テラーノベル
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#遊園地
えるなす
33
#ある意味ホラー
#参加自由
重田💋(omoda)
373
45
この村は、その少年に支配されていた。少年は奇妙な声をしていたが、スマホのボイスチェンジャー機能のようなものを通してしゃべると、強力な催眠効果を発揮するらしく、人々は少年のしゃべった言葉に逆らえなくなってしまった。少年の声の持つ魔力なのか、それともあのスマホがそういう力を持っているのか?
実は、少年は生まれつき特殊な波長を持っていた。しかし、不幸なことに、それを聞いた人間は、何となく少年を嫌いになった。そういう波長だったのだ。だが、あるとき、一人の老人が少年の声に興味を持った。その老人は発明家で、「絶対に効果を発揮する催眠術」が使えるアプリを開発した。だが、そのアプリを成立させるには、特殊な波長が必要だった。そのままではアプリは使い物にならず、老人のただの妄想に終わるところだった。だが、二人は出会ってしまった。
老人は少年を使ってアプリを試し、実験は成功し、……そして少年はアプリを使って老人に催眠術をかけ、その研究成果を自分の物にしてしまった。
ともかく、少年はその力を使ってこの村を支配下に収めてしまった。今はなんとなく、自分が支配した村を歩いてまわっていた。
と、子どもたちが「虫」を集めているのを見かけた。なんという虫かは知らないが、ガの幼虫のような芋虫で、この村にはよくいる。気持ち悪いな、と思ったが、そのとき、少年にろくでもないアイディアがわいてきた。
そこで少年は、スマホを取り出すと、子どもたちに仲間を集めてなるべくたくさん虫を集めて来るように命令した。
そして次に、ふさわしい「おもちゃ」を用意することにした。スマホで適当な番号に電話し、近郊に住む若い女性を探した。スマホを通じた少年の声には催眠効果がある。相手は素直に自分の住んでいるところをしゃべった。
さすがに時間はかかったが、ちょうど条件のいい相手を見つけた。少年はその女性に、「特別な美容サービスを受けられるから、村まで来るように」といった。
少年の力を使えば、無理やり言うことを聞かせることはできる。しかしそれでは面白くない。だから少年は、催眠で相手に錯覚を起こさせ、自発的に行動させることを好んだ。
少年は満足げにスマホをポケットに戻した。女性は今頃、村に向かって車を走らせているはずだ。彼女の頭の中では、この村が最新の美容スパ施設として映っているだろう。少年の声の力は、そんな錯覚を植え付けるのにぴったりだった。
次に、少年は村人たちを呼び集めた。スマホのボイスチェンジャーをオンにし、低く響く声で命令を下す。
「大きな木の桶を用意しろ。昔の風呂桶みたいなやつだ。小学校の運動場に設置してくれ。急げよ」
村人たちは逆らえず、すぐに動き出した。古い倉庫から巨大な木製の桶を引っ張り出し、運動場に運び込んだ。桶は直径2メートルほどもあり、深さも十分。少年はそれを見て、にやりと笑った。
子どもたちが集めた虫は、すでにバケツいっぱいになっていた。ガの幼虫のような、おぞましくうねる芋虫たちだが、この村のものは意外と頑丈で、簡単に潰れたりしない。太くて肉厚な体は、表面がぬるぬるした粘液で覆われ、触ると温かく脈打つような感触がある。
少年は子どもたちに命じて、それらをすべて桶の中に移させた。虫たちは桶の底で蠢き、互いに重なり合って不気味な塊を形成した。少年は水を張らせることも忘れなかった。村人がホースで水を注ぎ、桶はあっという間に浅い池のようになった。虫たちは水面に浮かび、時折ぴくぴくと動く。ぬるぬるした体液が水に混じり、表面を油膜のように覆い始め、甘酸っぱいような生臭い匂いが微かに漂い始めた。
「よし、これで準備完了だ」
少年は独り言のように呟いた。
やがて、女性が村に到着した。彼女は20代前半の、若々しく張りのある肌をした美女だった。黒髪が肩まで流れ、細身の体型ながら、豊かなDカップの胸と丸みを帯びたヒップが目を引く。軽やかなワンピースを着ており、都会の大学生のような清純な雰囲気をまとっている。肌は透き通るように白く、頰はわずかにピンクに染まり、唇は柔らかく艶やかだ。
少年はスマホを手に彼女を迎え、ボイスチェンジャー越しに話しかけた。
「ようこそ、特別な美容サービスへ。ここは最新のスパ施設です。運動場は、広々としたリラクゼーションエリアですよ」
女性の目がぼんやりと曇った。催眠効果が即座に働き、彼女の認識が歪められる。荒れた小学校の運動場が、豪華なスパの庭園に見え始めた。
「わあ、素敵ですね……。本当にここで美容サービスが受けられるんですか?」
「もちろんです」
少年は微笑みながら続けた。
「まずは、あの桶に入浴してください。あの中に浮かんでいるのは、美容効果の高い特別な果物です。肌をツルツルにし、若返らせるんですよ」
女性は桶を覗き込んだ。そこに浮かぶ芋虫たちは、彼女の目にはジューシーな果実として映っていた。赤や緑のトロピカルフルーツのように、魅力的で美味しそうにさえ見える。
「まあ、なんて珍しい果物……。これを浮かべたお風呂なんですね」
「そうです。入ってください。服は脱いで、ゆっくり浸かって」
少年の声が優しく響く。だがそれは悪魔のささやきだった……(続く)
コメント
3件
あらためて読んだんだけど、この少年の“暇つぶし”ってタイトルがもう怖すぎるよ…!😨 虫を集めさせて、美容スパって錯覚させて桶に誘導する流れ、じわじわくる悪意がヤバい。特に「甘酸っぱいような生臭い匂い」の描写が生々しくて、ゾワゾワした…。 続き、どうなるんだろう?めっちゃ気になる!😭💦