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皐月side
遥に喝を言われて俺は身体の中にあった重みがスっと消えてくのを感じた。
そっか、そうだったんだ。
俺は、俺でいいんだ。何かを願ったり望んだりしていいんだ。
ちゃんとした……人間なんだ。
皐月『……遥…。』
桜「…、何だよッ!てっ!急に抱き着くなッ!」
あわあわしてる遥に対して
皐月『ありがとう、俺を…、見つけてくれて。』
遥はピタッと止まりながらも
照れ臭そうに、…おぅ。と呟いてくれた。
本当にこの町に来てから心を左右されることばかりだ。
でも、悪い気はしない、寧ろ暖かい。
誰かに受け入れられるのは両親以来で……、こうして誰かに抱き締められて、温もりを感じるのも…、こんなに幸せな気分になるんだな…。
もっと早くこの町と出逢えてたら…、俺はもっと幸せになれたかもしれない。
翌日
皐月『遥ありがとうな!色々あったけど、俺考え方変わったよ!』
桜「そ、そりゃ良かったな、梅宮のとこでも仲良くしろよな。」
皐月『おう!じゃ!また町でな!』
俺は遥の家を後にして梅宮が住む施設へと向かった。
in施設
皐月『……あ、あの〜。』
設楽「お?お前か?梅宮の客人って!」
皐月『た、多分そうです……。』
設楽「んな畏まることないぞ!俺はここで先生やってる設楽って言うんだ!梅宮から色々話は聞いてるぞ!」
皐月『あ、あはは、さいですか……。』
設楽「園には子供が沢山いるし、ゆっくり出来ないだろうから俺の知人が部屋貸してくれるって言ってくれたからそこ使うといい!梅宮にも話してるから…。もうそろそろ来るんじゃないか?」
皐月『えっ、わざわざ…すいません、俺なんかの為に……。』
設楽さんは俺の言葉の後に
設楽「…、俺なんか、ねぇ。そんな自分を無下にしたらアイツは悲しむと思うぞ、アイツも昔はよく俺なんかって言ってたし、皐月くんはここに来てどう思った?どうしたいと思えた?」
スゲーぐいぐい来るな……。
皐月『……、ここに居る人を、この町を守りたいって…思えました。』
コレは嘘偽りない、俺が思ったこと。
設楽「ははっ!そっかそっか!だから梅宮も気に入ったんだな!俺も君を気に入ったよ!」
皐月『…へ?』
設楽「……、正直さ、昔は俺風鈴嫌いだったんだよ、喧嘩ばっかで周りに迷惑ばっかかけるヤツらだったから……。梅宮も両親の事故…聞いた?」
俺は静かに頷いた。
設楽「そっか、それでアイツ死にたいって思ってたらしい。」
皐月『え、梅宮が?』
設楽「そうだ、わざと抗争に行って喧嘩して死ぬつもりだったらしい、それを風鈴の1人が止めたんだ、でもそれでも、死にたいと話したから屋上に連れてって落ちる様諭したらしい。」
梅宮が…?あの自己満野郎が?
設楽「ははっ!意外って顔してるな!確かにそうだよな…、今の梅宮を見るとそんな感じ、しないもんな……。」
梅宮にそんな過去があったのか…、俺と一緒で両親を亡くしたのは聞いたけど…詳しい話なんて聞いたこと無かった…。
いや、俺もか…。
設楽「……その顔見ると皐月くんも話してない事あったんだな…。」
皐月『い、いや!お、俺はッ…その……。』
設楽「良い良い!隠したい事なんて人間馬鹿みたいにある、それを話したいか隠したいかは本人の自由だ。」
何だろ…この安心感、そうか…。
梅宮はこの人を見て育ったんだ…。
だから安心するんだ…。
そんな事を思ってると
梅宮「さ、皐月ッ!すまん!遅くなっちまった!」
設楽「やっと来たなコノヤロー。」
梅宮「下の子を落ち着かせるのに大変だったんだってば!俺だって1番先に皐月を迎えに行きたかったよ…。」
2人のやり取りに笑みが零れた。
梅宮「ど、どうしたんだ?皐月?」
皐月『何か漫才みたいで、ふふっ、面白くって!』
俺の反応に2人はポカンとしながら
設楽「結婚式は呼んでくれよ?」
梅宮「勿論、呼ぶに決まってんだろ?」
皐月『待て待て待て、日本だぞここは?』
2人「愛があれば何とかなる!」
皐月『ダメだこりゃ。』