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さめさん
146
🌗ReeA🌓

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歩調を早めた月島の少し後ろを、黒尾はポケットに手を突っ込んだまま、楽しそうに歩いていた。
「ちょっと月島、置いてくなよ。先輩を敬う心はどこ行ったんだ?」
「最初から持ってません。それより、足音で後ろにいるのわかるんで、くっついて歩かないでください」
前を向いたまま容赦ない言葉を投げる月島だったが、その耳線がわずかに赤いのを黒尾は見逃さなかった。無理に追い抜こうとはせず、絶妙な距離感を保ちながら並んで歩く。
駅の改札が見えてくると、朝のラッシュに向けた人波が少しずつ増え始めていた。
「じゃ、俺はあっちのホームな」
黒尾が足を止めると、月島も足を止めて振り返った。昨夜のあのもどかしい空気も、朝の少し照れくさい時間も、日常の喧騒の中に溶け込んでいく。
「……黒尾さん」
「ん?」
「週末、ケーキ忘れたら本当に帰りやすからね」
「わかってるって。一番高いやつ買っとくわ」
黒尾がひらひらと手を振ると、月島は小さく頷いて改札へと向かった。背中に感じる視線と、ポケットの中で温まった手元。いつもと同じ通学路のはずなのに、視界に入る景色がほんの少しだけ違って見えた。
コメント
1件
読了しました🌙 第8話、めちゃくちゃ良かったです…!月島くんの耳が赤くなるって描写、もう完全にツンデレの極みじゃないですか…🫠 黒尾さんの「先輩を敬う心は」って軽口に「最初から持ってません」って即答するところ、でもちゃんと週末の約束を確認してるのが可愛すぎてやばいです。 あと、ラストの「いつもと同じ通学路のはずなのに、視界に入る景色がほんの少しだけ違って見えた」って一文、すごく好きです。特別なことが起きたわけじゃないけど、確かに変わったものがある——そういう空気感を丁寧に描けるの、本当に尊敬します。 続き、気になります。