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牧原は、石田たちにモンスターを同士討ちさせるテクニックについて丁寧に説明した。
「参考になりました。大沢さん。あなたでもできますか?」
石田が大沢に聞いた。
「我が弟子にできたことを、我ができない訳が無かろう」
大沢は、なぜか偉そうに言った。
「牧原さんには、モンスター処理班から質問があるそうなので、会ってもらえるかしら?」
石田が聞いた。
「それはもう、僕が許可とってるんで大丈夫ですよ」
霧島が言った。
「もちろんいいですよ。ただ、僕からもお願いがあって、いろんな種類の魔法を見せて欲しいのですが?」
牧原が聞く。
「我が弟子の修行に必要なことだ。許可してもらいたい」
大沢が何故か口添えする。
「それはご自由にどうぞ」
石田は快く許可を取る。
「それじゃあ、霧島君頼んだわよ」
石田が、霧島に振った。
「え。僕」
「牧原さんは、あなたの客人ですからね」
そう言うと石田は会議室から出て行く。
白谷も後を追うように出て行く。
「コツを聞きたいと言って招いたのは生徒会長だろう」
「ごめんね。手間かけさせて」
牧原が、申し訳なさそうに言った。
「それじゃあ、相川の方へ行こう」
「魔法を見せてもらう魔法少女巡りが先だ」
何故か大沢が言った。
「困っている人の対応の方が先じゃないかな」
霧島が言う。
「いや。魔法少女巡りが先だ」
霧島と大沢が、牧原をジッと見る。
「えーと、どっちが先でも良いかなぁ」
結局、大沢の圧が強くて、魔法少女巡りが先になる。
牧原は、霧島に導かれるまま構内を移動し、次々と魔法少女たちに会い、魔法を見せてもらう。
剣、弓、盾、炎、雷、水、翼、飛行、モンスター、毒のすべてを見せてもらう。
見てすぐにスキルを付与したモンスターを作りたかったが、犬モンスター三体をすでに作った状態だったので、それは我慢して、メモを取るだけにした。
「学校に来ていない奴も入れると、酸と金が増えるんだけど。さすがにその為だけに登校しろとは言えないので」
霧島は言った。
「学校は休校なんだよね」
霧島は肯く。
「ならしょうがないよ」
「私が、モンスターにスキルを付与して見せてやろう」
大沢が言った。
牧原たちは校舎の外へ出る。
大沢は、酸のスキルを持ったモンスターと金のスキルを持たモンスターを作ると、スキルを使わせる。
「こんなことができるなら、初めから大沢が見せれば早かったんじゃないか?」
霧島が言った。
「そんなことはない。作ったモンスターのスキルを見るより、魔法少女のスキルを見る方が圧倒的に良いに決まっている。今は、魔法少女のスキルが見せられないから、仕方なく代用しているだけだ」
大沢は力説する。
「そう言うもんなの?」
霧島が聞く。
「大沢さんが言うのなら、たぶん意味があるんだと思うよ」
現地点では牧原も確かに良くわかっていなかったが、大沢の言う事が正しいと、後で分かることになる。
「それじゃあ、次は相川の方だね」
霧島が言った。
「そうだね。でも僕に相談って何だろう?」
二人でそんな会話をしていると、大沢はいつの間にかいなくなっていた。
牧原は、コッソリ大沢が去っていくのを気付いていたが、特に指摘をしなかった。
モンスターの死体置き場で死体処理をしている魔法少女、相川がいた。死体が腐ると悪臭を放つので、炎の魔法少女のスキルで定期的に焼きを入れて腐敗を遅らせるのである。
モンスターの死体を食べるモンスターが増えたおかげで大分死体が減ったのに、再びモンスターの死体が増えていた。もちろんモンスターの行列の影響だ。
相川が突然手を振る。牧原と霧島がやって来たからだ。
相川とは、モンスターの死体を食べるモンスターを作っていたとき、死体置き場で出会っていた。
「やっと、来てくれた。心配していたんですよ」
生徒会長のとの会議が終ってからすでに、二時間経過しているのだから当然ではある。
「用事って何ですか?」
「アレなんですけど。アレ、牧原さんが作ったモンスターの死体を食べるモンスターですよね?」
球体に目と口だけのモンスターがいた。しかし、大分大きい。通常七センチぐらいの大きさなのに、その個体だけ三十センチぐらいの大きさだった。
「確かにあり得ないほど成長しているね」
黒髪の魔法少女のスキルを使って、成長したモンスターを観察すると、体内から魔力のようなものを感じた。
その魔力は、元人間のモンスターの死体の額にある元魔法石を連想した。
「他の子より、いっぱい死体を食べてくれるから助かるんだけど、この調子で大きくなったら、駆除しないと危険かもと思って」
相川が言った。
「確証はないけど、心当たりはある。可哀そうだけど、処分しよう」
牧原が言った。
「せっかく、成長したのにもったいない」
相川が言った。
「あの大きいのは、死体をいっぱい食べてくれるから助かるんだが」
霧島が言った。
「その分、死体を食べるモンスターを追加してあげるから」
牧原は、三体の犬モンスターに大きな個体へけしかける。
一体があっさり、大きなモンスターの死体を食べる個体にあっさり頭をかじられ倒される。
残り二体が、噛みつきダメージを与える。
「人間を攻撃しない個体であっても、モンスターへの攻撃はするのか。これは勉強になった」
牧原が言った。
しばらくして、犬モンスターに軍配が上がる。
三人で死んだ大きな個体の元へ行く。
「このモンスターを解体したいんだけど、なんか切るものない?」
「牧原さんが、大沢化した」
「こいつが大きくなった理由を知りたくないの?」
そう言うと仕方なく、霧島が剣を出し、モンスターを真っ二つにする。
牧原は、半分はポイッと捨てると、もう一つに手をツッコむ。
「あった、あった。ほら」
モンスターの血で塗れた手を出す。小さな石の破片のような物を持っているが、血塗れなので、ほとんどわからない。
「可愛い魔法少女が手を血塗れにして言うとシュールだなあ」
霧島が引きながら言った。
「手を洗いたいんだけど。僕の手を血塗れにしたくなかったら、刃物とか準備してくれないかな。モンスターの解体はあと何度かする必要があるので」
相川が水道へ案内し、霧島が刃物を確保することにした。霧島は大沢の手斧を借りることにしたのだ。