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グリルタ
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2月の始め、晶子の入学試験の合格発表があった。インターネットで合否の確認ができる学校も増えていたが、その学校は昔ながらの掲示板に張り出す方式にこだわっていた。
発表日は平日だったため、晶子の両親は付き添えず、晶子は一人で発表を見に行った。緊張でブルブル震えながら掲示板に並んだ受験番号を見る。
あった。晶子の受験番号があった。合格した。晶子は安堵のあまり、その場に座り込みそうになった。必死で足を踏ん張り、校庭の隅に建てられたテントへ行き、入学手続きの書類を受け取って、その大判の封筒を慎重にバッグにしまい、バッグを肩からかけて校門を出る。
校門の両側に伸びるレンガの壁に、カンナがもたれかかって立っていた。晶子はちょっとびっくりして声をかけた。
「あれ、カンナ。なんでここにいるの?」
カンナは正月の時と同じジーンズと革ジャン姿で、勢いよく手を振って晶子の側へ走って来た。
「晶子、どうだった?」
「あ、うん。合格した」
「やった!」
カンナは両腕を広げて晶子の体をギュッと抱きしめた。そしてまるで自分が合格したかのように、うれしそうな表情を見せ、喜びの声を上げた。
「おめでとう、じゃん、晶子。やっぱオレが思ってた通りだ。晶子なら絶対合格するってな」
「あ、ありがとう、カンナ。あ、でも、ちょっと離れて。ここ道路の真ん中だよ」
二人で最寄りの駅へ歩く。カンナはにこにこして、しきりに晶子に話しかけた。
「てことは、4月からは電車通学になんのか?」
「うん、片道30分」
「ひゃあ、大変だな。毎日早起きしないといけねえな」
「ところでカンナはどうしてあそこにいたの?」
「晶子の母ちゃんに頼まれたんだ。晶子一人じゃ心配だから、迎えに行ってやってくれって」
「うちのお母さんが? わあ、ありがと、カンナ。本当言うと心細かったんだ」
「いいって。オレも晶子の晴れ姿見たかったしな。それに、これも用心棒の役目のうちだし」
「え? どういう事?」
「いや、何でもねえ。こっちの話」
もし万一、晶子が不合格になっていたら、家まで慰めながら連れて帰って欲しいと、晶子の母親から頼まれていた事を、カンナは黙っていた。
コメント
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第9話、読み終えました。晶子の合格、本当によかったですね! カンナが迎えに来て抱きしめてくれるシーン、温かくてじんわりしました。でも一番心に残ったのは、カンナが「もし不合格だったら慰めながら連れて帰れ」と頼まれていたことを黙っているところです。あの何気ない優しさが、彼のキャラをぐっと深めてますね。それに「用心棒の役目」って言葉も気になる…何か裏があるのかな。次が楽しみです。