テラーノベル
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テレビ頭が目立つ彼、null(ヌル)は、都市の管理システムへ任務完了の報告を行っていた。
報告書を送信すると、システムのAIが、自動的に返事を返信するのだ。
『【報告書_確認完了 】
製造番号1101、任務中に不審なエラーが検出されました。』
そう返信が来たのを確認すると、すぐさま
『ただの通信障害です。問題ありません。』と送信する。
システムに嘘を付くのはこれが初めて。
彼はネクタイを整え直す。次の任務まで、まだ時間がありそうだ。
一際目立つ、黒い要塞のような建物。
ここは本拠地。nullのようなアンドロイドが休んだり、街の監視をする場所である。
中に入ると、早速部下のアンドロイドに話しかけられた。
『お疲れ様です、執行官。今日はもうお休みになられますか?』
『あぁ、そうするつもりだよ。』
そう言うと、部下は1歩下がり、背筋を伸ばし、敬礼をした。
深夜、システムの警戒が薄まる頃に、彼は
昼間の謎の少女の記憶を突き止めるために
システムへプライベート接続をしていた。
報告を行った後、彼のデータ内を詮索してみても、少女に関するデータは一切無かったからだ。
彼にとっては、データを探すのはとても容易である為、すぐに見つけることができた。
少しの緊張の中、記憶の映像を解析していくと、少女が着ている服のバッチが、かつて都市が建設される前に存在した、【旧・政府研究所】のマークであることがわかった。
政府研究所は、我々アンドロイドを主に研究
していた場所である 。
彼もそこで製造されたのだ。
次の日、彼は少し離れた場所にある都市へ、
調査に出掛けていた。
nullのアンテナのセンサーが新たな感情分子を感知し、すぐ現場に急行することになった。
センサーの反応を頼りに走って行くと、一人
10代辺りの若者を発見した。
近くに寄って行くと、若者はこちらに気が付いたようだった。
恐怖に震え上がりながらも、
『だ、誰か助けて!!』
と叫んだ。
『思考の乱れを検知しました。 修正を開始
しま…、』
昨晩、少女について調べていたからか、
ノイズ混じりに、彼女の声や怯えた表情が映し出され、目の前の若者と重なり、手が止まる。
『……仕方ないですね…。』
と呟き、若者の記憶内に、
『今回だけは見逃します、早く逃げなさい』という音声を流し、しばらく感情を安定させる
プログラムをチップに埋め込んだ。
若者は少し驚いた顔をしながらも、軽く頷き、走り去った。
ここ周辺は建物が多いので、nullのように高度なセンサーが無いとすぐ見つけるのは厳しいはずだ。しかも、感情が安定している事で、nullでも今から探し出すのは難しい。
nullがその場を立ち去ろうとした時、 背後のビルから、
パチ、パチ、パチ
とゆっくりとした拍手が聞こえた。
驚いてすぐに後ろを振り向くと、
『…誰ですか?』
と目の表示が少し驚いたような表示になりながらも、暗闇に隠れている何かに問い掛ける。
『ははッ 。これは面白い所を見てしまったようだよ。まさか優秀なエリート様、が反逆者を逃がす、というのはまさに面白いですね~ 』
と、言いながら暗闇から出てきたのは、
同じ記憶や感情を削除するアンドロイド、
そしていつも業務成績の1位を争っているライバルの、【Jamming(ジャミング)】。
一見人間のような見た目をしているが、
怖いくらい狂気的に笑っている仮面が特徴的なまさに狂気的キャラだ。
『あぁ~…。まさか見つかってしまうとは…
これは想定外でしたね…、 』
nullの画面には、苦笑いしているような表情が表示されていた。
第2話: エラーコード/000
第3話:8月17日公開
コメント
1件
みぅです🥀 第2話、読ませていただきました。 nullが初めてシステムに嘘をつくところ、アンドロイドなのに人間くさい「仕方ないですね」って呟きがすごく刺さりました…。あの優しさこそがエラーなんだろうけど、それがすごく人間っぽくて好きです。 最後のジャミング登場、いきなり緊張が走りましたね…! 次どうなるんだろう、続きが気になります💦