この作品はいかがでしたか?
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美術の授業癒しレベル
⚠注意⚠
・さがうみ(相良×海瀬)
・死ネタ 恋愛 BL 創作設定 要素あり
・海瀬視点
天京戦争の時空です
隣を見れば、手入れされてる綺麗なクリーム色の髪と、形の整ってる横顔。いつ見ても飽きない。
…詩人みてぇなこと言ってるが、素直に思ったことを言っただけだ。
相良「おい、海瀬」
ずっと見ていたみたいだ。全く気づかずにぼーっと凝視していたっぽい。
「あ、すまん」
相良「別にいいけどよ」
素っ気ない言葉に、少し寂しく思うのはなんでなんだ。慣れているはずなのに。
視線をパソコンにやり、キーボードで文字を打つ。正直に言うとするなら、キーボードで文字をうつのは少し苦手だ。
しばらく仕事と闘っていると、相良に肩を叩かれた。
相良「屋上行かねぇか?息抜きで」
目を合わせているこの時間、心臓の鼓動がよく聞こえた。
「あ?嗚呼…わかった」
席を立ち上がり、相良と屋上に向かう。
ドアを開けると、少しだけひんやりとした風が、俺の頬を通り過ぎる。
「今日は晴れだっけか」
相良「そうだな、眩しいからちと苦手」
そう言って、ポケットからタバコを取り出し、ライターで火をつけていた。口にくわえたあと、口からふーっと煙を出していた。
相良「吸う?」
タバコを渡されたが…
「すまん、俺タバコ吸えねぇんだ」
相良「そうか」
どうもタバコは好きになれない。だって、吸うとむせることが多くあるからな。
柵に近寄り、景色を見渡す。
景色といっても、同じような感じのビルとかいつも行ってるコンビニとかの、ごく普通の日常みたいなやつ。
夕方だからか、赤とオレンジが黄色に覆いかぶさっている。
遠くの日を見つめながら、相良が口を開く。
相良「なんか、抗争終わんねぇな」
「だな、早く終わってほしいもんなのによ」
抗争なんて、いつ誰が死ぬか分からない。
心配の念を相良に目で伝える。伝わるわけないと思っていたが、気づいてくれたのか俺の頭に左手をのせる。
相良「俺は死なねぇよ、生き残ってやるから」
「…信じてるぞ」
相良「おう」
信じてるとは言ったものの、正直死んでしまうんじゃないかってすごく怖い。視線を下に向けていると、急に相良の声が耳にはいる。
相良「お前やっぱわかりやすいな」
にやりとした顔で、そう言われた。
「え?」
思わず間抜けな声が出ちまった。
相良「そのまんまの意味だ」
そして、再び口にタバコを咥えていた。もうすぐ火が消えそうなとき、強風が俺たちをつつみこむように吹いてくる。
俺は寒さで肩があがり、両手で腕を掴んでいた。一方、相良の咥えていたタバコは火が消えていた。
「なぁ、相良」
相良「どうした」
ちょっと不機嫌な様子でこっちを見てきた。
「好きだっていう想いを伝えてぇ奴っている?」
相良「んなもん居ねぇよ」
予想通りの答えなはずなのに、思わず涙がでてきそうになった。
相良「お前は居んの?」
「…いや、居ねぇ」
嘘だ。本当は、お前に好きだってこと伝えたい。
相良「てっきり居るんじゃねぇかと思ってたわ」
「…居たとしても、伝えることに躊躇するかもしれねぇな」
そう笑いながら言っているが…まさに今だ。伝えたいけれど、さっき居ないと言ってしまったからにはもう言えない。
さっきのことをちょっと後悔してると、ドアが勢いよく開いた。
久我「相良の兄貴、探しました!」
相良「久我じゃねぇか…」
不機嫌なところは隠せていない、ほんと相良らしい。
久我「カシラが呼んでたんで…」
相良「まじか、すまねぇ海瀬。ちと行ってくるわ」
俺に背を向けて、扉から出て行ってしまった。
気がつけば、どんどん空が暗くなっていく。
(神さん、相良を生かしてくれよな)
叶うか分からない願いを、神さんに心の中で告げる。
地面を見ると、相良が捨てた吸殻があったので拾った。その吸い殻を持ちながら、屋上から出て行く。
相良のデスクに灰皿があったので、そこにさっきの吸殻を置いておいた。
一条「海瀬の手 何故に吸い殻 なんでなん~」
「相良が捨ててたからな」
一条「なるほどな、てっきりタバコデビューしたのかと」
「んな簡単にするか」
たまにふざけた俳句を言いながら、俺に近寄ってくる様は何度見ても面白い。
俺は咄嗟に周りを見渡す。
「あれ、相良はどこいった?」
一条「相良なら、さっきカシラに呼ばれて…そっから外に行ってたぞ。しかも1人で」
「鷹橋連れてかねぇのかよ」
一条「まぁ、まとめてぶち殺されなくて済むからいいだろ」
「そうだな」
天羽組の冨樫を殺してんだ、相良と鷹橋が狙われるのは当然だろう。2人で行動してたら、いっぺんに殺られるかもしれない。
(それ考えると1人の方が…いいのか?)
疑問に思いつつも、俺は一条と少しの間話してからデスクに戻った。
武器の手入れをしていると、携帯の着信音が鳴った。
只今夜の9時…こんな時に電話は珍しい。
電話の画面を見てみると、相良からだった。
「もしもし、相良?」
相良『もしもし、もうすぐ帰るってだけ伝えておくわ』
「なるほどな、てか俺じゃなくてもいいだろ」
相良『気にすんな、じゃ』
すぐに電話を切られた。正直に言えば、もっと通話していたかったのに。
ちょっと不満を持ちつつも、俺は帰ってくるのを待った。
20分…30分…50分…いくら待っても帰ってこない。
心配になった俺は探しに行くことにした。
「すまん一条、ちょっと相良探しに行ってくる」
一条「場所わかるのか?」
「…どこだっけ」
一条「場所わからんまま行こうとすな」
真顔でツッコミされながらも、場所を教えてもらった。
走っている途中、全部赤信号だった。場所が少し遠いからか、体力が持たなくなりそうだった。
「はぁ、はぁっ”…」
脇腹が痛くなりつつある。
路地裏を通ると、鉄のような匂いが微かにした。嫌な予感がしつつも、通り抜けると…
「は、え?」
地面に倒れている相良がいた。
「おい、相良…」
倒れている相良に近寄り、顔に手を置く。今日の手の温もりと違って、とても冷たく感じた。
「なぁ、しっかりしろよ」
いくら軽くゆさぶっても、相良の目は閉じたまま。
しっかりと相良を見たいのに、視界がぼやける。それから徐々に鼻がつまってくる。
「俺さ、お前のことッ”…好きだったんだ。組に入っ”た頃から”っ、ずっと、嫌い”な時期も…あっ”たけど」
気が付けば、口が止まらなかった。
「後悔してるよ”…ッぐ、早く伝えとけばよかった”って…」
相良の顔に、雫が一滴、また一滴とこぼれていく。
袖で涙を拭い、二度と喋ることのない相良に質問をする。
「俺が相良のこと好きって言ったら、どう反応するんだ」
こう言っても、もう答えてはくれない。
死んでも尚、手入れされてる綺麗なクリーム色の髪と、形の整った横顔は変わらないまま。
(帰ってこねぇもんな、)
片手で、相良の顔を自分の方に向ける。そして、相良の顔に、自分の顔を近づけた。
一度も触れることがなかった相良の唇…そこに俺は自分の唇を重ねた。
3秒くらいしてから離したが、吸ったばかりなのか、煙のような感じが口に残っていた。
そして、この世に居ない悲しさと伝えられなかった後悔を、こぼれている涙に詰め込めだ。
コメント
7件
グッハ めちゃくちゃ尊いです!! これからもがんばってください!!
あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーー切なすぎるgそhっdじゃjhふぉあっjぉ↓bfじh↑wjづど クソほど儚いし尊いです、もう好きです さがうみ供給ありがとうございます…ちょっと正夢になりました