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「今日もありがとう!とっても綺麗だった! 」

「良かったです」

「…依織くん、お願いがあるんだけど、いいかな 」

 お願い?何だろう。 いつもならここで解散なのに…

「はい、いいですよ」

 そういえば言われてからすっかり敬語になってるな。

「一緒に帰らない…?」

 …え?一緒に帰る!? 百歩譲って一緒に帰ったとして、それこそ話すこと分からなすぎてというか無くて気まずい空気が流れるだけですが!?

「だめ、だよね。ごめん!それじゃあね」

「待って!」

 無理やり笑って誤魔化しているが、顔は俯いていて、背中はとても寂しそうだった。

そんな彼女を気づけば呼び止めていた。

「一緒に帰ろう」

「…!ありがとう、依織くん!」

 良かった……。 矢城さんの悲しそうな顔はあまり見たくない。

───帰り道

 一緒に帰ろう。と言ったはいいものの、何も話せなく沈黙が僕らを取り囲んでいた。

そっと彼女の顔を見てみると、僕が思っているよりもずっと楽しそうな顔をしていた。

「…矢城さん、ごめんなさい」

「ん?何で?」

「一緒に帰ろうなんて言ったのに何も話せなくて…」

 そう言うと彼女は、物凄く笑っていた。

「そんな事気にしてたの?私は依織くんと一緒にいるだけで楽しいから安心して」

 本当に矢城さんは気にしていないようだった。

「そういえば、今思ったけど、私たち漫画並に青春してない?」

 いつも第2音楽室で2人っきり。さらには一緒に帰るという…確かに漫画、というかベタな流れだな。

「こんなに誰かと一緒にいるの初めて!」

「彼氏とかいないの?」

「彼氏いたら依織くんと帰らないよー」

 それもそうだな。もし彼氏がいたとして、こんな所を見られでもしたら盛大に勘違いされそうだ。

「依織くんは?彼女いないの?」

「友達すらいない…」

「あ…なんかごめん。てか私いるじゃん!友達!」

 そんな事を言ってくれたのは矢城さんだけだよ……。

「友達…そうだね。矢城さんは友達だ」

『そんな事気にしなくても、私いるじゃん!友達!』

…あの子、また会えるといいな。

「れいか…」

「え?」

 僕がボソッと発したあの名前に何故か彼女は微かに反応した。

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