テラーノベル
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楽屋のソファで、阿部亮平はパソコンを開いて作業をしていた。パチパチとキーボードを叩く音だけが響く中、視界の端で、向井康二がウロウロしているのが見えていた。
(……ふふ、そろそろかな)
阿部が心の中でカウントダウンをする。
3、2、1……。
「あべちゃぁ〜ん……」
予想通り、甘い声と共に康二が背後から抱きついてきた。
阿部の首に腕を回し、パソコンの画面を覗き込むように頬を寄せてくる。
「まだ仕事終わらへんの? 俺、暇やねんけど」
「ごめんね、康二。あとちょっと」
「むぅ……。あべちゃん、パソコンばっかり見てんと、俺のことも見てや」
康二が阿部の耳元で、わざとらしく甘えた声を出す。
これこそが「あざとい」攻撃だ。普通ならデレデレになってしまうところだが、阿部は口角を少し上げただけで動じない。
「……康二、それわざとでしょ?」
「へっ? な、なんのこと〜?」
「俺の気を引こうとして、わざと耳元で喋ってる」
「……バレた?」
康二がイタズラっぽく笑う。
阿部はパタンとパソコンを閉じると、くるりと振り返り、康二の腕を引いて自分の膝の上に座らせた。
「うわっ! ちょ、あべちゃん!?」
「正解だよ、康二。……俺も、そろそろ康二成分補給したいなって思ってたから」
阿部は康二の腰をホールドし、逃げられないようにして微笑む。
その笑顔は爽やかだが、目の奥が笑っていないというか……完全に「狩人」の目だ。
「……あべちゃん、なんか今日……男やな……」
「そう?康二が可愛く誘惑してくるからだよ」
「ゆ、誘惑なんかしてへんわ!」
「無自覚?それ一番タチ悪いやつじゃん」
阿部は楽しそうに笑うと、康二の頬を手で包み込み、至近距離で見つめた。
「……康二」
「……ん……?」
「俺、この仕事終わらせるために、さっきからペース配分計算してたんだよ」
「え?」
「康二が寂しがって甘えてくるタイミングに合わせて、ちょうど終わるようにね」
阿部の言葉に、康二がぽかんと口を開ける。
全ては阿部亮平の掌の上だったのだ。
「……あべちゃん、怖っ!計算高っ!」
「ふふ、褒め言葉として受け取っておくよ」
阿部は康二のおでこに、チュッと音を立ててキスをした。
「……計算通りに甘えに来てくれて嬉しいよ。ご褒美あげる」
「ご、ご褒美って……んんっ!?」
阿部が康二の唇を塞ぐ。
優しいけれど、どこか強引で、知的な色気が漂うキス。
康二は頭が真っ白になり、阿部の肩をギュッと掴むことしかできない。
「……はぁ……、あべちゃん……っ……」
「……可愛い。顔真っ赤だよ、康二」
「……あべちゃんのせいやん……いじわる……」
「いじわるじゃないよ。……全部、大好きだからこその計算」
阿部はとろんとした康二を優しく抱きしめ、背中をポンポンと叩いた。
「さ、次はどうする? 康二が満足するまで、俺の計算能力をフルに使って甘やかしてあげる」
「……もう、降参や……あべちゃんには勝てへん……」
康二は観念したように、阿部の胸に顔を埋めた。
賢い彼氏の完璧なシナリオの中で、康二は今日も心地よく翻弄され、愛され続けるのだった。
next…さくこじ 1/8
コメント
3件
コメント遅くなってごめん 阿部ちゃんの気を引こうとする向井さんがあざとすぎる 阿部ちゃんの計算力高!
出すの忘れてた!!🩷🧡は、今日の夕方くらいに出すと思います!!忘れてごめんね🙇🙏