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「じゃあ早く見つけなきゃ!」
ジェシーが焦って、ヒステリックに叫ぶ。それをなだめるように樹が言った。
「いや、どっかでスマホ落としてるだけかもしれないし…」
「それだけじゃ位置情報はオフにならないよ」
高地の一言で、また沈黙が舞い降りる。
「一旦整理しよう」
北斗が手を挙げた。「まず事実として、モルガナイトが戻ってこない。連絡もつかず、位置情報は切られている。考えられる可能性は、誰かに拉致された。スマホが壊れた。あとは、ないって信じたいけど……ナイトが故意に連絡を絶った」
みんなの喉がひゅっと鳴る。
「そんな…」
慎太郎の声が震えた。「ありえない」
「わかんないけど、とりあえず司令官に報告するしかない。それから、俺らは指令を待つ」
樹の声は落ち着いていた。熱を帯びていたリビングの空気が、少し冷えていく。
司令官に電話をしている樹の話を、4人は静かに聞いていた。
「……そうですか、わかりました。メンバーに伝えます。よろしくお願いします」
スマホを持つ手を下ろすと、ため息をつく。そしてみんなを見据えた。
「捜査員と警察にナイトの捜索を命じるらしい。俺らは…もし連絡とか来たら教えてって」
「俺らはなんにもできないの?」
いつになく小さなジェシーの声。全員が黙っているのを見て、うつむく。
「大丈夫だよ。ナイトなら、『ちょっと遠出しちゃったわ』とか言ってすぐ帰ってくるよ」
励ます高地の明るい口調に、「そうだな」と北斗も笑う。
「俺おなか空いた! ジェット、飯作って」
慎太郎が伸びをした。
「今日俺だっけ? トパーズじゃない?」
「え、俺朝作ったぜ?」
「じゃあみんなで作ろうよ」
珍しく北斗と高地、慎太郎がキッチンに立った。樹とジェシーはダイニングテーブルに着席している。それも大我のいない寂しさを紛らわすためだった。
「……腹減ってるだろうな。大丈夫かな」
さっきの強気な姿勢はどこへやら、ぽつりとこぼす高地。その肩に、北斗が静かに手を置く。
彼らが最初に出会ったのは、政府が国に散らばるファンタジアをフェイラー討伐に募集したときだった。
そして、そのグループのひとつとしてストーンズが誕生した。神秘の魔力を持った精鋭部隊だ。
彼らは、希少性がゆえに実名を伏せられた。身の安全を守るためである。
つまり、6人は全員がメンバーの名前を知らない。政府から与えられた宝石の名をまとい、今まで使うことのなかったその生まれつきの能力を発揮している。
だが、そこにはどんなチームとも違う確かな絆があった。
魔法の力を持つ者同士。
同年代で、同じ志を持つ者同士。
6人でなら活躍できた。みんなが必要だった。たとえ、本当の名前を知らなくても。
食卓には5人分の食事が並ぶ。キッチンに、大我の分がラップをして残されていた。いつ帰ってきてもいいようにと。
「寂しいね」
ジェシーの声が、虚しくダイニングに響く。
「そうだね」
慎太郎は小さく、でも優しく答えた。
そのとき、高地が何かをつぶやいた。4人も箸を止める。
「なんか言った? トパーズ」
「そうだ、散歩ルートだよ! あいつ、川沿いの土手が好きでよく行ってるだろ。そういう、いそうなところを確認すれば手掛かりが見つかるかも」
途端に、輝きを失っていた5色の瞳に光が灯った。
続く
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