テラーノベル
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「お願い、ですか?」
「ええ。実は、この近くにずっと気になっているレストランがあって。一人で行くには、少し勇気がいるような……女性向けの場所なんです」
御子柴さんは、少しだけ困ったように眉を下げて笑った。
あの完璧な美男子が、「勇気がいる」なんて。
「もしよろしければ、仕事の打ち上げを兼ねて、一緒に行っていただけませんか?」
心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
これは、仕事?
それとも、誘われているの?
(……落ち着け、自分。深読みしちゃダメだ。彼はプロで、私はただの担当者。ただの付き合いなんだから)
脳裏に、あの高校時代の声がよぎる。
『妹に近づくための、最短ルートなんだよ』
でも。
御子柴さんは、今日、はっきりと芽衣を拒絶した。
彼女の笑顔に惑わされず、私だけを見て魔法をかけてくれた。
「……私でよければ。お供します」
私の返事を聞いて、御子柴さんの顔にパッと明るい笑みが浮かんだ。
まるで子供のような、無邪気な笑顔。
そのギャップに、私の鼓動はさらに速くなっていく。
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