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第56話『三天集結』
龍哭谷。
断崖に囲まれた巨大な峡谷。
そこに。
虹国軍三万が閉じ込められていた。
南出口。
蒼厳将軍率いる十五万。
北出口。
黒龍軍数万。
完全包囲。
兵士たちの表情には疲労と不安が浮かんでいた。
なおきりは高台から周囲を見る。
「……。」
状況は最悪。
兵糧は限られる。
水も十分ではない。
時間が経てば経つほど不利になる。
じゃぱぱが隣へ来る。
「考え込んどるな。」
なおきりは苦笑した。
「珍しくな。」
じゃぱぱも笑う。
だが。
その笑顔の裏には焦りがあった。
その時。
見張りの兵が叫ぶ。
「北方に軍影!!」
全員が振り向く。
土煙。
黒い旗。
そして。
黄金の雷紋。
兵士たちの顔色が変わる。
「まさか…。」
「来たぞ…。」
やがて軍勢が姿を現す。
先頭には一人の男。
黄雷将軍。
黒龍四天王第三席。
迅雷の閃光。
黄雷は谷を見渡す。
そして笑った。
「なるほど。」
「面白い場所だ。」
北側の黒龍軍が歓声を上げる。
これで。
北は黄雷。
南は蒼厳。
虹国軍の逃げ道は完全に消えた。
じゃぱぱが舌打ちする。
「最悪や。」
シヴァも顔をしかめた。
「黒牙だけでも大変なのに。」
その時。
谷の外から豪快な笑い声が響く。
「ガハハハハ!!」
全員が振り向く。
そこにいたのは。
黒牙将軍。
巨大な斧を担ぎながら現れる。
「やっと集まったな。」
黒牙。
黄雷。
蒼厳。
黒龍四天王のうち三人。
同じ戦場に揃った。
虹国軍の兵士たちが震える。
誰もが理解していた。
これは。
普通の戦いではない。
絶望そのものだと。
しかし。
なおきりは前へ出た。
「だから何や。」
全員が見る。
なおきりは槍を肩へ担ぐ。
「三人おっても。」
「負ける気せぇへん。」
兵士たちの目が変わる。
じゃぱぱが吹き出した。
「ははっ。」
「それでこそや。」
シヴァも笑う。
「言うと思った。」
その姿を見た黒牙も笑う。
「やっぱり好きだな、お前。」
だが。
黄雷は冷たい目でなおきりを見る。
「威勢だけか。」
蒼厳は何も言わない。
ただ見ている。
まるで戦局全体を眺める神のように。
そして。
その夜。
黒龍軍本陣。
蒼厳。
黄雷。
黒牙。
三人が同じ天幕に集まっていた。
黄雷が地図を見る。
「明日で終わる。」
黒牙は笑う。
「俺がなおきりを倒す。」
しかし。
蒼厳だけは静かだった。
しばらくして口を開く。
「いや。」
二人が見る。
蒼厳は地図の一点を指差した。
龍哭谷中央。
なおきりたちの本陣。
「明日。」
「私が出る。」
天幕の空気が変わる。
黒牙ですら驚いた。
蒼厳が自ら戦場に出る。
それは。
黒龍国において最終局面を意味していた。
そして。
龍哭谷の運命を決める戦いの朝が。
静かに近づいていた…。
#リゼロ
すず
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コメント
1件
おお…四天王のうち三人が揃っちゃいましたか…。ここまで追い詰められた虹国軍ですが、なおきりの「負ける気せぇへん」の一言でぐっと空気が変わる感じ、すごく好きです。そして蒼厳将軍が自ら出るという展開、背筋が伸びるような緊張感がありました。明日の決戦、どうなるんだろう…続きが気になります!