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ジークは腹から大きく息を吸い、呼吸を整える。
アリィ「お疲れ様。」
アリィは仰向けに倒れ込むジークの顔を覗き込み、そう労う。
アリィ「はい、ご褒美。」
ジーク「無理…手が動かねぇ…。」
アリィ「あらま。ていっ。」
ノア「ヒトの顔に置くのはどうかと思うよ…。」
ジーク「前が見えねぇ。」
ルスベスタン「でしょうね。…20秒。結構伸びましたね。何か報酬があった方が良いのでしょうか…。」
(それとも単純に…いい所を見せたかっただけか。)
ルスベスタン「かなりお疲れのようですので、今日はここで切り上げます。また明日。 」
ジーク「…終わっていいのか? 」
ルスベスタン「やる気があるのは結構です。でもこれ以上無茶をすれば、体を壊すだけです。焦る気持ちは分かりますが… 」
アリィ「…なんでそんなに焦ってるの?」
ルスベスタン「そういえば、アリィさんには言ってませんでしたね。…連続失踪事件の容疑者が、吐きました。」
アリィ「え、捕まったの!?」
ルスベスタン「いいえ。あくまで”疑い”でした。しかし、絶対に連続失踪事件の犯人にはなれないアリバイがありました。…ようは振り出しです。 」
ジーク「振り出しに戻ってくれて良かったけどな。」
ノア「そうだね。世界にはない罪を吐かせる方法だっていくらでもある。なるべく穏便に行ったみたい。」
アリィ「なんでそんな皆して安心してるの?あまりいい話には聞こえないけど…。」
ルスベスタン「…その容疑者がキールさんだからですよ。クリウス殿下。」
アリィ「…えっなんで!?」
ルスベスタン「単純な話ですよ。キールさんが失踪した時期と、人々が行方不明になったのは同じ時期だから。友人の尋問なんてしたこと無かったので、流石に自分も動揺しました。」
ジーク「まぁそうだろうな。」
ノア「まぁその絶対に覆せないアリバイは教えて貰えてないんだけどね。」
ルスベスタン「…これは国家機密ですので。」
アリィ「国家機密のアリバイって何…?」
クリウス「それはもう話してもいいよ。」
ノア「うわあああ!」
クリウス「そんな驚くとは…。」
ゲティア「殿下は足音があまりしませんから…。」
クリウス「ヒトのこと言えないけどね。」
ルスベスタン「…いいんですか?」
クリウス「うん。許可は貰ったから。」
ノア「あぁびっくりした…。」
ルスベスタン「仲直りしたんですか?」
ルスベスタンがそう聞くと、クリウスはヒトの良さそうな笑顔から一転し、冷酷な瞳でルスベスタンを見据える。
クリウス「誰がアイツと?」
ゲティア「…どちらも取り付く島がない状態でして。もう仕方が無いので、いっそ思い切り好きなようにしてもらうことにしました。」
ルスベスタン「それは…キールさん、あまり王子らしくしろとか、そういうことは言いませんけどゲティアさんに苦労をかけすぎてはいけませんよ。」
クリウス「それはもちろん。」
ゲティア「クリフ陛下の幼少期からお迎えしておりますが、クリフ陛下の頑固さを受け継いでおり、厄介ですね。」
クリウス「…君は、俺がただ大人しく引き下がるのを望んでるとは思えないけどね。」
ゲティア「もちろん。私が貴方に求めるのは、誰にでもできる、言われたことをやり続ける人形じゃない。殿下が抗い続ける限り、私は殿下を支持しますよ。…それにそろそろクリフ陛下は痛い目を見るべきです。」
アリィ「不敬だ…。」
ゲティア「不敬がなんです。アレは痛い目を見なければ、ずっと自分の意見を貫き通します。よく知ってますから。と言っても…貴方達にはいまいち分かりませんよね。」
ルスベスタン「まさか…」
クリウス「お察しの通り。暴力的手段には出ないから安心して。…俺は現恒陽国国王クリフ陛下に政戦を挑んだ。ルスベスタン。君に支持してもらうために、その君が言った機密情報を持ってきた。」
ジーク「…こりゃすごいことになったな。 」
ジークはいつの間にか起き上がり、座り込んだ状態で呟く。
ノア「…ボクたちも、ルスベスタンもいつかはここから離れるのに?なんでルスベスタンに支持してもらおうと…」
クリウス「そんなの決まってる。アイツのお気に入りだからだよ。奪えたら最高でしょ?」
アリィ「…この姉にして弟ありだね…」
アリィはボソッと呟く。
クリウス「それに、ルスベスタンはそこそこ恒陽国でも、永夜国でも知られてて、この先何十年かはここから動けないからね。」
ルスベスタン「げぇっ!?マジで言ってます?」
クリウス「残念ながら、長命種みたいだよ。」
ルスベスタン「はああああ〜。 」
ルスベスタンはわざとらしく長いため息をつく。
ルスベスタン「…それで貴方はどんなアピールを?自分にも立場がありますので、はいどうぞで支持は出来ないんですよ。」
クリウス「まぁまぁこっちに来てよ。…捕まえたから。」
ルスベスタン「捕まえたって…」
クリウス「置いてかれないように、君達にも説明するとね、永夜国の正式な主権は俺にある。」
ジーク「じゃあなんで門番なんてしてたんだ?」
クリウス「まぁまぁ順を追って説明するから。…姉上が亡くなって一番に発見したのは俺だった。次に発見したのが、ゲティアかな。」
ゲティア「はい。」
クリウス「…でも発見したっていうのは、少し違ってて。本当は目の前で亡くなったんだ。亡くなる直前、姉上はあるものを俺に渡したんだ。 」
ゲティア「それが恒陽国の要である、擬似空間装置の設計図でした。」
アリィ「あれ、そんな名前だったんだ…。」
クリウス「どうすればいいのか、分からなくて暫く保管してたんだけど…髪も目も変えて過ごしてる間に、擬似空間装置に殺されるヒトが出始めて…いつの間にか恒陽国から少し離れた場所に、小さな集まりができ始めた。…だからきっと、姉上に設計図を渡されたのは、この為だと思った。小さな集まりに持って行って、皆で協力して作り始めた。制作はかなり難航したよ。設計図があってもかなり難しくて。それで…完成半ばになって、俺は制作班から追い出された。 」
ノア「設計図を持ってきたのはクリウスなのに?」
ジーク「こらノア、殿下をつけろ。」
クリウス「気にしてないから大丈夫。いいよね、ゲティア。」
ゲティア「はてさて、耳が悪くてすみません。なにか言ってましたか?」
ルスベスタン「いいえ、なんにも。」
クリウス「よく考えてみてよ。設計図を持ってきてくれたおかげで、確かに助かってはいる。でもそれは国家機密のはずで、知らないぽっと出の誰かが所持してるんだ。不信感を抱くのは不思議な話じゃないだろう?…それに利益を得るには俺の存在は不都合だった。…だから、俺はこれ以上干渉できないように、ギッチリスケジュールの門番に転職させられたんだよ。何も、君に大人しく尋問されていた訳じゃないからね。ゲティアに色々嗅ぎ回らせた。」
ルスベスタン「…主権を取り戻すと。確かに王になるのではあれば、それくらいは出来ないといけまけんね。ですが、1つ聞いても良いですか?」
クリウス「どうぞ。」
ルスベスタン「自分が恒陽国に赴いた時は、必ずと言っていいほど、ゲティアさんが居ました。一体どういうことです?」
ゲティア「…何を言っているのかさっぱりです。私は昨日の晩に、帰還しました。…貴方様とは恒陽国の城でお会いしたことは、ただの1度もありません。」
ルスベスタン「ちっ…!」
ゲティアが会ったことがないと断言すると、ルスベスタンは舌打ちをする。
ルスベスタン「すみません、もう今日は…」
ジーク「分かってる。行ってらっしゃい。」
ルスベスタンは返答せず、一直線に恒陽国にかけていく。
クリウス「…まさかこのタイミングで出るとは。ルスベスタンを騙せるなんて…ドッペルゲンガーとか?」
ゲティア「確かに合点は行きますが、架空の存在ですよ殿下。…私に化けたということは、狙いはクリフ陛下でしょうね。ルスベスタン様が向かっているなら大丈夫でしょうけど…ザックスに連絡してきます。」
ノア「なんだかずっと慌ただしいね。」
アリィ「私達に出来ることは何も無いし、大人しくするしかないね。…多分もうすぐこの国から出られると思うんだけど…ジーク…どう?」
ジーク「どうって言われても…」
アリィ「だよね。」
ジーク「あ、そうだ。これありがとう。」
ジークはそう言い、アリィに渡されたものを見せる。
ジーク「手袋?」
アリィ「そう。前に弓を構えたらささくれが刺さって、痛かったって言ってたでしょ?だからプレゼント。」
ジーク「それだいぶ前の話だぞ…。よく覚えてたな…。ありがとう、大切にする。」
アリィ「どういたしまして!」
ノア「にしても意外。」
クリウス「何が?」
ノア「だって今までは自分を追い出したヒトを、捕まえる力があったのにそうしなかった訳でしょ?大人しく従って。」
クリウス「…確かにそうだね。特に反抗する意味も見いだせなかったし…。」
アリィ「じゃあなんで政戦なんて…」
クリウス「…俺には実際に、政権に参加する権利がない。今の権力はお飾りなんだ。だから、国全体を巻き込んだ罪人の処罰に口を出させて貰えない。姉上の処罰、タンザさんの保護、どちらも公平に俺はしたい。理不尽な処罰なんてあっちゃいけない。」
ジーク「…それを言えば、ルスベスタンは速攻で支持すると思うんだが。」
クリウス「だろうね。でもそれはただの脅しとなんの違いがある?俺はルスベスタンに本心で支持してもらいたい。王になれないと確かに困るけど…俺だって馬鹿じゃない。考えたくは無いけど、王になれなかった時の保険は何個だってあるよ。あくまで政戦が一番平和な手段ってだけ。…あ、そうだ。ジハードに関して言ってなかった。」
ノア「どうなったの?」
クリウス「脅された立場というのもあって無事釈放。元々別の身分を持っていたみたいだし…多分姉上はこれも計算のうちに入れてたんだと思う。」
ノア「無事なら良かった…。ジハードは今どこに?」
クリウス「恒陽国にある家に帰っているよ。暫く姉上が居候してたせいで、汚くなったから掃除するって。…ちょっと想像つかないけど。」
ノア「そっか。教えてくれてありがとう。…待ってた方がいいよね。」
アリィ「そうだね、お掃除の邪魔になっちゃうから。 」
ジーク「クリウス殿下は城には…」
クリウス「戻らないよ。最初から誰も彼もは救えないと諦めるような父上がなにかされようか知ったこっちゃ無いし、俺の家は恒陽国じゃなくて、永夜国だから。ニャヘマから聞いたけど、アリィ色々とありがとう。」
アリィ「別にいいよ。…それより家の雰囲気を悪くしてごめん。」
クリウス「ああそれか。メシェネから伝言。気にしないで欲しいだって。 」
アリィ「…しっかりした子だね。」
クリウス「だよね、俺もそう思う。…ネアの両親の仲は良好といえなかったんだ。」
アリィ「そっか。城に戻らないなら、どうするの?ニャヘマ達とは既に会ってるみたいだし…」
クリウス「さっき捕まえたって言ってたでしょ。放置する訳にもいかないし、お茶でもしてくるよ。それじゃあまたね。」
ノア「またねー。」
ジーク「……。」
アリィ「どうしたの?ぼーっとして。」
ジーク「あ、いや…ルスベスタンってほら、この手のプロらしいし…見たくね?」
アリィ「分かる。すっごいみたい。」
ジーク「だよな!…まぁ野次馬なんて邪魔になるだけだし、見れないけど。手伝えるほどの実力もないし。アマラは見たことあるらしいんだけど…羨ましいな。 」
アリィ「ジーク結構野次馬したがるよね。」
ジーク「一応理性で踏みとどまってるから…。」
アリィ「ふふっ分かってる。」
次の日の朝
ルスベスタン「もう嫌です、なんもしたくない。」
ジーク「それは困るんだが…」
ノア「逃げられたんだね。」
ルスベスタン「おちょくりやがりまして!!あったま、おかしいんじゃあないです!?」
ジーク「出てる出てる、隠しきれてないって。」
ルスベスタン「そう思うでしょう!?ハピィおじさん!」
ハピィ「…長旅で疲れてる俺ちゃんを労らない訳かぁ?というか俺にあんだけ圧かけといて本人がこれじゃあ駄目だろ。」
ルスベスタン「…今に見てなよ…。 」
ハピィの声は届くことなく、ルスベスタンはブツブツと何かを呟いている。
ハピィ「うちのが世話になってるな。俺ちゃんはハートル商会の会長、ハピィおじさんだ。あぁこれはルスベスタンに合わせたわけじゃないぜ?嘘偽りない身分だ。2つあんのよ。」
ジーク「ジークです。どちらかというと、俺の方がお世話になってるというか…」
ハピィ「あぁ大体のことは、ルスベスタンから手紙で聞いてる。…しかしまぁ…」
そう言い、ハピィはジークを指の先までじっくり見る。
ハピィ「…ついに産んだか。」
ルスベスタン「あの産んだは、百歩譲って冗談なのは分かりますけど、ついにってなんです、ついにって。」
ノア「…どんどんボロボロが出てきてるよ。 」
ルスベスタン「…これは失礼しました。」
ハピィ「お前さん…銀髪はちぃと目立たねぇか?」
ジーク「あー…えっと…」
ノア「銀髪ってまずいの?」
ノアはこっそり横で静かに見守っていたアリィに聞く。
アリィ「…銀髪って結構珍しいから、奴隷として価値が高いんだよ。昔、ジークも昔捕まりそうになってね。その時は、ジークのお父さんが助けてくれたんだって。」
ノア「…髪色とか気にしたこと無かったな。アリィは珍しいの?」
アリィ「地方によってはってところ。銀髪程じゃないよ。橙色の髪は結構マムロウ国のヒトに多いよ。」
ノア「へぇ〜。でも今は自分で返り討ちにしてるんでしょ?なんであんな気まずそうに…」
アリィ「それは…返り討ちにしてる殆どが…ジークじゃなくて私だから…。それにハピィさんは商人ってさっき名乗っていたからね。 」
(これは私が勝手に口を出すものじゃない。ジークがどうしたいかによるし…暫く様子見かな。)
ジーク「…あぁ…まぁ…確かにこの髪のせいで、捕まって酷い目にあわされそうになったこともある。父さんが助けてくれたけれど…すまない。あまり思い出したくはないんだ。」
ハピィ「だとさ。」
ルスベスタン「0点ですね。」
ジーク「んなっ…そもそも急に誤魔化せって目で指示してきたのはそっちだろ…」
ハピィ「そーそー、俺ちゃんに嫌な役やらせてぇ。 」
ルスベスタン「…一応交渉も指導して欲しいと言ったのは、貴方でしょう。時には発破をかけることも大事ですよ。」
ジーク「発破ねぇ…。」
アリィ「そんな話いつしてたの?」
ジーク「一昨日くらいに。」
ハピィ「悪かったな。俺ちゃんはデリケートな話題に手は出さねぇから安心しな。ハートル商会の商品を、少しまけてやるからさ。」
ルスベスタン「部下を連れてきたんですか?」
ハピィ「おうよ。俺ちゃんが行くとこは全部商売の地だぜぇ?…あぁそう仕事の話なんだが… 」
ジーク「なら俺達は1度席を外す。」
ハピィ「悪いねぃ。」
ノア「すごい気さくな人だね。」
アリィ「ここで商売するつもりらしいし、少しは物価が低くなるといいね。」
3人が席を外した後、ハピィはルスベスタンにある提案をする。
ハピィ「苦戦してるみたいだし、手伝ってやろうか?お前さんは裏から、俺ちゃんは表から。…買取役になってもいい。そう怪しまれないはずだ。…ボスが俺ちゃんにちょっかいかけるまで、ハートル商会がどんな商売してたかは分かってるだろ?」
ルスベスタン「それは…」
ハピィ「それと…獲物は取ったらいけねぇよな?武器の調整はしておくぜぇ。」
そういい、ハピィはアリィ達を連れ戻す。
ルスベスタン「…いつまで経っても掴めないヒトだ…。ジークさん、交渉術の話なんですけど…」
ジーク「あぁ。」
ルスベスタン「やるだけやってみてくれって言われたので、やってましたけど…やっぱり駄目です。多分教えるの向いてないです。なので、提案なんですが…ハピィおじさんか、ニャヘマさんか、ニェヘマ君の誰かに聞くのが良いかと。」
ジーク「ハピィさんは分かるが…」
ルスベスタン「正直者すぎるクリウス殿下をキールさんに仕上げたのはあの二人です。それなりに、心得があるかと。素直に頷いてくれるかはさておき…。」
ノア「でもここで商売するんでしょ?ハピィの邪魔になるんじゃ…」
ハピィ「ハピィさんって、硬いねぃー。親しみを込めてハピィおじさんって呼んでくれよぉ、ほらほら。」
ジーク「ええと…」
アリィ「ハピィおじさん、本当に邪魔じゃない?」
ハピィ「お、ノリいいねぇーい。部下にある程度の仕事は任せてるから俺ちゃんは大丈夫だぜぇ?どーせ、仲間のメジェムがまだ来ないからな。あとどれくらいで来そうだ?」
ルスベスタン「遅くなるとしか…」
ハピィ「つうことは…アイツ、先に任務を片付けてから行くつもりか。まぁでも、有言実行が服着てるような奴だから、大丈夫だろ。ってとことで俺ちゃんは暇だぜ!ついでに変装の仕方とかも教えてやるよ。面白そ…役に立つかもしれないからな!」
ジーク「…今一瞬不純な理由が見えた気がするけど、お願いします。」
ノア「…ねぇ、ルスベスタン。この国って後どれくらいで、出れそうなの?」
ルスベスタン「…予想では1週間ですね。正直厳しいです。ですが…できる限りの最大限を注ぎ込みます。」
アリィ「…まぁ普通は何年もかけるよね。」
ルスベスタン「…恐らく貴方達の中で一番強いのは貴方です。ノアさん。万が一がないように、仕上げますが…」
ノア「分かってる。必ず守る。」
アリィ「ノアが戦うところって見たことないけど、どうやって戦うの?」
ノア「えっとねー、足にある輪っかを取ります。」
アリィ「それ気になってたんだけど、どうやって浮いてるの?」
ノア「アリィがくれた帽子と同じ仕組みだよ。」
アリィ「それは覚えてたんだ。」
(ってことは魔法か。)
ノア「ずっと身につけてたからね。で、この輪っかを…」
ノアが輪っかを弄ると、ノアの手に握られてた輪っかから刃が出る。
アリィ「それ…手は無事…?」
ノア「大丈夫大丈夫。ボクの手足みたいなものだから。これを投げて戦うんだよ。」
アリィ「へぇ…。…やっぱり私も…」
ノア「…アリィ、君の好きなようにやれば、ボクはいいと思う。無理をする必要はないよ。」
アリィ「覗いた?」
ノア「覗いてないよ。顔を見てれば、何を考えてるかなんて分かるよ。ジーク程じゃなくても、一緒に長いこといたんだし。それに…何故かアリィは覗けないからね。」
アリィ「…だろうね。やめといた方がいいよ。」
(私の記憶は兎も角…2人分うっかり一気に見ることになっちゃうからね。)