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第55話『龍哭谷の罠』
北西平原。
なおきりの命令により。
虹国軍三万は龍哭谷へ向けて後退を開始した。
「急げ!!」
「遅れるな!!」
兵士たちが必死に走る。
背後には。
黒牙軍八万。
蒼厳軍十五万。
だが不思議なことに。
敵軍は深追いしてこなかった。
じゃぱぱが振り返る。
「変やな。」
「追って来ぉへん。」
シヴァも警戒する。
「蒼厳が何か考えてる。」
その頃。
黒龍軍本陣。
副官が尋ねていた。
「蒼厳様。」
「なぜ追撃しないのですか。」
蒼厳は龍哭谷を見つめる。
そして静かに答えた。
「龍哭谷は天然の牢獄だ。」
副官は理解する。
なるほど。
逃げ込んだつもりでも。
実際は袋小路。
閉じ込めれば終わる。
蒼厳は続ける。
「出口を塞げ。」
「兵糧路も断て。」
「戦わずに潰す。」
副官が震えた。
まるで機械。
感情がない。
勝つためだけの思考。
それが蒼厳だった。
数時間後。
龍哭谷。
巨大な断崖に囲まれた峡谷。
虹国軍はようやく到着した。
兵士たちは疲れ切っている。
なおきりも地図を見る。
「ここなら守れる。」
じゃぱぱは頷いた。
「入口は狭い。」
「大軍は入れへん。」
しかし。
シヴァの表情だけが暗い。
「嫌な予感がする。」
その時だった。
見張りの兵士が叫ぶ。
「報告!!」
「谷の北出口!」
「既に敵軍がいます!!」
全員が凍りつく。
「何?」
なおきりが駆け上がる。
高台から北を見る。
そこには。
黒龍軍の旗。
数万。
既に陣取っていた。
じゃぱぱが絶句する。
「いつの間に…。」
さらに。
南入口。
蒼厳軍本隊が到着。
完全封鎖。
龍哭谷は閉じられた。
その頃。
王都。
光金王のもとへ報告が届く。
「北西平原敗走。」
「なおきり将軍ら龍哭谷へ退却。」
「現在消息不明。」
軍議の間が静まり返る。
のあが目を閉じる。
もふも言葉を失う。
三万の軍勢。
じゃぱぱ。
なおきり。
シヴァ。
虹国最強戦力の一角が孤立した。
さらに。
東には黄雷。
南西には炎獄。
王都そのものも危機に瀕している。
光金王は静かに立ち上がった。
「私が出る。」
全員が驚く。
王自ら出陣。
それは最後の切り札を切るという意味だった。
しかし。
その時。
新たな伝令が飛び込む。
「緊急報告!!」
「黄雷軍が進路変更!!」
「王都ではありません!!」
のあが振り向く。
「どこへ?」
伝令は震えながら答えた。
「龍哭谷です!!」
静寂。
黒牙。
黄雷。
蒼厳。
黒龍四天王のうち三人が。
同じ戦場へ集まり始めていた。
そして誰も知らない。
第二席・炎獄もまた。
別の目的を持って動き始めていることを…。
龍哭谷。
そこは虹国にとって。
最大の試練の地となろうとしていた。
コメント
1件
うわあ、第55話、読み終えました…。これはまた心臓に悪い展開が来ましたね。 蒼厳さんの「戦わずに潰す」っていう冷徹さ、ぞっとしました。「天然の牢獄」って表現がまさにで、三万が孤立した絶望感がひしひしと伝わってきます。しかも黄雷まで龍哭谷に向かってるっていうのは…黒龍四天王が三人も集結するって、もう完全に袋のネズミじゃないですか。 シヴァの「嫌な予感がする」が的中しちゃったのがまた切ない…。あの第六感、信じたくなりますよね。 そして最後の「炎獄も動き始めている」っていう一文がもう。何が起こるんだろう。もふもふやのあの反応も含めて、王都も龍哭谷も同時進行で気になって仕方ないです。🍙さん、次の展開が待ちきれません!
#リゼロ
すず
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