TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

翌日、シヴェルはもう一度火之迦の所へ行き、反乱軍に入る事を決めたと言いこれからの事を話し合い、船に戻ってきた所だった。自室で火之迦に「反乱軍に入軍した証だ」と、渡されたコインを見ていた。表の面は桔梗、裏の面は桔梗と小さく弟切草の絵が描かれている。反乱軍の者達は必ずこの桔梗と弟切草の装飾が施された物を身に付けたり持ち歩いているらしい。目立つ方に桔梗の装飾。あまりに人に見られない方に弟切草の装飾にすることで反乱軍だとバレないようにしながら反乱軍の方では仲間かどうかを判別できるようにしてるらしい。

ノックの音が部屋に響く。

「シヴェル様、そろそろ会議のお時間です」

「分かった、ありがとうシルク」


目を覚ますと冷たい石の床ではなく、ふかふかのベッドに横たわっていた。

「やっと起きましたね、貴方、お名前は?」

「えっと…自分は迅って言います」

迅はここに来る前の事を思い出そうとした。迅は反乱軍の任務で都に来ていたら都軍に捕まり拷問を受けた後逃げていた所までは思い出せたがその後は分からない。ベッドから起き上がろうとすると体中に激痛が走る。

「あっこら無理はしちゃだめですよ。まだ完全には治ってないんですから」

「ここは中央騎士団の船の治療室です。団長様が貴方をここに連れてきたんです」

「中央騎士団の…団長」

迅が起きた時には会議は終わりに差し掛かっていた。

「今後は二手に分かれて行動する。反乱軍に入る者はできるだけ人目の多い場所では顔を隠すように、龍宮の者に名前を聞かれた時は本名ではなく偽名を言ってくれ」

「反乱軍に入軍した後、都に残るのは危険だ。だから火之迦殿に許可を取り反乱軍本拠地のある島の港に停める事になった」

「他に質問のある者は居ないか」

「これで会議は終わりだ。各自部屋に戻ってくれ」

「ラメールさん、船を出してくれ」

「あぁ、分かった」


シヴェルが自室に戻り少し休んでいると、3回扉を軽くノックされた。

「どうした」

部屋に入ってきたのはファルシオだった。

「シヴェル団長が連れてきた彼、先程目を覚ましまして、お二人でお話がしたいとのことなんですが」

「…分かった呼んできてくれ」

「はい、分かりました」

数分するとファルシオは彼を連れてきてすぐ部屋を離れた。

「…」

「…」

黒い髪にレモンイエローのメッシュ。肩まである猫っ毛はあの反乱軍の特徴を隠すのに丁度いい。そして銀の満月の様な瞳の下のにある特徴的なバツ印の傷がある。彼の猫っ毛も、あの特徴的なバツ印もシヴェルが知っている彼と同じだった。ここまで来るとシヴェルも少し恐怖を感じるようになる。偶然だと思うと同時にもし彼がシヴェルの知っている彼だったらという思いがシヴェルの頭の中に浮かび上がる。もう死んでいるというのに。

「…あの」

「助けてくれてありがとうございました!」

彼はシヴェルに向かって深々と礼をした。

「礼には及ばない、君はこれから共に戦う仲間だ。君達反乱軍が成そうとしている事は一人でも多い方が良いだろう」

「お礼に手伝える事何でも言ってください!全力でお手伝いしますので!」

「…礼には及ばないといっただろう?」

「俺がしたいので!」

「…ふふっそうか」

それから他愛のない話が続いた。どこ出身なんだとか、好きなものはとか。姿も声色も口調も彼と同じだと言うのに、シヴェルの目の前にいる彼はではない。懐かしくなると同時に、悲しくなってしまう。あまりにも未練たらしいと、シヴェルは自分が醜く感じた。

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚