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9S視点
2Bと砂漠地帯の調査を行っていると不可解な砂溜まりが見つかった。
9S「これは……」
僕は砂溜まりの近場にしゃがみ周囲をスキャンした。
すると砂溜まりの地下部分に当たる箇所が空洞になっている事に気がついた。
しかもその空洞に敵性反応が多数ある。
まぁ…敵性反応は中が空洞になっているから信憑性が高いとは言えないけど。
9S「2B!こっちに何か変な空洞があるんですけど…」
2Bが走り僕を見下ろす。
2B「空洞…?」
9S「はい、この砂溜まりの地下部分が空洞化しているみたいなんです」
9S「リリィさんの調査内容は機械生命体の調査でしたしここの地下を調査するにはどうでしょう?」
2B「そうだね、なら地下に降りられる部分を……」
ズズッと足元が崩れる。
9S「!?」
僕は体制を崩し砂溜まりの崩落に巻き込まれる。
身体が砂に沈んでいく中で僕は横に首を曲げ2Bを確認する。
2Bは落ち着いた様子でポッドを抱えている。
その落ち着いている様子に唖然となり僕は気を取られていた。
その時突然足場がなくなり空中に放り投げ出された。
9S「うわぁっ!?」
ポッドが僕の手を掴みゆっくりと降下してくれる。
9S「あ…ありがとうポッド」
ポッド153「回答、問題ない」
ポッドがいつもながらの機械音声で淡々と答える。
2B「9S、足場が覚束ないから気をつけて降下して」
9S「わかりました」
僕は崩れた砂の上に着地した。
砂が風で舞っていて視界が悪い。
「2Bー?」と声をかけると砂の霧の中から2Bは出てきた。
2B「視界が悪い…」
9S「…これじゃあ目視で敵を確認するのは難しそうだな…」
9S「ちょっとスキャンしてみますね」
僕がスキャンを開始しようとした瞬間だった。
前方から敵らしき足音が聞こえてきた。
9S「2B…足音が……」
2B「私にも聞こえている、9S構えておいて」
僕は無言で2Bと前方に注意を向け黒の誓約を構える。
すると…砂の霧が敵と思われる攻撃で切り開けた。
霧が晴れ前方を確認すると、目の前にいたのは…1人のアンドロイドだった。
9S「アンドロイド…?」
僕は攻撃体制を解除する。
?「やっと来たか」
そう言い彼女は持っていた軍刀を片す。
2Bが何かをボソリと呟いた。
9S「あの…あなたはどうしてここに……」
すると突然ポッド153「司令部より通信」
9S「え?司令部?」
司令官「…聞こえているか9S、2B」
急な司令官からも通信で驚いたが僕は平然を装う。
9S「はい、聞こえてますよ司令官」
司令官「お前達の目の前にいるアンドロイドは…ヨルハ真珠湾降下作戦次の……脱走兵だ」
9S「…脱走兵!?」
僕は思わず彼女を見る。
司令官「2人でヤツを殺せ」
司令官「同じアンドロイドだからと言って手加減はするな、ヤツは敵だ」
9S「そんな…」
司令官「過去に何度も追撃部隊が破壊されている」
司令官「いいか、もう一度言う、ヤツは敵だ、手加減はいらない、確実に殺せ」
ポッド153「通信が不安定……バンカーとの接続途絶」
9S「…」
僕は彼女を見て言う。
9S「どうして…どうして裏切ったんですか」
?「裏切ったのは司令部だ、あと私は戦いに来たわけじゃない」
?「お前達と話がしたくて……」
2B「9S、いくよ」
9S「でも…」
2B「9S」
9S「…っ」
僕は武装を展開する。
?「…やっぱりダメだったか……」
2B「9S、あなたは私の援護にまわって」
9S「…それじゃあ2Bは……」
2B「近接戦闘を仕掛ける」
そう言い残し彼女の懐に潜り込んでゆく2B。
そんな2Bを受け流し佇む彼女。
その姿を僕は見た事がある
僕らと同じ白銀の髪、青く澄んだ瞳、2Bによく似たその顔を…
僕は知っていた
2Bと彼女の戦闘が激しくなってゆく。
そのに僕が入る隙など微塵もなくて2Bの援護ができない。
地面が揺れる。
僕は体制を崩しフラつく。
前を見るとそこに2Bと彼女の姿はなくていたであろう場所には大きな穴ができていた。
9S「2Bっ!?」
僕は穴の近場までより中をスキャンしようとした…が敵の電磁波妨害でスキャンが捗らない。
その時背後からガシャガシャという機械の駆動音が聞こえてきた。
振り返るとそこには無数の機械生命体が僕を見て戦闘体制に入っていた。
9S「…くそ……!」
僕はすかさず黒の誓約を装備し敵にハッキングを仕掛ける。
9S「ポッド、援護射撃」
ポッド153「了解」
僕は敵のデータ空間に侵入した。
データ空間で敵の防壁を破っている時にふと思った。
物理戦闘能力はそこまで高くない僕らS型はハッキングでのB型、G型の支援に当たる。
だから独りでの潜入調査などとなると生存を最優先した行動になる。
なのに……どうして僕はヨルハ機体の中でも死亡率が高いのだろうか。
特に同行任務中に……。
敵システムハッキング率70%
何故だろう。
今までこんな簡単な違和感に気が付かなかったことへの不信感と単純な疑問が頭を交差する。
そうだ…2Bは僕を昔から知っていると仮定し推測を立ててみようか。
敵システムハッキング率75%
僕と初めて会った時言ったあの言葉。「鳥は…自由だね」
この言葉はきっと僕…いや僕らを示唆しているんだろう。
自由…と言う言葉と対照的な僕らアンドロイド。
人類のために戦い、守り、生きて…死ぬ。
2Bは…そういった運命を拒否している…いや拒否したい…?のだろうか……。
敵システムハッキング率84%
次に「君は変わらないね」
この言葉は昔から僕を知っている…と言うことを裏付ける言動だ。
だから2Bが僕を知っている…正確には“僕”の前の僕を知っていたと言うことだろう。
つまり…僕はなんらかの任務で2Bと関わっていた可能性が高い…。
敵システムハッキング率91%
最後に…
アクセスポイントの定期的な使用。
アクセスポイントの使用…とだけ聞けば普通だろう、でも地上に降下した後2Bは僕にこう言った。
「アクセスポイントで定期的にバックアップする事は大切」
「9Sもするべき」
この言葉には僕にしか気がつくことのできない小さな違和感が存在していた。
B型は汎用戦闘モデルだ。
基本的に脳内構造が僕らS型とは違う事は当たり前なのだが…2Bは少し僕に似た考え方を持っている気がする…。
戦闘モデルは攻撃特化なのでロストする事が多々あるが…それは戦闘モデルとしての常識だ。
つまり…仕方がない……という認識にあたるはずだ。
別に記憶がなくなったところで……となにも思わないんだろう。
B型は大雑把に考えるモデルが多いからそう言うところはあまり気にしていないのかもしれない。
僕もバンカーで関わった事が少しあるが2Bのように細かな気遣いが出来るようなタイプじゃなかった。
気遣い…といえばメンテナンス屋の…801Sや司令官、オペレーターさん等戦闘にはあまり向かないタイプが多い気がするな…。
やっぱりそう言うところにもリソースが割けるからなのだろうか。
それとも…なにか別の………。
敵システムハッキング率100%
ポッド153「敵システム掌握」
ポッドの音声が脳内に響き僕はデータ空間から現実世界へと戻ってきた。
9S「ポッド、近接射撃モード」
ポッド153「非推奨…この地域は先程の崩落で地盤が脆くなっている可能性が高くここで近接射撃レーザーを出力すると更に地下区画にいる同行ヨルハ機体2Bに影響が出る恐れ」
9S「…」
9S「わかった、じゃあどうすればここを突破できる?」
ポッド153「…ワイヤーでの空中移動」
9S「ポッドプログラムはインストール済み?」
ポッド153「9Sがハッキング中に随行機体の危険を感知した為」
ポッド153「安全な退路確保の最適解を自動インストール、すでにワイヤープログラムはインストールされている為いつでも使用可能」
9S「そうなんだ…」
僕はポッドプログラムのワイヤーを使いふわりと空中を飛び回り退避地点である地上へと到着した。
9S「ここなら通信がギリギリだけと使えそうだな…ポッド、司令官との通信を」
ポッド153「非推奨、敵性反応多数感知、その中にジャミングを発生させている個体をマーク、推奨速やかな撤退及びSOS信号のループ発信」
9S「次から次へと…っ」
僕はすぐさま近づいてきた小型機械生命体を蹴散らし近くの廃団地の屋上へと駆け上がった。
ポッドプログラムのウェーブが使えれば…敵を一掃できるんだけど……。
ポッド153「ポッドプログラム、ウェーブインストール完了」
ナイスタイミング!
というか僕のこころでも読んだのかってくらいベストタイミングすぎない…?
まぁいいか。
9S「ポッド!」
ポッド153「了解」
ポッドが眼下に広がる機械生命体達に向けウェーブを放つ、すると敵は綺麗さっぱり砕け散った。
屋上で一時的な安全を確保できた今司令部との通信を回復して……。
2B………。
9S「ポッド…2Bは……」
ポッド153「ブラックボックス反応が検出されていることから生存が確認されているが正確な位置までは絞り込む事が不可能」
9S「…そう……」
僕はひとまずバンカーへ通信を繋いだ。