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にゃーにゃ
そういえば、ちょっと待って。さっき『くっ付いてたら』って言ったよね?
嫌な予感は的中して、一緒にベッドに潜り込んだ佐久間くんは俺の腕にぎゅっとしがみついてきた。もうこれじゃ、背を向けて寝ることも出来ない。
せめて仰向けは維持しよう。俺の精神衛生の為に。
「なあ、蓮。ワガママばっか言って、ごめんな。呆れてるだろ? 歳上のくせにって」
「そんなことないよ。あんなことがあった後だし、不安になるのはしょうがないよ。俺だってびっくりしたし」
「…お前、優し過ぎるだろ。騙されたりしないか佐久間さん心配なんだけど」
「何それ。俺だって誰かれ構わずこんな風に優しくするわけじゃないよ?」
「それなら…蓮の中で、俺は特別枠にいるってこと?」
特別どころじゃない。けど、どう言ったらいい?
何て答えようか困って佐久間くんの方に顔を向けると、思いの外真剣な目とぶつかった。
「…佐久間くんは、特別だよ。同じグループのメンバーだし、風呂友だし、先輩後輩だし…俺の大事な人だよ」
「うん……ありがと、蓮」
そう囁いた佐久間くんの瞳が、少し泣きそうに見えたのは気のせいだろうか。多分、俺に都合の良い幻覚なんだろう。
眠れないかもなんて心配をよそに、触れ合ったお互いの温もりが心地良くてゆっくりと眠りへと誘われていった。
佐久間くんの体温がくすぐったくて、その身体から香るボディーソープの匂いも甘く感じる。同じ物を使ったはずなのに不思議で、でもそれが何だか安心出来たんだ。
深く深く眠りに潜った意識がほんの少し浅くなった頃。夢か現か、頬に何か温かい物が触れて佐久間くんの微かな囁きを聞いた気がした。
「…俺のことなんて、守ろうとすんなよ。お前がそんな優しいから…」
それは無理だよ。だって、こんなに佐久間くんが好きなんだ。
佐久間くんが俺を好きじゃなくても。俺は佐久間くんを守りたい。
誰より大切なんだ。好きだよ、佐久間くん。
声にならない囁きを心が零しながら、再び意識は深い眠りへと沈んでいった。
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