テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「うん。それで、その元彼から救ってくれたのが今の旦那。お笑い芸人をしてるの」
「お笑い芸人?」
「うん。『逆転サヨナラ』っていうコンビの日比谷光っていうんだけど……」
「え?! あの!? 漫才大賞とか出てましたよね?」
凌は思わず声を張り上げた。今やテレビで見ない日はないスターの名前に、驚きを隠せない。
「そうそう。すっかり有名になっちゃって。出会った頃は全然売れてなかったのにね」
幸せそうに笑う栞を見て、凌は眩しそうに目を細めた。
「そうなんですね……なんか凄いなあ。そういう人に、僕もなりたいです。売れたいってことじゃなくて、人を助けられるような、そんな人に」
「……凌くん、あなたももう大人なのね」
「僕は全然、大人じゃないですよ」
照れくさそうに笑う凌を、栞は見透かすような優しい目で見つめた。
「……今、誰か好きな子がいるんだね」
「……! なんで分かるんですか」
「女の勘かな」
凌は観念したように視線を落とし、ずっと胸に秘めていた言葉を口にした。
「僕、栞さんが言ってくれたこと、まだ覚えてます。あなたにふさわしい人に必ず出会うからねって」