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第8話「違和感」
委員会が終わった頃には、外はもう暗くなっていた。
窓の外は、薄い夜。
(早く帰ろ)
ゆかりは鞄を持って、廊下に出る。
人はほとんどいない。
足音だけが、少しだけ響く。
急ぎ足で歩く。
そのとき。
廊下の先に、見慣れた姿があった。
先生。
誰かと話している。
少し近づくと、相手が見える。
同僚の女性の先生。
楽しそうに、笑っていた。
会話の内容までは聞こえない。
でも、雰囲気だけで分かる。
普通の会話。
ただの仕事の話。
それだけ。
なのに。
胸の奥が、少しだけ締め付けられる。
(……なんで)
立ち止まる。
理由を探そうとする。
でも、見つからない。
ただ。
見ていたくなかった。
ゆかりは、視線を逸らす。
足を速める。
音を立てないように、その場を離れる。
先生は、気付いていない。
(……別に)
心の中で、何かを打ち消す。
関係ない。
ただの先生。
それだけ。
でも。
さっきの光景が、頭から離れない。
笑っていた顔。
誰かと話していた声。
それが、妙に引っかかる。
(第8話 終)
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