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カンヒュ大好き元イギー大好き
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みずなっとう
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それでは、最終面接を始めます。我が社への志望動機を教えてください」無機質なスピーカーから流れる声。広い面接室の正面には、人間ではなく、巨大な黒いスクリーンが鎮座していた。
超人気IT企業『ネクスト・コア』の最終選考。残ったのは僕を含めて4人。だが、目の前にいるのは役員ではなく、企業のすべてを統括する最新鋭の人事AI『ジャッジ』だった。
この部屋には通称がある。——「デスライン・面接」。
このAIは、人間のわずかな心拍数の変化、発汗、瞳孔の開きから「嘘」を100%見抜く。そして、嘘をついた受験者はその瞬間に床のゲートが開き、地下の待合室へ文字通り「強制退場(不合格)」させられるのだ。
最初に口を開いたのは、いかにもエリート風の男だった。
「はい! 私は御社の『テクノロジーで世界を豊かにする』という理念に深く共鳴いたしました。私のプログラミングスキルを活かし、社会に貢献したいと考えております!」
ピピッ、と短い電子音が鳴る。
『判定:偽り。社会貢献ではなく、単なる自己顕示欲および高収入への執着です』
「え、あ、いや……!」
男が青ざめた瞬間、ガタン! と彼の椅子の下の床が開き、男は椅子ごと下の階へ滑り落ちていった。あっという間の退場劇に、室内の温度が数度下がった気がした。
次に指名された女性が、震える声で答える。
「私は、御社の風通しの良い社風に惹かれました。チームワークを大切にし、先輩方と切磋琢磨して……」
ブーッ。
『判定:偽り。事前のリサーチによるテンプレ回答。本心では他者を信用しておらず、 solitary(単独)での作業を望んでいます』
「失礼しますッ!」
彼女が叫ぶ間もなく、再び床が開き、彼女も姿を消した。
残ったのは、僕と、隣に座るいかにも優秀そうなもう一人の男だけだ。
「次の方、どうぞ」とAIが促す。
隣の男はフッと余裕の笑みを浮かべた。彼は徹底的なメンタルトレーニングでも積んできたのだろう。驚くほど落ち着いた声で語り始めた。
「私は、御社が開発した新システムに感銘を受けました。私は大学時代、これに類似したシステムの研究を行っており、我が国のITインフラの発展には御社の力が不可欠だと確信しております」
静寂が走る。電子音は鳴らない。クリアだ。
男は勝ち誇ったように僕をちらりと見た。完璧な論理と、嘘のない熱意。こいつは本気でこの会社を愛している。
そして、AIの視線(カメラ)が僕に向いた。
「最後の方、どうぞ。あなたの志望動機は?」
僕はごくりと唾を飲み込んだ。
僕には、前の男のような華々しい研究実績もなければ、高尚な理念もない。あるのは、ドロドロとした私怨だけだ。
この会社『ネクスト・コア』の現副社長は、僕の父親だ。彼は僕が幼い頃、仕事にかまけて家庭を顧みず、母を心労で亡くさせた。僕は、僕たちを捨てて会社を選んだ父親が、どれほど偉い仕事を誇っているのかを確かめに来ただけだった。そして、彼をビジネスの場で引きずり下ろすために。
綺麗事を言えば、一瞬で床下に落とされる。
僕は覚悟を決め、マイクに向かって言い放った。
「御社の給料が業界最高峰であること。そして何より、この会社の上層部に、僕の人生をめちゃくちゃにした絶対に許せない男がいるからです。そいつの鼻を明かし、いつかその座を奪い取って見返してやるために、ここに来ました」
隣の男が「馬鹿め、自爆した」という目で僕を見た。
僕自身も、椅子の背もたれを強く握りしめ、床が落ちる衝撃に備えた。
しかし。
室内に響いたのは、これまでとは違う、軽快なチャイムの音だった。
ピンポンパンポン。
『判定:真実。極めて強い情熱、および私情による執着を確認。我が社が求める「手段を選ばず執念深く成果を出す人材」に合致。——採用』
「え……?」
呆然とする僕の横で、ガタン! と激しい音がした。
見ると、完璧な志望動機を語ったはずの隣の男の床が開いていた。彼は「なぜだ! 僕は嘘をついていない!」と叫びながら落ちていった。
スピーカーから、AIの補足が流れる。
『前の方の言葉に嘘はありませんでした。しかし、彼は会社を「愛して」いた。我が社が求めているのは、会社にぶら下がる信者ではなく、会社を食い破るほどの野心を持つ怪物です。あなたの歪んだ復讐心こそが、最高のエネルギーであると判断しました』
正面のスクリーンが切り替わり、一人の男の映像が映し出された。
役員室に座る、見慣れた、しかし随分と老けた僕の父親の姿だった。彼はカメラの向こうで、フッと皮肉げな、だけどどこか嬉しそうな笑みを浮かべていた。
『内定おめでとうございます。明日から、あなたの戦場(職場)でお待ちしています』
コメント
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第3話、読み終わりました…「嘘を見抜くAI」のアイデア自体はよくある設定だけど、この話はその先が全然違った。主人公の「復讐心こそが最高のエネルギー」って評価に、ゾクッとしつつも納得してしまった。完璧な志望動機の男が落とされる皮肉が効いてて、歪んだ情熱を肯定する企業の闇が逆に清々しく感じる。父親が画面の向こうで嬉しそうだったのも気になる…! 次が待ち遠しいです🌙