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なべ受け以外の作品集

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なべ受け以外の作品集

14 - 寂夜 🖤💚

♥

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2025年06月03日

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michiruさんの『プロポーズの日』を読んで、発想したおはなし。





静かな夜中に突然目を覚ました。


起きるには早すぎるので、もう一度目を閉じようとする。

しかし、身体は疲れているのに、目だけは何故か異様に冴えてしまい、俺は仕方なしに起き出した。


🖤「おっと」


腕の中には愛しい人。

小さく寝息を立てて、安心しきって眠っている。そのさらさらの前髪に、口付けを落とした。そしてそのまま息を殺して起こさないように用心しながら、俺は寝床を出た。


一度ベランダに出て、まだ闇に横たわっている夜明け前の外の街を眺めてみた。車も通らぬ路地に目を落とす。目の端に映った街灯が、チカチカと消えかけては明滅を繰り返している。それ以外は不穏なものは何もなく、街はひっそりと朝の訪れを待っている。


🖤「静かだ」


あらゆる音を吸い込むような、静寂の朝の訪れを待つポケットのような時間に、俺はわざと抗おうと口に出してそう言ってみた。

暑い昼間に比べ、この時間の空気は湿って、ひんやりとしている。こんな中途半端な時間の独りぼっちの俺の言葉なんて、誰も聞いていなかった。なんだかそれがとても心地いい。


普段は人に囲まれ、人に見られる仕事をしているからだろうか。

そのせいで随分といい思いもしているし、逆に割に合わないような辛い目にも遭ってきた。そしてそんな俺と同じように、苦楽を共にしたメンバーたちがいる。そんな彼等の中に、俺のことを好きだと言ってくれる人が現れた。そしてその人は、今では俺にとってかけがえのない人へと変わっていた。こうして今も、ベッドの中で、可愛らしい寝息を立てて夢の中にいる愛しい人。


そんな彼のことを想い、俺はふと胸に熱を宿した。


どんな寂しい夜にも。今夜のようにはそばにいられない夜でも、俺は彼のことを想っている。


こんな感傷的な気分に浸ってしまうのは、こうして眠る間だけは、夢の中の彼の隣にいられないからだろうか。ここまで愛し、求めた相手は後にも先にも俺の人生に存在したことがなかった。


跪き、愛を誓って指輪を嵌めた時の、彼の驚き、喜ぶ顔を俺は忘れることができない。手を取られ俺を見下ろすその愛らしい瞳は、自然と流れた美しい涙に濡れていた。


🖤「戻ろう」


水を一口飲んでから、ベッドに戻り、さきほどと同じ体勢で眠る彼の髪をそっと撫でた。そして自分の左手の薬指を意識して見つめた。先日、時間差で彼に贈ってもらった指輪。こうして二人でいる時だけは必ず嵌めている俺たちの愛の証。


耳元で愛してるよ、と囁き、後ろから彼を包むと、抱きかかえるようにして、俺は彼の体温を頼りに再び目を閉じた。







おわり。

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