テラーノベル
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駅前にはたくさんの人がいた。
《駅の東口改札にいるね》
と健吾にメールをすると、健吾からすぐに返信がきた。
《俺、今、駅の東口入り口にいるよ》
茜も東口入り口の近くにいたから人を掻き分け、健吾の元に急いだ。
そして、健吾の顔が見える。
たった一週間ちょっと会わなかっただけなのに、懐かしい気がした。
「健吾ーっ!」
走って健吾の元へ向かう。
『おー。久々だなぁ。』
健吾がいつものように茜の頭をクシャっと撫でた。 涙が出そうな位に幸せで嬉しい。
健吾が好きと確信してから会ったのは初めてだったから、少し緊張しながら駅前を歩く。
『初めてデートするよなぁ。 いつも俺のマンションかクラブだったし。
バーベキューも、みんないただろ?』
健吾もなんとなくソワソワしていた。
二人共、少しお腹が空いていたから近くのカフェに入り、一息つく。
時間が経つにつれ、茜もいつものペースで会話できるようになってきて、二人の会話は弾んだ。
カフェを出てゲームセンターに行き、キャーキャー騒ぎながらゲームをした。 健吾はUFOキャッチャーで、プーさんのぬいぐるみを取ってくれた。
楽しい時間はあっとゆうまに過ぎ、日が暮れてくる。 健吾は今晩、夏くんや祥さんや迷惑をかけた人に謝りに行くから、そろそろ茜は健吾と別れなくてはいけない。
プーさんのぬいぐるみを抱き締め、イルミネーションが点灯している駅前の通りを健吾と歩く。 お互いに口数が少なくなり、どちらからともなく自然に手をつないで歩いた。
『そろそろ行かなきゃな。
ゆっくりできなくて、ごめんな。』
健吾が言った。
そして、健吾の車が停めてある駐車場に向かう。
健吾が茜を家まで送ると言い、二人は車に乗った。
今言わないと・・・。
茜は緊張してしまい、健吾に話し掛けられてもうわの空の返答ばかり。
そのうち健吾も話さなくなり、無言のまま車は茜の家についた。
そして、茜は勇気を振り絞り、口を開いた。
「この前は茜の為にありがとう」
健吾は少し照れながら、気にすんなよって言った。
ことばが続かなくなる・・・。
こんなに緊張したのは、小学校の歌の発表会以来じゃないかな・・・。
『茜は・・・』
健吾が口を開く。 そして、茜は思いがけない言葉を聞いた。
『俺にとって、かわいい妹みたいな存在だよ。』
「・・・」
かわいい妹・・・。
健吾以外の人に言われたら、とても嬉しい言葉。
でも、健吾には絶対言われたくない言葉・・・。
「妹を何度も抱くなんて、近親相姦じゃん」
顔だけ笑って言った。
『そうだよな』
健吾も笑った。
茜は健吾の車を降り、小走りで家の玄関のドアを開いた。
家に入ると急いでドアを閉める。 閉めた途端、涙がポロッとこぼれた・・・
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