを見る目が、ただの仲間じゃないって気づいてほしい気持ちが溢れる。
急にテーブルに手を伸ばして、ロシアの手をそっと握る。冷たい手がロシアの指に触れて、心臓が一瞬止まりそうになる。ロシアの手が温かくて、顔がもっと赤くなる。
「…ロシア、我のこと助けてくれたアルね。昨日からずっとそばにいてくれて、我、ほんと…ありがとアル」
風邪声で呟いて、ロシアをチラッと見上げる。目が潤んでて、ロシアを試すみたいに柔らかく見つめる。手を握るなんて我らしくないけど、ロシアへの気持ちが溢れて止まらない。感謝以上の何かがあるって、ロシアに気づいてほしい。
「お、お前…何だよ、急に。手冷てえぞ、離せよ」
ロシアが絞り出すように言うけど、我は小さく力を入れて離さない。ロシアを見上げる目が熱っぽくて、心臓がうるさい。ロシアが我を大事に思ってるのは分かる。でも、それが恋なのか、ただの友情なのか、ロシア自身がまだ分かってないみたい。
「…我、ロシアのこと、ほんと大事アル。ずっとそばにいてほしいヨロシ」
そこで言葉を切って、照れたみたいに目を逸らす。手が小さく震えてるけど、ロシアを握る力は強くなる。顔が赤いままで、朝日に照らされた首筋が熱い。大事とか、そばにいてほしいとか、そんな言葉がロシアに刺さってるのが分かる。我の気持ちが恋だって、ロシアに気づいてほしい。
「…分かった。食ったら寝ろよ。まだ熱下がったばっかだろ」
ロシアが誤魔化すように言って、我の手をそっと振りほどく。我は「うん」と頷いて手を引っ込めるけど、ロシアを見上げる目はまだ柔らかい。ロシアが我を放っとけない気持ちでいっぱいなのが伝わってくる。
朝食が終わり、キッチンの片付けが一段落した頃、我はソファに座ってロシアの様子をチラッと見る。熱が下がって顔色が昨日より良くなったけど、まだ少し頼りない。シャツの襟がずれたまま、ブランケットを肩に掛けて無防備に座ってる。
「なぁ、中国。お前、熱どうだ?測ってみろ」
ロシアがぶっきらぼうに言う。我は「ん?」と眠そうな顔でロシアを見上げて、
「そうアルな、測るアル」
と呟く。リビングのテーブルの引き出しから体温計を取り出して、脇に挟む。じっと待ってる間、ロシアがソファの横に立って我を見つめてるのが分かる。朝日がカーテン越しに差し込んで、暖房の効いた部屋が薄明るい。体温計がピピッと鳴って、数字を確認する。
「37.2度アル。平熱より少し高いぐらいヨロシ」
と呟いて、ロシアにチラッと見せる。ロシアが眉を軽く上げて
「昨日より下がってるな。もう大丈夫そうだろ」
と言うと、上着を手に取った。我が回復してきたなら、ロシアが帰るつもりだって気づく。胸が締め付けられて、ロシアが背を向けかけた瞬間、ソファから勢いよく体を起こして
「待つアル!」
と声を上げる。ロシアが振り返ると、我はブランケットを膝に落としたまま、慌ててロシアの腕をつかむ。冷たい指先がロシアの腕に触れて、心臓がドクンと跳ねる。ロシアの熱っぽい視線に捕まって動けない。
「我…まだちょっとフラフラするアルから」
言いかけるけど、言葉を切って顔が赤くなる。ロシアを見上げる目が潤んでて、嘘がバレバレだ。本当はまだ一緒にいたいだけ。ロシアがツッコむ前に、照れたみたいに視線を落として
「一緒に散歩にでも行かないアルか?」
と小さく呟く。ロシアの頭が一瞬止まったみたいになるのが分かる。胸のざわめきが大きくなる。
「お前…風邪悪化したらどうすんだよ」
ロシアがぶっきらぼうに返すけど、我は
「大丈夫アル。暖かくして行くヨロシ」
と笑って、ソファから立ち上がる。リビングの隅からコートを手に取って、頼りない動きで羽織る。ロシアを見上げて
「我、昨日から家にこもってて退屈アル。少し歩きたいヨロシ」
と言いながら、タオルを首に巻く。ロシアと一緒なら安心アルって言葉が頭に浮かんで、心臓がうるさい。ロシアが我を放っとけない気持ちでいるのが伝わってくる。
「分かった。少しだけだぞ。フラフラしたらすぐ戻るからな」
ロシアが渋々言うと、我は「謝謝!」と目を輝かせて笑う。玄関に向かう背中をロシアが追ってくる。ドアを開けた瞬間、冬の冷たい風が顔に当たる。「好涼…寒いアル」と小さく呟いて、コートの襟を立てる。ロシアの横に並んで歩き出すと、
「ロシア、昨日からずっと我のこと助けてくれて…ほんと嬉しいアル」
と柔らかい声で言う。朝日が我の顔を照らして、風邪声が残る中でも笑顔が穏やかだ。
「お前が元気ならそれでいいだろ。礼なんていらねえよ」
ロシアがぶっきらぼうに返すと、我は「ふーん」と小さく笑って、チラッとロシアを見る。その視線に熱っぽいものを込めて、ロシアが慌てて前を向くのが分かる。家の近くの道を二人で歩きながら、冷たい風が頬を撫でるたび、ロシアの横顔が気になって仕方ない。
我は「ロシアとこうやって歩くの、楽しいアル」と呟いて、風に揺れるコートを横目に笑った。朝日が我の顔を照らして、ロシアが言葉に詰まったみたいに黙って隣を歩いてるのが分かる。我は冷たい風の中で、ロシアの横顔をチラッと見て、心臓がドキドキするのを抑えきれなかった。
遠くから聞き慣れた声が響いてきた。
「おい、ロシア!なんで病人をこんな寒い日に歩かせているんだ!?」
荒々しい声と共に現れたのはアメリカだ。カジュアルなジャケットを羽織って、手にはコーヒーのカップ。隣にはイギリスがいる。我は少し驚いたけど、すぐに笑顔になって
「我、大丈夫アル!ロシアと一緒だからヨロシ」
と返す。アメリカが
「へぇ、ロシアが看病役かよ。意外と優しいじゃん」
とからかうようにロシアの肩を叩くと、ロシアが「うるせえ」とぶっきらぼうに返すのが聞こえた。
「香港があなたが体調を崩したと聞いて心配していたのですよ」
イギリスが目を伏せて冷静に言う。我は「我のこと心配しすぎアルな」と苦笑いして返すけど、香港が心配してくれてるのは嬉しい。
「まぁ、家族想いだな。で、ロシア、お前いつまで中国の家に居座るつもりだ?」
アメリカがニヤニヤしながらロシアに聞くと、ロシアが一瞬顔を赤くしたみたいに見えた。冬の冷気だろうけど、我にはそれが可愛く思える。
「別に居座ってねえ。今日帰るつもりだ」
ロシアがぶっきらぼうに返すと、我は咄嗟に
「我、ロシアにもう少しいてほしいアル」
とサラッと言ってしまった。アメリカが
「ほぉ~?」と意味深に笑って、イギリスが「仲良いんですね」と静かに一言。ロシアと我が仲良いのは当たり前だけど、改めて言われると我も少し照れる。
「お?なんだ?そんなに黙って」
アメリカのウザい声が響く。我はロシアが急に下を向いて黙ったのに気づいて、
「どうしたアル?風邪移しちまったアルか…?」
と心配そうに聞く。ロシアが「風邪じゃない」と言うと、我は「ふぅっ」と安心して息をついた。でも、ロシアの顔が真っ赤になってるのを見て、
「ロシア…?でも顔真っ赤アルヨ…?」
とつい言ってしまう。ロシアが
「今は顔見ないでくれ…」
と恥ずかしそうに言うと、我は一瞬キョトンとした。次の瞬間、にぃっと笑顔が溢れてきて、ロシアのその赤い顔とぎこちない態度に、胸が急に熱くなった。昨日からずっとそばにいてくれた温かさや、ぶっきらぼうだけど優しい仕草が頭に浮かんで、気づいたら我は何かがハッキリした。
我は「ここで伝えよう」と決めて、心臓がバクバクするのを抑えた。
「分かったアル」
とだけ返して、アメリカが「へぇ〜〜?ほぉ〜〜ん?」とウザい声を出して、イギリスが「あなた達も若いですね」と呟いてる中、我はロシアに気持ちを伝える準備を始めた。
「とりあえず、今日香港はあなたの家に戻りますので」
イギリスが言うと、我は
「分かったアル」
と頷く。アメリカが
「香港は子供なんだから中国ん家ではサカるなよ〜。グッバーイ!」
と軽い調子で言い残して、イギリスと一緒に去っていった。
「ほんと嵐みたいな奴らアルネ…」
我が呟くと、ふと我だけで喋ってるのに気づいて、
「いや、アメリカだけアルか…?」
と付け加える。ロシアが黙ったままなのが気になって、チラッと見ると、ロシアの顔がまだ赤い。我はそれが愛おしくて、気持ちを伝える決意がさらに固まった。
「あのベンチに座りたいアル」
と我が言うと、ロシアが頷いて一緒にベンチに座った。我は隣に座って、自然とロシアに体をくっつける。ロシアが少し固まってるのが分かるけど、我はもう決めてる。周りには誰もいなくて、ちゅんちゅんと鳥の声だけが聞こえる。静かすぎて、我の心臓の音が大きく感じる。
ロシアが黙ってるから、我が口を開いた。
「朝…言わなかったこと、言えなかったこと…今。言うアル」
朝、言いかけた言葉を今伝える。体が熱くなって、手が震える。コートをギュッと握りしめて、自分の手を見ながら、
「ロシアのことが…」
「好き…アル。恋愛的な意味で」
と言った。告白してる間、胸が熱くて息が詰まる。ロシアの反応を待つ間、体が震えてた。
「…俺も」
ロシアの声が聞こえて、我の心臓が跳ねる。ロシアが我の両肩を掴んで、顔をこちらに向けさせて、
「俺も中国の事が好きだ!」
とまっすぐ言った。我の胸が熱くなって、涙が溢れる。思わずロシアを抱きしめてしまった。その瞬間ロシアの温かさが我を包んだ。ジャケット越しに感じる熱が、冷たい風の中で我の体を温めてくれる。しばらくの沈黙の後、我は大粒の涙を流しながら
「もう…気づくのが遅いアルヨ」
と呟いた。ロシアも抱きしめ返してくれる。
その体はとても温かかった。
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