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あーる❌
本人様との関係❌
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桃彡×青彡
『桃彡』
「青彡」
桃彡視点
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俺には以前、愛する人がいた。
その人は秋夜に消えていった。
***
『ゎ、花見はやっぱり人多いな…、』
元々、人混みが苦手なタイプだった俺は人の少ない場所へ移動した。
『はぁ、人混みって本当慣れない…』
俺はそう言って後ろに下がると人が居たようでぶつかってしまった。
『あ、すみません…!』
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
優しく微笑みかけてくれたその人は背が高く、身体も細身で今にも折れてしまいそうだった。
それに加えて顔立ちも良いので桜がとても似合う。
『花見…ですか…?』
人とのコミュニケーションが苦手な俺だったが、無意識に彼に話しかけていた。
「そうなんです!昔から桜が好きで、」
その人の笑顔が美しく、俺は彼に一目惚れをしてしまった。
『えと、名前…聞いてもいいですか…?』
彼はキョトンとした顔で此方を見ていた。
『あ、ちが、友達になりたくて…!』
俺は急いで言い訳をした。
「なるほど、笑」
「俺はIfです。貴方は…?」
彼は笑顔で答えた。
『俺はないこって言います…!』
俺も彼の質問に笑顔で答えた。
「折角なので敬語外しませんか…?笑」
『たしかに友達に敬語はあんま使わないかも…笑』
「じゃあ今からお互い敬語外そうな!」
彼は関西弁のようだ。
「あ、俺Ifって名前やけどみんなからまろって呼ばれとるからないこもそう呼んで!」
まろ…とても愛らしい呼び方で彼にぴったりだ。
『よろしくね、まろ』
不自然な笑顔ではないかと心配になりながら彼に挨拶をした。
「こちらこそ!」
彼は人懐っこい笑顔で此方に目を向けた。
「ないこの髪って桜と同じ色やな~、」
彼は愛おしそうに桜を眺めている。
それから俺とまろは何度か2人で桜を見に行った。
まろと出会ってから白黒だった世界に青色が加わった。
「ないこ!これ作ったんやけど受け取ってくれる…?」
そう言って彼は俺に手作りの栞をくれた。
『これ…桜?』
「そう!桜の押し花で作ってみたんよ!」
『良くできてるね、』
俺は彼に微笑みかけた。
「思い出として持っとってな!」
『もちろん』
「桜…結構散ったなぁ、」
彼は寂しそうに言った。
『だねぇ…』
『ねぇ、まろ、来年もこの桜見に来ようよ!』
俺は笑顔で彼に言った。
「…そうやなぁ、」
彼は一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、またいつもの顔になった。
数ヶ月後
「もうすぐ秋…やなぁ、」
彼は少し寂しそうに言った。
『秋になったら紅葉見に行こうよ!』
きっと嫌なことがあったんだろう、と俺は元気がでるように彼に言葉をそうかけた。
「紅葉…見たいなぁ、」
『…』
『まろ、なんかあった?』
不自然なほど元気がなかったので思い切って彼に聞いてみた。
「え、なんで…?」
彼は驚いたように言った。
『いや、いつもより元気ないなぁ…?って思って…』
彼は少しの間口を閉じ、しばらく経って俺に言った。
「俺、長くないんよ」
彼は悲しそうに言った。
『え、長くないって…?』
俺は信じれなかった。
いや、信じたくなかった。
まろのいない白黒な世界が想像できなかった。
「冬はたぶん…無理かも」
彼は更に信じたくない言葉を発した。
『そんな…』
彼との次の春を楽しみにしていたので、俺の目の前は暗くなった。
「ごめんな…」
彼は申し訳なさそうに言った。
『まろのせいじゃないよ…!』
『それにまろの方が辛いのに謝らないで…?』
「…ありがとう、」
彼は泣きそうな声で言った。
晩秋
医者からこう告げられた。
“きっと今夜が最期だろう。”
だから俺は今夜はずっとまろの隣にいると決めた。
まろはカーテンを開けて、夜空を眺めている。
俺はまろの手を握っている。
しばらく沈黙が続いた。
彼はこの沈黙を断ち切るかのように
「ないこ。」
と言った。
『…どうしたの?』
「月…綺麗やねぇ、」
彼は微笑みながら此方を見ていた。
俺は必死に涙を堪えて
『俺も…同じことを想ってたよ、』
と微笑んだ。
「そっかぁ、」
彼は嬉しそうにもう一度月に目を向けた。
「紅葉ないこと見れて良かったなぁ、」
『俺もまろと見れて嬉しい、』
また沈黙が続いた。
しばらく経って
「ないこ…最期に一つだけお願いしてもええ…? 」
彼はか弱い声で言った。
彼からのお願いなんて珍しい。
俺は彼からのお願いが嬉しくて、そして”最期の”お願いが悲しくて感情が分からなくなった。
『もちろん、いいよ』
彼は嬉しそうに笑い、言った。
「ないこ…幸せになってな、」
彼は今にも消えてしまいそうな声で言って、微笑みながらゆっくりと目を閉じた。
それが俺とまろが最後に交わした言葉だ。
数日後、紅葉も終わりかけの時
俺はまろと出会った場所へ行った。
まろと出会った時とは違い、人は全くいない。
そして俺は呟いた。
『一緒に来年も桜見ようって約束したじゃん、』
目の前がぼやけていた。
『まろ、好きだよ。大好き。』
もう彼には届かないと分かっていても、伝えずにはいられなかった。
もっと早く伝えていればこんなに後悔はしていなかったのかな、と考えていた。
もう一度まろに会いたい。
あの無邪気で人懐っこい笑顔をもう一度隣で見たい。
一緒に桜を見たい。
たくさんの想いがまろへの未練を断ち切ることを許してくれなかった。
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終わり方変でごめんなさい🙏
声が多かったら青彡の視点も書きたいと思います!
参考…月白風清