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橘靖竜
#戦乙女
【第一話】
私は魔力がとても少ないが、魔法を使うのは得意。でも、双子の姉のセイナは魔力は多いが魔法を使うのは苦手。
得意不得意はあったが、お互い支え合って楽しく暮らしていた。しかしある日、魔物の森の近くを通りかかった時、セイナが持っていたボールが魔物の森へ転がって行ってしまった。私は「危ないから諦めよう」と言ったが、セイナは「すぐそこだから大丈夫だよ」と取りに言ってしまった。私も(すぐそこだし大丈夫かな)とセイナを行かせてしまったーーー。
セイナは「ほら!無事にとれたよ!」とボールを持って戻ってきていると、突然セイナの背後に鋭い瞳が出てきた。
「セイナ!危ない!」
「え?」
声をかけるのが遅かった。いや、まずボールを取りに行かせなければ良かったのだ。そのせいでセイナは魔物に襲われてしまった。私は怖じけずいて腰が抜けてしまったが、セイナの「逃げて」という震えた声が聞こえた瞬間、はっとして家に全力で走った。両親が急いで魔物の森に行ったが、セイナの姿はなかった。
その日から私は両親にバレないように”ヒカリの花”という魔物の苦手な花を持って、毎日魔物の森にセイナを探しに行った。死体がなかったのだから、セイナはまだ生きている。きっと逃げたんだと自分に言い聞かせてーーー。
するとある日、少し奥に行ったところで黄色いフードの付いた服を見つけた。
「これって……あの日セイナが着てた服?」
所々引っ掻いたような跡や土がついていた。
「もしかしたらこの辺りにセイナがいるかも……!」
落ちていた黄色い服を着てセイナを今までよりもより一層懸命に探し始めた。
それからどのくらい経っただろうか、周りは暗くなってあまり見えなくなっていた。
(そろそろ戻らないとママとパパが心配するかも……でもこうしているうちにもセイナは怖い思いをしているかも……)
帰ろうか悩んでいると、後ろからガサガサッという音がした。
「セイナ!?」
音がした方に近寄ってみると、そこには傷だらけの弱った小鳥がいた。
「赤い鳥?セイナじゃなかった……」
ガッカリしていると「ピィ」という弱った声が聞こえた。その声がセイナの「逃げて」という声に似ていた。
小鳥は威嚇しているみたいだけど……。
(セイナじゃなかったけど、怪我だらけで痛々しい……魔物みたいだけど、手当してあげた方がいいよね……)
小鳥を手のひらに乗せると、一瞬固まったと思ったら突然森の奥の方にヨロヨロと飛んで行った。
「ちょっと、どこ行くの!?」
声をかけても止まらなかった。もう帰ろうかと思ったが、なんだか嫌な予感がして小鳥を追いかけた。