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私
達はとても似ている。だからこそ同じ過ちを繰り返す。だからこの世界にバランスをもたらすために、私たちは互いに協力しなければならない。私はあなたを助けてあげることはできないけれど、あなたの手助けをしてあげることならできる。あなたは私を助けることができないけど、私の手伝いくらいならしてもいいと思うわよね? もしあなたが何か困っていることがあったら教えてほしいの。私はいつでもあなたの助けになるから。あなたのために何でもする。
「……それじゃあね。また明日」
彼女はそう言って立ち去った。
「うん……」
僕は小さく返事をした。
次の日の放課後、僕達は屋上にいた。
いつものようにベンチに座って二人でお弁当を食べていた。今日は珍しく彼女が僕の隣にいる。昨日からずっとこんな調子だった。普段なら一人で食べることが多いのだが、なぜか今日だけは違ったのだ。特に何をするというわけでもない。ただ黙々と食事をしているだけなのだが、それでも彼女と二人きりでこうして過ごせることが嬉しかった。
しかし今日の彼女はどこかおかしかった。さっきからそわそわしっぱなしだし、妙に口数が少なかった。一体どうしたというのだろうか? ふと横を見ると、そこには小さな人形が落ちていた。その人形には見覚えがある。それは昨日彼女が大事そうに持っていたものだった。
あぁなるほどそういうことか。僕は全てを察して小さく笑った。そして彼女に見つからないようこっそりとその人形を拾い上げ、ポケットの中へとしまいこんだ。
※
※
※ 僕たちはそれから二人で楽しくデートをした。いつも通りの他愛もないお出かけだったけれど、それでもとても楽しい一日になったと思う。
帰り道の途中にある公園に差し掛かった時のことだった。
『ねぇ』
不意に声をかけられ振り返ると、そこにいたのはあの人形を持った女の子だった。
『これ……あなたの?』
女の子はその手に持った人形を差し出してきた。
『ううん、違うよ。僕のじゃない』
僕は首を横に振り否定する。
『じゃあ、この子の落し物かな……?』
そう言うと女の子は少し離れた所に立っている男の子を指差した。
『その子の大切なものかもしれないね』
「この世には知らないほうがいいこともあるんだよ?」
「どうしていつもそうなんですか!」
「僕たちは君たちを歓迎しているよ」
「……僕はもう何も信じられない」
「あなたのことなんか知りたくもないわ」
「あなたは最低ですね」
「あなたは何もわかっちゃいない……」
「私はあなたを許しませんから」
「……あんたなんか消えてしまえばよかったのに」
「俺がお前らの分まで生きてやるさ」
「あーらあら、お嬢ちゃんったら怖い顔してどうしたのかしらぁ?せっかくのお人形さんみたいな可愛いお顔を台無しにしちゃうわよぉ?」
「うるさい!」
「こわい!怖すぎるわよ、その目つき!ちょっとからかっただけじゃないの……」
「…………」
「ごめんなさいねぇ?だから睨まないでちょうだい。それにしても、こんなところで会うなんて奇遇ね。また会った時はよろしくお願いします」
「ふん。馴れ合いはしないぞ」
「それは残念」
「それよりお前はここで何をしている」
「別に何もしていないわ。ただぶらついているだけよ。そっちこそ何をしていたの?」
「……」
「あら、答えられない事情でもあるのかしら?ふぅん。それじゃあお邪魔にならないうちに退散することにするわ」
「待て」
「何かしら」
「貴様は本当にここにいるだけで何もしていないのだな」
「えぇ。そう言ったでしょう?」
「ならばなぜそんなにも怯えている」
「怯えてる?私が?」
「そうだ。この世の全てを恐れているように見える」
「……さすがは魔女の秘蔵っ子。観察眼だけは確かなようね……」
「あぁ、その通りだ。この男はただの人間じゃない」
「そうでしょうね。だけどそれがどうしたっていうのかしら?」
「それは……どういう意味ですか?」
「だって、こんなものはただの知識にすぎないわ。今さら驚くことではないと思うけど」
「そうだな。だが、俺にはこいつの知識が本物かどうか確かめる必要がある」
「それじゃあ、これからどうやって調べるか教えてちょうだい」