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類司ワンドロライの産物です。
演目『ランチ』
三年生に進級して、嬉しいことがたくさんあった。
司くんと同じクラスになれたこと、今までよりもクラスに馴染めるようになったこと。特に、司くんと同じ教室で一緒に過ごすようになったから、以前よりも寂しくなくなった。
それと、昼食を教室で食べるようにもなった。特に最近は寒くなってきたから、外で食べる機会が減り、司くんの机で食べることが日常化している。
けれど今日は──
「今日は屋上に来て正解だな!」
僕の隣で眩しいくらいの太陽が、声を弾ませながらそう言った。
久しぶりに暖かくなり、せっかくだからと屋上で食べることになった。小春日和、というものだろうか。
「そうだね」
僕は彼に同意して、適当に屋上の隅に座る。最近寒かったから、今日は誰もいないね、なんて言うと、司くんも僕の隣に座ってくれた。しかも、体が密着するような距離に。
「ふふん、しかも今日は『ランチ』だぞ! オレの手作り弁当だ!」
快晴の下で僕と食べるランチはどうやら、彼は絶品だという。
「一口食べるか?」
そう差し出された卵焼きを一口でいただく。口の中に広がる優しい甘さが、僕にだけ許された味みたいに感じて、なんだか頬が緩んだ。
「大人になったら、この味が毎日食べられるのかな」
上目遣いにほんの少しの期待を乗せて、彼にそう訊ねる。すると司くんは少し不思議そうな顔をしてから、自慢げに言った。
「大人になったらと言わずに、卒業したらすぐ、ランチでもディナーでもモーニングでも、なんでも作ってやるぞ!」
司くんは眩しすぎる笑顔を、僕にだけ向けてくれた。
本当に司くんは、僕の期待を超えてくれる。
別に、僕が鼻を高くして言える立場でもないけれど。こんなに輝かしいスターの隣が僕だなんて、少し自惚れる。
「司くん、……キス、したい」
それがなんだか僕を変な気持ちにさせたから、司くんには少し責任を取ってもらいたい。それと司くんは、こういう僕のわがままに弱い。
成功するものだと思って顔を近づけると、司くんの指で制止される。
「食べ終わったら、な?」
司くんはそう悪魔的に笑んで、その後すぐ大きな口で白米を頬張った。その切り替えが面白おかしかったけれど、やはり可愛さが勝っている。
ずるいなあ、とだけ言い捨てて、僕はメロンパンの袋を開けた。