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叶いそうにない恋とタバコ

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叶いそうにない恋とタバコ

1 - 叶いそうにない恋とタバコ

♥

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2024年10月13日

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美術の授業癒しレベル


⚠注意⚠

・さがうみ(相良×海瀬)

・死ネタ 恋愛 BL 創作設定 要素あり

・海瀬視点


天京戦争の時空です










隣を見れば、手入れされてる綺麗なクリーム色の髪と、形の整ってる横顔。いつ見ても飽きない。

…詩人みてぇなこと言ってるが、素直に思ったことを言っただけだ。

相良「おい、海瀬」

ずっと見ていたみたいだ。全く気づかずにぼーっと凝視していたっぽい。

「あ、すまん」

相良「別にいいけどよ」

素っ気ない言葉に、少し寂しく思うのはなんでなんだ。慣れているはずなのに。

視線をパソコンにやり、キーボードで文字を打つ。正直に言うとするなら、キーボードで文字をうつのは少し苦手だ。




しばらく仕事と闘っていると、相良に肩を叩かれた。

相良「屋上行かねぇか?息抜きで」

目を合わせているこの時間、心臓の鼓動がよく聞こえた。

「あ?嗚呼…わかった」

席を立ち上がり、相良と屋上に向かう。

ドアを開けると、少しだけひんやりとした風が、俺の頬を通り過ぎる。

「今日は晴れだっけか」

相良「そうだな、眩しいからちと苦手」

そう言って、ポケットからタバコを取り出し、ライターで火をつけていた。口にくわえたあと、口からふーっと煙を出していた。

相良「吸う?」

タバコを渡されたが…

「すまん、俺タバコ吸えねぇんだ」

相良「そうか」

どうもタバコは好きになれない。だって、吸うとむせることが多くあるからな。

柵に近寄り、景色を見渡す。

景色といっても、同じような感じのビルとかいつも行ってるコンビニとかの、ごく普通の日常みたいなやつ。

夕方だからか、赤とオレンジが黄色に覆いかぶさっている。

遠くの日を見つめながら、相良が口を開く。

相良「なんか、抗争終わんねぇな」

「だな、早く終わってほしいもんなのによ」

抗争なんて、いつ誰が死ぬか分からない。

心配の念を相良に目で伝える。伝わるわけないと思っていたが、気づいてくれたのか俺の頭に左手をのせる。

相良「俺は死なねぇよ、生き残ってやるから」

「…信じてるぞ」

相良「おう」

信じてるとは言ったものの、正直死んでしまうんじゃないかってすごく怖い。視線を下に向けていると、急に相良の声が耳にはいる。

相良「お前やっぱわかりやすいな」

にやりとした顔で、そう言われた。

「え?」

思わず間抜けな声が出ちまった。

相良「そのまんまの意味だ」

そして、再び口にタバコを咥えていた。もうすぐ火が消えそうなとき、強風が俺たちをつつみこむように吹いてくる。

俺は寒さで肩があがり、両手で腕を掴んでいた。一方、相良の咥えていたタバコは火が消えていた。

「なぁ、相良」

相良「どうした」

ちょっと不機嫌な様子でこっちを見てきた。

「好きだっていう想いを伝えてぇ奴っている?」

相良「んなもん居ねぇよ」

予想通りの答えなはずなのに、思わず涙がでてきそうになった。

相良「お前は居んの?」

「…いや、居ねぇ」

嘘だ。本当は、お前に好きだってこと伝えたい。

相良「てっきり居るんじゃねぇかと思ってたわ」

「…居たとしても、伝えることに躊躇するかもしれねぇな」

そう笑いながら言っているが…まさに今だ。伝えたいけれど、さっき居ないと言ってしまったからにはもう言えない。

さっきのことをちょっと後悔してると、ドアが勢いよく開いた。

久我「相良の兄貴、探しました!」

相良「久我じゃねぇか…」

不機嫌なところは隠せていない、ほんと相良らしい。

久我「カシラが呼んでたんで…」

相良「まじか、すまねぇ海瀬。ちと行ってくるわ」

俺に背を向けて、扉から出て行ってしまった。

気がつけば、どんどん空が暗くなっていく。

(神さん、相良を生かしてくれよな)

叶うか分からない願いを、神さんに心の中で告げる。

地面を見ると、相良が捨てた吸殻があったので拾った。その吸い殻を持ちながら、屋上から出て行く。

相良のデスクに灰皿があったので、そこにさっきの吸殻を置いておいた。

一条「海瀬の手 何故に吸い殻 なんでなん~」

「相良が捨ててたからな」

一条「なるほどな、てっきりタバコデビューしたのかと」

「んな簡単にするか」

たまにふざけた俳句を言いながら、俺に近寄ってくる様は何度見ても面白い。

俺は咄嗟に周りを見渡す。

「あれ、相良はどこいった?」

一条「相良なら、さっきカシラに呼ばれて…そっから外に行ってたぞ。しかも1人で」

「鷹橋連れてかねぇのかよ」

一条「まぁ、まとめてぶち殺されなくて済むからいいだろ」

「そうだな」

天羽組の冨樫を殺してんだ、相良と鷹橋が狙われるのは当然だろう。2人で行動してたら、いっぺんに殺られるかもしれない。

(それ考えると1人の方が…いいのか?)

疑問に思いつつも、俺は一条と少しの間話してからデスクに戻った。




武器の手入れをしていると、携帯の着信音が鳴った。

只今夜の9時…こんな時に電話は珍しい。

電話の画面を見てみると、相良からだった。

「もしもし、相良?」

相良『もしもし、もうすぐ帰るってだけ伝えておくわ』

「なるほどな、てか俺じゃなくてもいいだろ」

相良『気にすんな、じゃ』

すぐに電話を切られた。正直に言えば、もっと通話していたかったのに。

ちょっと不満を持ちつつも、俺は帰ってくるのを待った。

20分…30分…50分…いくら待っても帰ってこない。

心配になった俺は探しに行くことにした。

「すまん一条、ちょっと相良探しに行ってくる」

一条「場所わかるのか?」

「…どこだっけ」

一条「場所わからんまま行こうとすな」

真顔でツッコミされながらも、場所を教えてもらった。




走っている途中、全部赤信号だった。場所が少し遠いからか、体力が持たなくなりそうだった。

「はぁ、はぁっ”…」

脇腹が痛くなりつつある。

路地裏を通ると、鉄のような匂いが微かにした。嫌な予感がしつつも、通り抜けると…

「は、え?」

地面に倒れている相良がいた。

「おい、相良…」

倒れている相良に近寄り、顔に手を置く。今日の手の温もりと違って、とても冷たく感じた。

「なぁ、しっかりしろよ」

いくら軽くゆさぶっても、相良の目は閉じたまま。

しっかりと相良を見たいのに、視界がぼやける。それから徐々に鼻がつまってくる。

「俺さ、お前のことッ”…好きだったんだ。組に入っ”た頃から”っ、ずっと、嫌い”な時期も…あっ”たけど」

気が付けば、口が止まらなかった。

「後悔してるよ”…ッぐ、早く伝えとけばよかった”って…」

相良の顔に、雫が一滴、また一滴とこぼれていく。

袖で涙を拭い、二度と喋ることのない相良に質問をする。

「俺が相良のこと好きって言ったら、どう反応するんだ」

こう言っても、もう答えてはくれない。

死んでも尚、手入れされてる綺麗なクリーム色の髪と、形の整った横顔は変わらないまま。

(帰ってこねぇもんな、)

片手で、相良の顔を自分の方に向ける。そして、相良の顔に、自分の顔を近づけた。

一度も触れることがなかった相良の唇…そこに俺は自分の唇を重ねた。

3秒くらいしてから離したが、吸ったばかりなのか、煙のような感じが口に残っていた。

そして、この世に居ない悲しさと伝えられなかった後悔を、こぼれている涙に詰め込めだ。

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