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……あれ…僕、何してたんだっけ……
そうだ…お父さん……お父さん、どこ?
アルトが目を開けると、そこには本当に今まで見てきた世界かを疑った。
…なに…これ……
街が…燃え…てる……
街は炎に覆い尽くされた。
そしてチラホラと動く人影が居る。
きっと、逃げようとしているんだろう。
しかし、残虐なことに、その上には
黒いような赤いような、竜が空を飛んでいる。
その竜は大きな翼から炎を風のように放ち、
口からはまるで光線のような炎が打たれる。
…兵士だ。兵士が見える。
この街を守る「国防隊」と呼ばれる人たちだ。
国防隊は、竜であれど恐れず
果敢に弓で竜を貫こうとした。
しかし。
その矢は炭となり、
兵士は、熱風で地面の一部となった。
アルトの街は一瞬で瓦礫の山となり、
その街は今や「ガレンドルート」。アラト語で「屍人の街」と呼ばれている。
アルトはその光景を見て絶句した。
母さんは…もう……
未だ幼い身体には詰め込めない、
非情で、残酷で、願わくば夢であることを祈るほど。
そんな現実が、隅々まで染み渡る。
アルトは静かに涙を流した。
そして。旅人となることを決めた。
父を探す旅へ。
そして、この魔物共を駆逐する旅へ。
アルトは、とある日記にこの日のことをこう書いた。
世界は小説より謎に包まれ、残酷に包まれている。と。
アルトは、隣町「ヴェラン町」を目指して
その重い足を動かし始める。