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頼むからもう俺以外の奴と、、、!そんな俺の懇願もむなしく、そいつは俺の隣に座ってきた。
「覚えてなくてもいいんですよ。仕方ない事なんですから。それよりも、思い出すまで、新しく仲良くなりましょう!相棒なんですから!」
そうやって明るく笑うそいつは今の俺にはあまりにも眩しく映った。俺が何も言ってこないことに少し寂しそうな表情をしたが、直ぐにまた笑顔に戻って、そいつは自己紹介を始めた。
「ショッピです。なんて呼んで頂いても構いません。配属は第二特殊部隊兼銃遠近特化部隊隊長。あとはスパイ・裏切者処理班を、ロボロさんと二人でやっています。」
その言葉に俺は反応する。スパイ・裏切者処理班。それはグルさんと本人以外知らないはずの仕事だ。ショッピ君がやっていると言う事はつまりそう言う事なんだろう。彼は本当に幹部で、グルさんの信頼における人物で、俺の一番身近にいる相棒。だったのだろう。そして俺はついに
「ロボロ。情報管理副官・司令官、遠距離弓特化部隊隊長、スパイ・裏切者処理班。拷問官。よろしく。」
と、その言葉を口に出した。ショッピ君は嬉しそうにした後、涙を流していた。俺はしばらくなだめて、その後ショッピ君が泣き止むと二人で談笑を始めた。そして暫くすると
「やべ、もうこんな時間や。ロボロさん、幹部での集会の時間ですよ。行きましょう。」
とショッピ君が言った。幹部での集会などとカッコいい言い方をしているが、実際はお食事会と何ら変わりないものだ。ショッピ君は先に立ち上がり、俺に手を差し伸べて一言。
「食害から助けてください。」
そう言った。その言葉には何故か聞き覚えがあって、俺もいつも通りかのように
「ええよ。」
と言った。
俺達二人がその場に行くと、皆安堵したあと、いつもどおりの賑やかさに戻っていった。
「ショッピー!もっと行けるやろー!」
とニヤつきながらショッピ君の皿にどんどん具材を入れていくゾム。それに対して俺は
「ゾム~、あげるばっかりやったら足りへんなるやろ?」
と、余裕で10kgはありそうな肉の塊をゾムの皿に乗せる。途端にゾムの顔から余裕がなくなっていく。周りに助けを求めるが、皆ゾムが満腹にさせたのでもう入らない様子だった。ざまぁみろwと笑いながら、自分の分を食べていく。するとショッピ君から
「ロボロさん、、助けて、、、!」
という嘆きの声。俺は豪快に笑った後ショッピ君の皿からいくつか具材をとって自分の皿に乗せ、そのまま食べ進めた。
食事が終わって雑談タイムに入る。そこで俺は初めに
「皆。悪かった。迷惑かけたな。」
と頭を下げる。
「別にええねんええねん。気に病むことないんやし。てか結局ロボロは何で落ちたん?」
大先生からの質問に、皆の雰囲気が変わっていくのが感じられた。そして俺もまた、真剣な面持ちになる。
「それに関してねんけど、誰かが階段で一般兵を突き落としてん。で、それを俺が庇って今この状態や。」
それを聞いた瞬間、先ほどより一層場の空気が重くなる。なぜならこれには疑問点があまりにも多すぎるからだ。
まず1、一般兵を突き落とす必要がない。敵国のスパイだとしても、そんなことをすれば模索が始まるのは承知のはず。それに、一般兵一人突き落としたところで何も変わらない。それなのに、こんなことをする意味がない。
まず2、階段から突き落とすのは確実ではないため、あまりよくない手段であると言う事。そんなリスキーな事をするくらいなら、いっそのこと銃か何かで殺した後にすぐに逃亡した方が手っ取り早い。
他にも理由は山ほどある。なぜこんな非効率的な事をしたのか。そしてそいつは果たして敵国の人間なのだろうか。
「それに関しては各自模索してもらえるか?こんなに分かりやすい事をしているのは相手側の罠かもしれん。俺たち全員の意識がそっちに向いている間に何かをしようとしていると言う事も考えられる。」
同じ人物とは思えないほど神妙な面持ちのグルさんに皆も少し気張っている。
「分かった。」
皆の返事を聞きグルさんの顔が緩む。
「まぁそう緊張するな。あくまで我々が主役なのだゾ。」
そう言って二ィッと笑う。ああいうときは大体悪い事を考えている。でもそんなグルさんにつられるように皆の顔も緩んでいくのが分かった。
あれから解散して俺達は自室に戻った。誰も言わなかったが、正直自覚している。一番の問題は俺がショッピ君の記憶をなくしていると言う事だ。この軍で大切にすべきはもちろんこと総統、そして仲間だ。だが、この軍で一番自分と近い人間は相棒だ。たとえ軍のほぼ全員が敵であろうと、相棒だけは信じ、そして命を預けなければいけない。それほどに重要な役なのだ。そんな相棒を忘れてしまった俺は、正直今あいつに命を預けられるかと聞かれればnoとしか答えられない。