2月は休みが結構多い。
祝日2回のほか、中等部の入学手続き日や高等部の前期・後期試験、それに伴う事務作業日等で、週休3日位のペースになっている。
2月20日土曜日から24日水曜までの5日間も連休だ。
ただ、この連休、先生は色々と忙しいらしい。
更に、先輩も何か用事があるようなのだ。
「どうする。今回は何もしないという選択肢もあるけれど」
『悠、ここは実家に帰ってくると言って欲しいのだ』
例の声ではない声で、亜里砂さんが言う。
『何故』
『実は、私の家で1年生5人のお泊まり会をしようという話が持ち上がっているのだ。外泊許可を貰う都合上、悠は実家に帰るという事にして欲しいのだ。なお、彩香にも未亜も美洋にも根回し済みなのだ』
なるほどな。
「そっか、たまには実家に帰るのも悪くないか」
「たまにはそれもいいでしょうね。亜里砂さんも家に帰るそうですし」
先生がそう言って、そして川俣先輩がにやりと嗤う。
先輩は何か気づいているらしい。
あえて、何も言ってはこないけれど。
「まだまだ先ですが、私も春休みに1週間くらいお休みをとれるので、2泊3日位の山行をしてみましょうか。それとも、まだやっていない自転車旅の方がいいでしょうか。相模湾をずっと西進しても、房総半島あたりに出向いてもいいですしね。ちょっとお金がかかるけれど、伊豆大島一周なんて事も出来ますし」
「美野里先輩は、茨城県の筑波や霞ヶ浦付近もいいって言っていたな。割と平坦で、サイクリングロードも完備しているって」
色々、魅力的な案が出てきている。
そう言えば、自転車旅はあの江ノ島以来、行っていなかったな。
ところで、何故か1年女子4人がにやにやしている。
何故だろう。
その時の僕は、その理由に気づかなかった。
◇◇◇
計画の詳細は、その夜、SNSでもたらされた。
2月20日土曜日の朝に、学校を自転車で出発。
① 途中、九景島へ寄り道をして、遊園地をちょっとぶらぶら
② その後、自転車で縦浜南部市場へ行って、新鮮な魚料理を食べて
③ そのまま海沿いと川沿いで、みなとみたいの亜里砂さん宅を目指す
そうである。
つまり、以前途中で断念した夜中のハイキングの復讐だ。
準備室で自転車旅行の話をしていた時ににやにやしていたのも、これが原因だな。
計画了解と、SNSで彩香さん、亜里砂さん、美洋さん、未亜さんに同報で送る。
そして、パソコンを起動して、学内ネットワークから学泊届の書式を呼び出す。
2月20日土曜日から24日まで外泊、理由は帰省と。
何か、前もこんな偽の外泊届を出したなあ、と、思い出した。
あれも、亜里砂さん宅に行った時だな。
それにしても、外泊届に嘘を書いて女の子の家に泊まるとは、まるで不良みたいだ。
まあ、実体は可愛いものなのだけれど。
何か、僕は一人でおかしくなった。






