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6 - 第5章 筋が通る人

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2026年01月01日

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│ 第5章 筋が通る人 │




翌朝、五人は宿泊施設の小さな会議室に集まっていた。



「一回、整理しよ」



そう切り出したのは、吉田だった。



「感情抜きで、事実だけ」



誰も反対しなかった。



「まず被害者」



吉田はメモを見ながら言う。



「館のスタッフ男性。死因は頭部外傷。次に時間、  昨日、全員が三十分前後、別行動。問題は…その間に何が起きたか、」



曽野が腕を組む。



「……先生みたいやな、笑」



「ふざけてないで。ここ、重要だから。」



吉田は淡々としていた。





「鍵」



吉田が続ける。



「管理室の鍵がなくなってる」



視線が自然と佐野に集まる。



「……俺が持ってた」



佐野は正直に言った。



「いつの間にか、」



「…は?覚えてはない?」



吉田がやや目を見開いて聞いた。



「覚えてない…」



「じゃあ、“持った記憶がない鍵を持っていた”…?」



「それだけ聞くと、かなり不利だよ」



「わかってる」



佐野は目を伏せた。



「いや、でもさ」



吉田が続けた。



「勇斗が仮に犯人なら、鍵を持ってること自体が不自然」



「どういうこと?」



塩﨑が聞く。



「隠すなら… 捨てるか戻す、、持ち続ける意味がない」



その言葉に、曽野が頷く。



「確かに」




「次、写真」



吉田は話題を変える。



「舜太のスマホにあった、管理室前の写真。 撮った記憶がない。 でも、撮影時間は残ってる。昨日の…俺らが別行動してた時間帯」



曽野が舌打ちする。



「最悪やな」



「でも」



吉田は冷静だった。



「写真があるだけで、何をしたかは分からない、足跡も同じ。可能性がある、それだけ」





「じゃあ、誰が一番怪しいんや?」



曽野が聞いた。


全員が記憶を巡りながら頭を悩ませ、少しの沈黙が続いた。



「……俺は、 外部犯だと思う」



吉田がそう言った。



「理由は?」



佐野が聞く。



「内部犯なら、証拠が残りすぎ。鍵、写真、足跡… どれも“見つかりやすい”」



雑すぎる



その言葉は、妙に説得力があった。



「でも、外部犯なら?」



塩﨑が聞く。



「鍵を使って、館の中を自由に動けるし、スタッフの動線も知ってる。逃げ道だってある」



「……管理側?」



曽野が言う。



「まぁ、可能性は高いだろうね」




その時、



「一つだけ、おかしい」



山中が空気を割るように言った。


全員がそちらを見る。



「外部犯なら、どうして“今”? 昨日じゃなくてもいい。ロケの前でも、後でも」



山中は、それ以上言わなかった。


吉田は、一瞬だけ黙った。



「……確かに」



だが、すぐに話を戻した。



「でも、今は偶然かもしれない。 動機が分からない以上、断定はできない… 」





会議が終わり、それぞれが部屋を出る。


廊下で、佐野が山中に声をかけた。



「なぁ柔太朗……俺、どう思う?」



「何が?」



「犯人かどうか」



山中は少し考えてから、答えた。



「分からない」



「でも… 勇斗が犯人なら、たぶん、もっと分かりやすい」



その言葉は、慰めにも、断定にもならなかった。


その夜吉田は、一人でスマホを見ていた。


警察とのやり取り


メモ


時間



「……一つ、計算が合わない、?」



小さく呟く。


その“合わない部分”が、何を指しているのか。


この時点ではまだ誰にも分からない。




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