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#そのじん
ヌシ
457
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陽雅が倒れそうになるのを見て、俺は慌てて陽雅の体を抱える。
「陽雅!」
陽雅は、ボーッと俺を見つめた後、ゆっくり目を閉じた。
すぐ側に来ていた恭也くんが、心配そうに陽雅を見つめる。
「全部元に戻って、ちょっと疲れちゃったのかもしれないですね」
「ごめん。陽雅」
俺は目を瞑ったままの陽雅にそう言った後、恭也くんを見る。
「陽雅の事頼める? 俺も多分そろそろ眠くなると思うから」
「はい。任せてください」
恭也くんがそう言うと、零斗くんが俺の前に来る。
「俺が陽雅抱えますよ。ソファーに寝かせときます」
「ごめん。ありがとう」
「いえ」
零斗くんはそう言って、陽雅の背中と膝裏に腕を回し、サッと持ち上げる。
「おぉ。快の方が全然軽いわ」
「ちょっと零斗さん。俺が貧弱だって言いたいんですか?」
「別にんな事言ってねぇよ」
そう言いながらソファーまで運び、ゆっくりと寝かせる。
そんな様子を見ていたら、突如眠気が襲う。
「…俺、もう寝ないと」
そう呟くと、泰輝がこっちに来る。
「寝室まで一緒に行きましょう。途中で倒れたら危ないので」
「ありがとう」
寝室まで歩いて行き、ベッドに寝転ぶ。
泰輝はベッドの端に上半身を預け、俺を見つめる。
「見れる時はずっと陽煌さんのそばにいるので、安心して眠ってくださいね」
泰輝はそう言ってニコッと笑う。
その笑顔を見て、俺はなんだか不安になる。
もしかしたら、目が覚めた時に泰輝がいないかもしれない。
俺が眠っている間に、好きな気持ちが冷めてしまうかもしれない。
俺は、泰輝の顔に手を伸ばす。
そんな俺の手を、泰輝は掴み、ギュッと握った。
「大丈夫ですよ。俺が居ますから」
「…泰輝」
「なんですか?」
「好きだよ」
「俺も好きですよ」
泰輝はそう言って微笑んだ後、俺の頬にキスをした。
「おやすみなさい」
「ん…おやすみ…」
意識が遠のいていく中、泰輝ならきっと俺を好きでいてくれるんだと、そう思えた。
_________
ソファーに兄ちゃんと並んで座る。
「陽雅。幸せになれてよかったね」
「ん? 優真の事? ありがとう」
「うん。優真くんの事だよ。でも陽雅、大丈夫なの?」
「大丈夫って、何が?」
「陽雅は独占欲が強いから、優真くんを傷付けちゃうかもしれないでしょ?」
「え? 俺は別に独占欲なんて…」
そう言いかけた俺の手を、兄ちゃんが握る。
《陽雅は俺と同じくらい独占欲が強いでしょ? 特に恋人に対しては》
そう言って手を離す兄ちゃんにドルのオーラが見える。
俺は兄ちゃんと同じくらい独占欲が強い。
なんだか、そんな気がする。
でも、兄ちゃんに見えたドルのオーラが気になって、俺は兄ちゃんに問う。
「…兄ちゃん、ドルの力使った?」
「使ってないよ。だってほら、耳元で言ってないでしょ」
「でも、ドルのオーラが見えたから…」
「あぁ。たまにあるよね。間違って見えちゃう時。まぁ、ゲームのバグみたいなものだよ。だから使ってないよ」
「本当?」
「うん。本当」
兄ちゃんはそう言って、ニコッと笑う。
「そっか」
俺はそう言って、ニコッと笑い返した。
そこで俺は目が覚め、目をゆっくり開ける。
今見た夢は、俺が兄ちゃんに消されていた記憶。
「陽雅さん」
恭也が、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「恭也…」
「大丈夫ですか?」
「うん…大丈夫…」
ゆっくり体を起こすと、零斗と快くんがこっちに来る。
「おぉ陽雅。起きたか」
「うん」
そう返事した後、兄ちゃんの事を思い出す。
「兄ちゃんは?」
「もう寝ましたよ」
そう言いながら、泰輝が来る。
「そっか」
「もう体は大丈夫そうですかね」
「うん。一気に色々思い出して、頭が追いつかなかったんだと思う。でも、もう大丈夫だよ」
「よかったです」
恭也は安心した様子でそう言う。
「おい陽雅。独占欲はどうなった?」
「独占欲…」
俺はちゃんと独占欲が無くなったのだろうか。
正直、自分でもよく分からない。
「…分かんない」
「分かんねぇのか…ちょっと待てよ」
零斗はそう言って、恭也のそばに寄る。
「おいあお。ちょっとこっち向け」
「あぁ、はい」
恭也が体を向けると、零斗は恭也を抱きしめた。
「ちょっと零斗さん。何してるんですか」
快くんは怒った口調でそう言って、恭也から零斗を引き離す。
「そんな怒んな。ただの実験だから」
零斗はそう言った後、俺を見る。
「どうだ?」
「えっと…快くんが嫉妬してるから、もうやめなよ」
「お前はいいのか?」
「別にいいよ。恭也って可愛いからすぐ抱きしめたくなっちゃうよね」
そう言ってニコッと笑うと、辺りがシーンと静まる。
(あれ…なんかおかしいこと言ったかな…)
「何。みんな黙っちゃって」
「…よし陽雅。仲直りすんぞ」
「あぁ…うん。仲直り」
俺がそう言って手を差し出すと、零斗は俺の手を握る。
「まぁ、快との同棲体験が終わんのは寂しいけど、そっち戻ってやんよ」
「本当? 嬉しいな」
「あの〜、陽雅さん。俺も零斗さんと一緒にあの家住んでもいいですか?」
「え?」
「零斗さんと一緒がいいし、節約にもなるので」
「別にいいよ」
俺の返事を聞いて、快くんは嬉しそうに言う。
「やった〜! じゃあ、恭也も一緒に住もう?」
「俺も?」
「うん。陽雅さんも恭也と住みたいですよね」
「まぁ…それはそうだけど…」
「じゃあ決まりですね! 陽煌さんが起きたら、陽煌さんも誘ってみましょう」
目を輝かせてそう言う快くんに恭也が言う。
「全員集合じゃん」
「うん。やっぱり賑やかの方がいいでしょ〜。泰輝さんも陽煌さんと一緒がいいですよね?」
「うん。一緒に暮らせたら嬉しいな」
「じゃあ決まりですね!」
「おい快。陽雅がいいって言ったのは快だけだろ。勝手に話進めんな」
「え〜。でも、陽雅さんいいって言ってますから。ね、陽雅さん」
「うん。いいよ。みんなで暮らそっか」
そう言ってニコッと笑うと、快くんは嬉しそうに笑う。
「やった〜! これから楽しくなりそうだな〜」
「お前…別にみんなで暮らすのはいいけど、ちゃんと俺に構えよ?」
「もちろんです。むしろ鬱陶しく思うくらい構ってあげますね」
「まぁ、だったらいいけどよ…」
「あーあ。これから毎日快たちのイチャイチャ見せつけられるのか〜。嫌だな〜」
「恭也も陽雅さんとイチャつけばいいじゃん」
「俺たちは快たちと違ってバカップルじゃないから」
恭也が呆れた様子でそう言うと、快くんは零斗に抱きつく。
「え〜ん。零斗さん。恭也が悪口言ってきます〜」
「おいあお。あんま快いじめんなよ」
「え〜ん。陽雅さん。零斗さんに詰められました〜」
恭也はそう言って、俺の後ろに隠れる。
「ちょっと零斗。恭也の事虐めないで」
「いじめてねぇよ」
「恭也が嫌な事はしちゃダメ」
「あおが先に始めたんだろ〜」
「恭也は悪くないから」
「あの!」
声のする方を見ると、泰輝が呆れた顔で言葉を続ける。
「揃いも揃ってイチャイチャ見せつけるのやめてもらっていいですか?」
その言葉を聞いて、零斗が泰輝に近づく。
「なんだよ泰輝。寂しいなら素直にそう言えよな」
「は? 寂しくないです。なんですか」
「まぁ、遠慮すんなって」
零斗はそう言って、泰輝の肩に腕を回す。
「いやちょっと。やめてください」
「なんだよ。俺がいなくて寂しかったんだろ? 遠慮すんな」
「はぁ…」
「零斗さん。泰輝さん本気で嫌がってますよ」
「あ? そうなのか? そりゃあ悪かったな」
零斗はそう言って泰輝から離れる。
「快くん、ありがとう」
「いえ。零斗さんの世話なら俺に任せてください」
「俺は世話なんてされてねぇよ」
「してますしてます〜」
言い合いを始める二人を見て、笑みがこぼれる。
「また始まっちゃいましたね。二人のイチャイチャ」
「そうだね。まぁ、可愛いからいいけどね」
「確かにそうですね」
そんな俺たちの元へ、泰輝が来る。
「もう。あの二人、どうしたらいいんですかね」
「ほっとこ。なんかお腹空いちゃったし。ご飯食べよう」
「なんか食べに行きましょうか」
「そうだね。じゃあ行こっか」
そう言って歩き出す俺たちを見て、二人も着いて来る。
「恭也。また俺たちの事置いてこうとしたでしょ」
「薄情なヤツらだな。どこ行くんだよ」
「ご飯食べに行くの」
「よし。じゃあデザートがある所な」
「俺は苦いものがある所がいいです」
「じゃあ、甘いのも苦いのもある所に行きましょう」
恭也はそう言って嬉しそうに笑う。
そう言えば前の俺なら、これだけで嫉妬していた気がする。
でも今は、そんな恭也を見て、俺もなんだか嬉しくなる。
これだけの事で、なんだか心が軽くなった気がした。
俺たちの未来もきっと、嬉しい事ばかりだ。
コメント
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いや〜第56話、読み終わったよ!なんかもう全員集合ってタイトル通りで、全員が揃ってワイワイしてるのがすごく温かくて良かった…。陽雅が独占欲のことを気にしてたけど、最後に「これだけの事で心が軽くなった」ってとこ、すごくグッときた。前の陽雅なら嫉妬してたって描写があるからこそ、成長というか、ちゃんと一歩進んだんだなって実感できて嬉しかったわ。みんなで暮らす未来、めっちゃ楽しみにしてる🔥