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「あーあ、終わっちゃった」
火花が儚く散り、街のどこか洒落た明かりに包まれる空を見て、私は言った。
隣にいたあなたはそう言った私を見て微笑み、私と同じ、空を見上げていた。
「なんか、寂しくなるなー…」
「寂しいの?」
「うん」
「今年は終わったけど、来年もあるじゃん」
「そうだけど…」
「けど…?」
「…ううん、なんでもない」
まだ、あなたと一緒にいたい。なんて言えるはずがない。
花火が続いていれば、まだ一緒にいられたのに…そう思っていたのだ。
「そ?」
あなたは私から空へ視線を戻した。
しばらくして、何かを思いついたかのようにあなたは言った。
「…じゃあ、来年も一緒に来ればいいじゃん」
「…え」
「あ、違った?来年も行きたいって顔してたから…」
「あ、ち、違わない…!」
「へへ、あたりっ」
あなたは無邪気に笑った。
何もない夜空に、花を咲かせるように。
来年も行きたい…。少しずれてるけど、まああたりかな。
「約束だからね?」
「おう、約束」
来年が楽しみだなと、まだ先の予定に胸を膨らませていた。
1年後、私は再びあの地へと足を運んだ。
花火が打ち上がり、それが散っていく音が聞こえる。
近くの親子や友人同士、そして恋人同士の「綺麗だね」と言う会話が時折聞こえる。
みんな、大切な人とその花火を肩を並べて見ている。
私の隣には、誰もいない。
「…嘘つき」
ぼそっと呟く。
だがその声は、花火によってかき消されていく。
大切な人は、あの花火のように、儚く散っていってしまうんだ。
ドーン
最後の一発が打ち上げられた。
「…綺麗」
その花火は、最後に見たあなたの笑顔のようだった。