テラーノベル
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大気汚染で汚れた雨が、飲み込まれそうな程黒いアスファルトを濡らしていた。
巨大電脳都市「オプティマ」の第8スラム街。
路地裏の吹き溜まりで、一人の男が激しく息を切らしながら、壁に背を預けていた。
男の脳内チップからは、警告アラートが鳴り響いている。
【エラー:不満因子の過剰検出。速やかに思考をクリーンにしてください】
「うるせぇ ……! ちの記憶を、これ以上勝手に弄らせるか…! 」
男は頭を抱える。
彼ら人間は「システム」に感情を管理され、都合の悪い過去を消され続けてきた人間たちの生き残りだった。
今日こそ、この街の欺瞞を告発する動画を全域にハッキング送信するはずだった。
だが、その計画はすでに潰れている。
路地の奥から、静かな、しかし規則正しい足音が近づいてきたからだ。
コツ、コツ、と、濡れた地面を叩く革靴の音。男が恐怖に顔を跳ね上げると、暗闇から「それ」が現れた。
仕立ての良いスーツ。 その上に羽織った、汚れ一つない純白の白衣。
あまりにもアンバランスな着こなしの主には、頭がなかった。
あるのは、鈍く光るヴィンテージ調のブラウン管テレビ。
「思考の乱れを感知しました。市民番号9402。あなたの『怒り』は、都市の景観を損ねるんです」
テレビのスピーカーから、ノイズ混じりの、しかし驚くほど低く洗練された紳士の声が響く。
都市最高ランク執行官、コードネーム「NOnull(ヌル)」。
「くるな……、来るんじゃねえ!」
男はポケットから不法改造された電子銃を抜き、引き金を引いた。
放たれたプラズマ弾がNOISEの胸を捉える——かに見えた。
しかし、NOISEは避ける動作すら見せなかった。胸ポケットのチーフを軽く指先で整えるような、優雅な動作。
次の瞬間、奴のテレビ画面が青く爆発的に明滅した。
空間を裂くような電子音が響き、放たれた弾丸は空中で青い粒子となって霧散する。「っ……!?」
「無駄なエネルギーの消費です。それもまた、あなたの脳がバグを起こしている証拠だ」
気づいた時には、奴の白い機械的な手が、俺の頭に乗っかっていた。
「修正 を開始します。痛みを伴う可能性がありますが、それはあなたの心が未だ有機物であるからです。すぐに改善されますよ」
奴の画面内が、激しく砂嵐を上げ始めた。
ザーーーッ、という強烈な音とともに、画面が「Processing started」という文字でいっぱいになる。
男の目から光が消える。男の脳内にあった「システムへの怒り」「死んだ仲間の記憶」「自由への渇望」のデータが、光の帯となって、私の脳内ファイルにへと吸い込まれていった。
ファイル内から、男の記憶がノイズ混じりの映像を取り出し再生する。
泥臭い人間の反抗、叫び、涙。
それらを再度ファイルの奥に完全に閉じ込めると、私は静かに手を離した。
男は糸の切れた人形のように、そのまま倒れ込んだ。
数秒後、男はゆっくりと、何事もなかったかのように立ち上がった。
その目は、先ほどまでの怯えや怒りが嘘のように、濁りなく澄み切っている。
「……おはようございます、執行官様。今日も良い日ですね」
男は穏やかな、完璧な笑顔を浮かべて一礼した。
「あぁ。では、自らの仕事に真面目に取り組むように。」
私はそう言い、男に背を向けて歩き出した。
だが、その時。
画面上に、奪い取ったばかりのデータとは違う「異様な信号」が走った。
そしてその次の瞬間に、画面に映し出されたのは——
私が全く知らない、泣き叫ぶ一人の少女の顔。
『……お父さ…助…て……!』
「…ッッ…」
私は動きを止めた。そして考える。
今のは何のデータだ? 自分のシステムエラーか?
ピクセル状の画面表示には、驚いたような顔が表示されていた。
【第1話 日常?】【第2話:8月15日公開】
マカロン
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向日葵(...)
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コメント
1件
読んだよ!!めっちゃサイバー感あってかっこよかった〜😭💕 執行官のテレビ画面とか、感情をデータとして消し去るシステムとか、世界観がもうエモすぎる…! 最後に映った「お父さ…助…て…!」の少女がめっちゃ気になるんだけど!? 第2話、8月15日待ってるね⋆♡ 続きが気になりすぎて眠れそうにないよ〜🌸