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時計の針
コツコツコツ
秒数を数えるそれ。
私は少し嫌いだ
何となく急かされているような気がして、あまり気分が良くない
急に世界が小さくなって、ここには時間以外の概念が無くなったかのような気にされる
自由だけれど狭くて苦しい空間
その空間が息苦しくて嫌だ
意識しなければ音は消えていくのに、その音の鱗片を少しでも捉えれば、耳に絡みついて離れない
私はそれが嫌いだ
大嫌いだ
彼に似ている
別に聞こうとしなければ聞こえない
でも捉えてしまえば逃げれない
彼は、そんな人だった
少し私が帰りが遅れたくらいで。
買い物に行っただけで。
彼の部屋に入っただけで。
まるで監禁されているかのような束縛で
苦しかった
世界は広いはずなのに、私の世界だけ閉ざされているようで、彼以外の概念は消え失せて。
追いかけられるのがこんなに辛いなんて知らなかった