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│ 第4章 正しい行動 │
館への出入りは、警察の許可が必要になっていた。
それでも 塩﨑太智と曽野舜太は、もう一度中を見たいと申し出た。
「気になることがある」
塩﨑はそう言った。
「昨日、俺らが見た部屋…ちょっと変やねん」
曽野が続ける。
警察は渋ったが、最終的に二人だけの再確認を認めた。
一階・右側の廊下
「ここや」
太智が足を止める。
扉は、半分だけ開いていた。
「昨日は閉まっとった」
曽野が言う。
「中、入ったんか?」
太智が聞く。
「入ってへん」
曽野は首を振る。
「物置みたいやったし」
二人は中を覗いた。
何もない
棚と、埃…
だが、
「……床」
曽野がしゃがんで床を見た。
「何や?」
「ここだけ、 足跡ある」
太智も覗き込む。
確かに、靴底の跡が薄く残っている。
「昨日のやろか」
太智が言う。
「せやけど」
曽野は立ち上がった。
「この部屋、管理室の隣や」
二人は顔を見合わせた。
ロビーに戻ると佐野と吉田がいた。
「何か分かった?」
佐野が聞く。
「管理室の隣の部屋」
塩﨑が言う。
「足跡あった」
「鍵、関係ある?」
吉田がすぐに聞いた。
「分からん」
曽野が答える。
「けど、人は入っとる」
「昨日?」
佐野が聞く。
「可能性は高い」
その時
「警察に言った方がいい」
吉田が言った。
「もちろん」
塩﨑は頷いた。
「隠す理由ないし…」
だが、その言葉が――
後で疑いに変わる。
事情を聞いた警察官は、 一つ質問をした。
《昨日、その部屋に入った可能性があるのは?》
太智と曽野は顔を見合わせた。
「……俺らです」
太智が答えた。
《何時頃?》
「正確には……」
曽野が言葉を探す。
「覚えてへん…」
その瞬間、警察官の表情が変わった。
《昨日から、 “覚えていない”が多いですね》
塩﨑は眉を寄せた。
「正直に言っとるだけです」
《正直かどうかは、こちらが判断します》
その夜、 五人は同じ部屋に集まっていた。
「なんで俺らが疑われんねん」
曽野は苛立ちを隠せなかった。
「疑われる行動、全部正直に話してるからだろ」
吉田が言う。
「それ、 正直が悪いみたいに聞こえるやん」
「そうは言ってない」
空気が張り詰める。
「……やめよ」
佐野が割って入った。
「俺らが揉めても意味ない」
その時、
「一つだけ」
山中が静かに言った。
全員が注目した。
「昨日、管理室の前誰かとすれ違った、 ?」
みんなが口を閉ざし、誰も答えない。
「……俺はすれ違ってない」
山中はそれだけ言った。
その夜遅く、曽野は自分のスマホを見ていた。
見覚えのない写真。
暗い廊下
管理室の扉
撮った記憶はない。
「……なんでや」
その写真がいつ撮られたものなのか。
曽野は思い出せなかった。