テラーノベル
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凄まじい速さだった。
気づけば、先輩たちは動けなくなっている。
阿部の目は——
感情が削ぎ落ちていた。
冷たい。
このままだと…
ほんとうに、やってしまいそうな目。
🩷「阿部くん!」
声をかけても、止まらない。
🩷「阿部くんってば!!」
その叫びで、ようやく手が止まった。
ゆっくり振り向く。
その瞬間、
俺は堪えていたものが溢れた。
🩷「こっち来て……」
涙が止まらない。
阿部は一瞬だけ息を呑んだあと、
すぐに駆け寄ってきた。
そして、優しく抱きしめる。
さっきまでの冷たい目は、もうない。
💚「……ごめん」
低く、震えた声。
🩷「俺こそ…あの時、怖いなんて言って、ごめん」
顔を上げる。
🩷「もう離れないで」
阿部の目が大きく揺れた。
そして、
強く、強く抱きしめる。
💚「離さない」
その声は、さっきまでとは違う。
壊れそうなくらい、必死だった。
⸻
しばらくして。
💚「……落ち着いた?」
🩷「うん」
💚「遅れてごめん」
🩷「どうして場所、わかったの?」
少しの沈黙。
💚「心配で……前に、位置情報共有した…」
💚「勝手に」
💚「こういうとこが…怖いよな」
目を逸らす。
佐久間は、首を横に振った。
🩷「助けてに来てくれて」
🩷「ありがとう…」
そっと顔を近づけ、阿部の頬に触れた。
💚「……そんなことしたら」
💚「俺、自制きかなくなる」
🩷「いいよ」
🩷「阿部くんなら」
言葉はそれだけ。
二人の距離は、静かに縮まった。
最初は恐怖だったはずなのに
今はその熱に包まれていたい自分がいた。
つづく。
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