俺は、自宅で雑貨屋を営んでいるのだが、街のはずれにあるせいか、なかなか客が来ない。
レナも暇そうだ。
ハロウィンやクリスマスなど、何か大きな行事があるときは、そこそこ客は来るのだが、それも午後には自由時間ができるほどだ。
「はぁ…、このまま客が来なければ、閉店も時間の問題だな…」
そんな時、一人の女性客がレジに並んだ。
「おのぉー、会計お願いしまーす」
「はい」
俺はドキッとした。その女性が、俺が大学生だった時の同級生だったからだ。
「えっ?もしかして、菱川くん?」
覚えてたのか。無理もない、まだ卒業して半年もたっていないのだから。
「あ、まあ、そうだけど」
「やっぱり!?相変わらずのイケメンだねー!」
な、何を言ってるんだ森田。
「…まあ、な」
「あ!この猫ちゃんは、菱川くんのペット?」
話変えやがった。
「まあ、そうだけど。レナっての。触ってみる?」
「うん!」
森田はレナを撫でながら、いきなりこんなことを言った
「ねえ、私、菱川くんのとこで働いていい?」
「は?」
「だから、ここで私も働いていい?って」
「…働き先なら、他にあるだろ」
すると森田は黙り込んでしまった。
「…あぁ、もう分かったよ。働いてもいいから」
「やったぁ!これからお世話になります、菱川くん」
「…おう」
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