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ずっと想ってることがある
???「やっほ〜橙ちゃん!桃時ちゃん!」
「海音」の目の前で「橙」と「桃時」に話しかけているのは、「雨花」である。
海音「…………」
雨花の目。暗闇を飲み込む更なる暗闇。
雨花は常闇だ。
雨花「今日はカレー!」
桃時「あんたカレー好きよね」
橙「時々お弁当の時もありますが……」
雨花「ほんなほぉほぉもふぁふね(そんなこともあるね)」
桃時「お弁当誰が作ってくれるの?」
雨花「お母さんだよ」
橙「どんな方なんですか?」
雨花「前にも言ったでしょ?ありふれた人だって」
桃時「だからその「ありふれた」って言うのがよく分からないのよ!」
橙「でも知られたくないんですよね?なら無理には聴きません」
雨花「あはっ!気を使わせてごめんね?あんがと〜」
その後、カレーを食べ終わった雨花。
雨花「ふぅ〜ご馳走様でした!じゃあわたし次のサボり場所に行ってるね〜」
桃時「程々にね〜」
橙「せめて進級に差し支えない程度にして下さいね!」
海音「雨花……」
あんな顔になるんだ
親のことを少し話そうとしただけで
雨花は一体どれだけの絶望を────
雨花「うーん……風が気持ち良い〜、…………。」
ガチャッ
海音「…………」
海音は雨花をみる。
苦しそう……
今にも泣き出しそうな目をしてる
それを必死に抑え込んで……
どうしてよ……
どうして雨花みたいな人があんな顔しなくちゃいけないの……
雨花「ん?海音ちゃん?」
海音「……雨花」
雨花「どうしたの?海音ちゃんがここに来るなんて珍しいね」
海音「雨花は?一体何してたの?」
雨花「わたしは……休憩してるだけだよ。と言っても休憩するようなことないんだけどね。あはは」
海音「…………何でよ」
雨花「?」
海音「何でじゃあそんなに辛そうなの……」
雨花「…………」
海音「学校はたくさんの笑い声に包まれてて……風はこんなに気持ち良くて……!!何で雨花だけこんな辛い想いしなくちゃいけないの!!何で……どうして……雨花はこんなにも優しいのに……こんなにも苦しんでるのに……何でよ……!何でなんだよ……!」
雨花はいつも申し訳なさそうに生きてるような気がする。いつもこの世で過ごしてることに罪悪感を覚えてる。
そんなの……ずっと苦しいだけだよ……
全然息ができないよ……
そんなんじゃ、ずっと、
死んでいくだけだよ
海音「うっ……あぁぁぁぁん!!!!ひっぐ……うぅぅぅ……ああああ!!!!」
もう解放してあげてください
神様
お願いします
もうこれ以上……
雨花を……
追い詰めないで
もう充分すぎるくらい充分なんじゃないんですか?
雨花が罪を犯したなら
もう充分でしょ……もうやめてあげてください……
神様……
雨花「……ありがとう」
海音「うぐっ……?」
雨花は優しく微笑むと、海音の頭に手を乗せる。
雨花「わたしのために泣いてくれて、わたしの代わりに泣いてくれて、嬉しいよ。ありがとう。……わたしは優しくなんてないよ。誤魔化してるだけ。人を傷つけ続けてる自分を誤魔化してるだけ。ただの仮面なんだ。だから優しくなんてない。でも、今までほとんどの人に、優しいなんて言われたことなかったから、まぁ自業自得なんだけど……でもありがとう。海音ちゃん。誰かのために泣ける海音ちゃんは、暖かいね」
雨花はふっと微笑む。
海音「雨花……」
雨花はこれからも闇の中を彷徨うんだろう
ならその先に
雨花の手を暗闇の中でも繋いでくれる
そんな存在に出会えると
良いな
雨花「せっかくだし、この時間だけサボらない?」
海音「良いよ。雨花は悪い先輩だね」
雨花「あはっ!サボりも生きてく中で重要なことだよ〜」
海音「うん。そうだね」
雨花と海音は空をみ上げる。
寒くなってきた風が二人の体から通っていく。
その感覚に耳を傾けながら雨花と海音は息を吸った。