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百鬼清風
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#イケメン
高遠すばる
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#初小説
鬼卍。
70
学園の外壁が見えてからは、建物の陰を選んで進んだ。門の内側に制服姿が見える。授業が続いているなら、目的の兄妹も中にいるはずだった。
ギデオンは配下を四組に分けた。三人ずつの部隊を門とその左右へ向かわせ、残る二人を自分につける。
「門と、その左右からだ。俺が行くまでにアーサー兄妹を探し出せ。黒髪の兄と、淡い金髪の妹は殺す。ほかは邪魔をした奴だけでいい」
団員が壁沿いに散る。ギデオンは随行の二人を連れて門から少し離れた陰へ進み、学園の内側をうかがった。
その日はお兄様と登校し、生徒会室へ集まっていた。私はジュリアン会長へ話しかけようとして、窓のそばに立つ会長が、じっと外を向いていることに気づいた。
窓は開いていた。外から聞こえる生徒の話し声に混じって、細く高い音が一度だけ耳に触れた。
「会長?」
「話すのをやめてもらえるかな」
いつもと違う頼み方に、私は黙った。お兄様も何かを察知したのか立ち上がり、窓へ向かいかけている。
「外壁の外に、武器を持った人がいる。門の両側へ分かれているんだ」
会長は窓枠から離れた。
「どうして分かるのですか」
「僕は戦闘は不得意だが、風魔法で音波を探知するのが得意だ。壁の向こうでも、人が動いたり、金属がぶつかったりすれば分かるんだ。門と両側に三人ずつ。少し離れたところにも三人いる」
会長は私の返事を待たず、扉を開けた。
「学園長へ知らせる。来てほしい」
私とお兄様も、アリス様とレオポルド様も続いた。廊下を走り、学園長室の前で会長が扉を叩く。
「ジュリアンです。学園の外に武装した集団がいます。襲撃の準備をしています!」
中から入るように促され、会長が扉を開けた。
机から立ち上がったのは、エルデン王立魔法学園の学園長、ベアトリス・ウィクリフ様だ。
六十歳近くに見える、背の高い女性だった。銀白色の髪を高く結い上げ、炭灰色の長衣を着ている。銀縁の眼鏡をかけ、琥珀色の目で私達を見渡した。その厳しい表情に、私は思わず背筋を伸ばした。
学園長は襲撃の報告にも慌てる様子はなく、低くはっきりした声で尋ねた。
「人数と位置を」
会長の説明を聞くと、学園長は廊下へ出て、通りかかった教師を呼び止めた。
「授業を中断してください。全生徒を講堂へ。窓と外壁に近づけないように」
教師が走っていく。ほどなくして、教室から廊下へ出る生徒が増え、剣術教官のトバイアス・グラント先生が反対側から駆けてきた。
「荷物は持つな、そのまま急いで講堂へ行け!」
先生は生徒を先へ行かせ、私とお兄様を見つけると近づいてきた。
「アシュフォード、お前らもだ」
「先生。私達は迎撃に出ます」
私が答えると、先生はすぐには頷かなかった。
「相手は殺す気で来る。決闘とは違うぞ」
「生徒が逃げ終わるまで、ここへ入れるわけにはいきません」
アリス様が私の隣に並んだ。レオポルド様も、お兄様も動かなかった。
「お前達の実力は知っている。だが、無理はするなよ」
私達が返事をすると、先生はほかの教師と一緒に誘導を続けた。会長は近くの窓を開け、もう一度、敵を探知する。
「動き始めた。門からと、門の左右から来る」
「門から来る奴は俺が止める」
「私は、門に向かって右へ行きます。マチルダは左をお願い」
「はい、アリス様」
お兄様は私を見ていた。
「マチルダ、任せてもいいか」
「もちろんです。お兄様」
「私は後方に敵が残っていないか探ります。ジュリアン会長、みんなをお願いします」
お兄様は会長へ頼んでから、私達と一緒に建物を出た。レオポルド様は途中で警備員から剣を借り、重さを確かめて門へ走っていく。
私とアリス様は左右へ分かれた。お兄様は水流を使って大きくジャンプして学園の外へ消えた。
アリスは外壁を乗り越えてきた男の靴が、土を踏む音を聞いた。三人。剣が二人、槍が一人だ。
背後の建物からは、講堂へ急ぐ生徒の声がまだ聞こえている。ここを通すわけにはいかない。
「止まりなさい。武器を捨てて」
返事の代わりに槍が突き出された。アリスは横へ跳び、槍先が通り過ぎるのに合わせて、男の踏み込んだ足の周りへ氷を張る。
男は靴底を凍らされる前に足を引いた。その後ろから剣を持った二人が左右へ分かれ、一人はアリスへ、もう一人は建物へ走り出す。
「行かせない!」
アリスは建物への通路に氷壁を立てた。男達の一人は、その前で止まった。その間に、正面の男が斬りかかってきた。
刃の前へ薄い氷板を出す。切り割られた破片を浴びながら身を引くと、切っ先が制服の袖をかすめた。
アリスはしゃがみ、男の靴の下だけを凍らせた。踏ん張ろうとした男が滑り、剣を振り抜いたまま片膝をつく。
「フロスト・チェイン!」
地面から伸ばした氷の鎖で男の両腕を胴へ縛りつけ、さらに足首をつないだ。武器を落とした男が体をねじる。アリスは鎖を地面の氷へ繋ぎ、立ち上がれなくした。
すぐに槍を持った男が迫る。凍らせた男を避けて回り込んだ槍使いが、穂先でアリスの喉を狙った。
アリスは横に倒れ込みながら、地面へ手をついた。槍使いと自分との間へ氷壁を立てる。先端が壁を突き抜けたが、柄の途中で止まった。
男が引き抜こうとする間に、アリスは立ち、壁の向こう側へ氷の鎖を伸ばした。男は槍を放して逃れたものの、そこへ通路を塞いでいた氷壁を張り出させると、後ろへは下がれなくなった。
「囲まれたのは、あなたよ」
左右の氷壁を近づけ、狭まった隙間へもう一度鎖を通す。男が壁を殴った瞬間、その腕ごと胴を捕らえた。
残る剣の男は、通路の壁を割りかけている。アリスは男の背へ水流を浴びせた。
「こっちを向きなさい!」
振り向いた男の剣が赤く光る。火の魔法だ。水を浴びた上着から湯気が上がり、男は剣を振り上げた。
炎が飛ぶ前に男へ、さらに水流をぶつけ、後ろへよろめいた足に引っかかるよう、低い氷の段を作った。男はそれにつまずき、横倒しに転んだまま炎を放つ。火はアリスとは反対の方向の地面へ落ちた。
アリスは剣を握る手へ氷の鎖をかけ、地面へ引きつけた。もう一本で肘を固定し、起き上がろうとする両脚も縛る。
「剣を放して。これ以上抵抗すると、腕を傷めるわ」
男はしばらく剣を握っていたが、最後には離した。アリスはそれを氷で覆い、再び握れなくした。
全員が息をしている。自分の袖は裂けていたが、皮膚に傷はない。
アリスは拘束を保ち、近づく教師へ捕らえた団員の見張りを頼んだ。警備員も来て、氷で動けない男を一人ずつ縄で縛っていく。
最後の男が拘束されるのを確認してから、アリスは建物へ戻った。
コメント
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ゆめかだよ🌸 第23話読んだ〜! 今回めっちゃ緊張感やばかった…!学園長の落ち着いた対応と、生徒たちを守ろうとする会長の探知能力、かっこよすぎる😭✨ 特にアリス先輩が一人で3人相手に氷の魔法バリバリ決めてるとこ、マジで推せる!!「囲まれたのは、あなたよ」って台詞に痺れたよ…!教室に火の魔法飛ばさないように地面狙うとことか、戦闘の丁寧さに感動した〜💕 続きが気になりすぎてしんどい!!