テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
11 優佳の会社・社長室(昼)
優佳、激怒する。
優佳「これ、どういうことよ!」
西波「あ、これは……あの」
西波、しどろもどろになる。
晴馬「そいつは会社の金を使い、男たちと遊び歩いていた。実業家からホストまで、金を握らせてやりたい放題だ。さっき優佳に実業家の写真を見せていたが……どうせその実業家も、そいつが食い散らかした男の一人だろう」
優佳「なんですって……! この、最低の裏切者!」
西波「……ふっ。あーあ、バレちゃった~」
西波、観念し、鼻で笑う。
優佳「あなた……!」
西波「でも裏切られるほうが悪くないですか~? 優佳社長、どれだけお金を抜いても、まったく気づかないんですもん。バカですよね~」
優佳「この……秘書にしてあげた恩を忘れたの!?」
西波「はぁ? 恩とか言います? きっしょいな、死ねよ」
優佳と西波、取っ組み合いの喧嘩を開始。
晴馬、それを一瞥してから、優佳たちに背を向けて、社長室を出る。
晴馬、スマホで電話をかける。通話相手は映さない。
晴馬「すみません、重一さん。約束、最後まで守れませんでした」
12 道
晴馬、道を颯爽と歩いている。
晴馬M「この社会の頂点であるフィクサー家、それが『善界家』だ」
「善界家」というテキストを出す。
晴馬Ⅿ「俺はその善界家の長男。善界家の人間は、基本的に表舞台に立つことはない。巨大な本家屋敷も存在せず、関係者はこの国の至る所に溶け込んでおり――」
街中にいた老若男女の人間たちが、自然な流れで晴馬の後ろに付き従う。
晴馬M「必要な場合だけ、集合し、問題に対処する」
晴馬を先頭として、それなりの人数が付き従って、街を歩いていく。
上司の高橋がほろ酔いで横を通り過ぎ、足を止める。
高橋「晴馬? いや違うか」
13 都内のバー(夜)
晴馬、一人だけカウンターに座って、ウイスキーを飲んでいる。
バーテンダー村田と微笑み合う。
村田、サッとカウンターを後にする。
晴馬の背後に、井川・尾町がひざまずいている。
井川「晴馬さま、これからどういたしますか?」
晴馬、くるりと井川・尾町のほうを向く。
晴馬「俺がやることは変わらない。この国を裏から支え、繫栄させる。それが善界家の使命だ。俺は『貴崎晴馬』をやめ、今後は善界家次期当主――『善界晴馬』として、使命を全うする」
晴馬の近くに「善界晴馬」という、豪華な名前表示を大きく出す。
井川「承知しました。これからも我々は全身全霊、晴馬さまをお支えいたします」
晴馬「ありがとう」
晴馬、珍しく優しい表情を一瞬だけ見せる。
晴馬「まずは各業界の権力者たちと会い、日本の政治・経済・裏社会の現状を把握する。アポは取ってあるな?」
尾町「はい。明日は国際会館で経済界の重鎮の方々と会合が予定されております。ですが、少々気になることがありまして……」
晴馬「なんだ?」
尾町「同日に同施設内にて、貴崎優佳さまが主催する大規模な会合があるようなのです」
晴馬、渋い表情で締め。
コメント
1件
読みました!西波さんの開き直り方が本当に腹立たしくて、でも「裏切られるほうが悪くないですか?」って台詞は妙に刺さりました。そして晴馬さんの正体が「善界家」の次期当主だった流れ、一気に世界観が広がって鳥肌立ちました。最後に優佳さんと同じ会場で会合…ってなるとこも、もう次が気になって仕方ないです!二人の距離、どうなっていくんでしょう。
1,160
眠狂四郎
1,483
207
4,285