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席に着くと、運ばれてくるコース料理に合わせてクラシックの曲目が奏でられた。
「オーケストラの生演奏を聴きながらのディナーなんて、夢みたいです」
うっとりと聞き惚れている彼女の表情に、つい惹かれそうになる。
クラシカルな曲がゆるやかに流れる中、二人で向かい合って食べるディナーはいつにも増して美味しく感じるようで、
「……いい時間ですね」
彼女を見つめて口にすると、
「本当に、とってもいい時間で……」
笑顔で見つめ返された……。
「……あっ、えっと…先生? どうしてそんなに私を見ていて?」
じっと彼女を見ているあまり、いつの間にか食べる手が止まっていたことに気づいた。
メインのフィレステーキを切り分けようと手にしていたナイフとフォークを皿に置いて、
「ああ…あなたを見ていたら、目が離せなくなってしまって」
そう本音を話すと、彼女があ然とした顔つきで仄かに頬を染めた。
「そんなにストレートに言われると照れます……」
「照れた顔が見たくて、言っているんです」
カットしたステーキを口に運んで、くすりと笑う。
「もう…。…でも、一臣さんが、そんな風に笑っていてくれるのは、私も嬉しいです」
彼女の言葉に私自身も嬉しさが募る。ただ二人で過ごす時をこんなにも幸せに感じられることに、自分でも驚きが隠せなかった……。