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「……んっ、ふ、ぅ……なん、れ…またっ……す、すちく、ん……あんまり、動いたら……っ」
みことはすちの胸に顔を押し付けて、必死に声を噛み殺していた。余韻どころか、まだ体はすちを深く受け入れたまま──。なのに、すちはその腰をわずかに揺らしては、みことの反応を楽しんでいる。
「だめ……ほんとに、声出ちゃ……っ」
「いいよ、俺の肩かんで。誰にも聞こえないようにね」
そう言ってすちが軽く唇を落とした瞬間──
ギィ……ガチャ。
「──あれ、誰か入ってる?」
突如、ドアの外から聞こえてきた他人の声。
みことの背筋がピンと跳ねた。
「や、やば……だれか、来た……!」
「……静かに。音立てないで」
すちも一瞬でスイッチを切り替え、みことの腰をがっしりと押さえたまま、声をひそめる。けれど──まだ、体はつながったままだった。
「え、え、ど、どうしよう……!」
「大丈夫。バレなさそう。むしろ……その反応、めちゃくちゃそそるんだけど」
すちはわざと、ほんの少しだけ腰を押し上げた。
「んっ……あ……!」
「声、出さないで。バレたらどうするの?」
すちの言葉にみことは首をぶんぶん振る。けれど、敏感になった体はわずかな動きでも震え、反応してしまう。
外からは、水を流す音、誰かが手を洗う気配。
もうすぐ出ていくだろう──そう思いたいのに、時間が異常に長く感じる。
「……ねぇみこちゃん、こういうの、ほんとは好きなんじゃないの?」
「ち、ちが……っ……!」
「だって、こんなに締めつけてるよ?」
囁きと同時に、またゆるく腰が動いた。
「んっ……も、だめ……お願い……!」
その時、外の足音が遠ざかっていく──
ガチャン。
「……出てったね」
安堵の息が漏れたその瞬間、すちは再びぐっとみことの腰を引き寄せた。
「……じゃ、続きしよ。今度は遠慮なく、声、出していいからね?」
「す、すちくんの……バカ……っ!」
涙目で睨んでくるみことに、すちはにやりと笑いながら、もう一度深く、溺れるような熱を与えていった。
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狭い個室の中。
すべてが終わったあと、ふたりはしばらく言葉もなく、ただぴたりと身体を重ねたまま静かに呼吸を整えていた。
「……はぁ、っ……すちくん……おかしいでしょ、ほんとに……」
みことは、ぐったりとすちの胸に顔を埋めて、かすれた声で言った。
「おかしいのはみこちゃんのほう。あんなに感じてたのに……途中で人来ても、止まれなかったくせに」
「……っ、言わないで……思い出したら恥ずかしすぎて……」
「でも気持ちよかったでしょ?我慢したあとのみこちゃん、反応やばいくらい可愛い」
すちはいたずらっぽく微笑むと、みことの髪に指を通して、汗で濡れた前髪をそっと払った。
「もう……見ないでってば……」
「見る。今が一番、愛しいから」
優しい声が響いた。すちの手のひらが、背中をゆっくり撫でてくる。震えていた体も、その手の温もりに包まれて、じわりと緩んでいく。
「ちゃんと歩ける?」
「無理……ちょっと、足ががくがく……」
「じゃ、また抱っこで連れてくかな」
「や、やだ……また変なとこ連れてかれそう……」
「安心して。今度はベッドね。広いし、声出してもバレない」
「……ばか」
そう呟いたみことの声は、けれどどこか甘く、安心に満ちていた。
音も声も、すべてを共有したあとの、誰にも邪魔されない静かな余韻──
すちの胸の中で、みことはそっと目を閉じた。
満たされた体に、すちの鼓動が優しく響いていた。
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