テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
自転車和尚
212
#じゃぱぱ愛され
もか@リムるな危険
1,469
2
黒猫ている
2,077
「先生。これってこうなってこうだから、これが答えなんじゃないですか?」
「……天才だ」
「お父様。この商品ですが、売れ行きが悪いのでここをこうして、これをつけてみてはどうでしょう」
「……天才すぎる」
「お兄様。この訓練メニュー、一つに偏っています。こちらを加えてみてはいかがでしょうか?」
「……うちの妹、天才なんだが」
「お母さま。体調がすぐれませんか? わたしから本日のお茶会の件、お断りを入れておきましょうか? もしくはわたしが参加いたしましょうか?」
「……いいのよ。大丈夫。ありがとうね」
王都の北に、この国の物流を担う商会があった。
その名も「ルブラン商会」。
数多の「天才」と称されるものを輩出してきた家柄でもあり、非王家と親密にかかわっている数少ない家でもある。
そんなルブラン商会の次女、スティファニー・エル・ルブランは、早くも天才として名をはせていた。
薄い桃色の髪は国花のように美しく、緑色の目は若葉のように輝いている。
そんな可憐な見た目からは想像できないほど、彼女は飛びぬけていた。
数学者でも頭をかかえる問題を出せば三日で解き、騎士のトレーニングメニューを渡せばより効果的なトレーニング方法を教えてくれる。
彼女はいわば、便利屋であった。
しかし、それを苦に思わないのには、理由があった。
「ルーク!」
友人で会ったルークという少年がいたからだ。
スティファニーは、自分が利用されることがいや、というわけではない。
ただ単に、それで自分の大切な人が悲しむのがいやなのだ。
「ルーク、あのね、」
「うん」
ルークはこの国では珍しい黒髪を持ち、それは王家の特徴とされていた。
けれど、そんなことはまだスティファニーは知らなかった。
それを知るのは今から七年後--スティファニーが十五歳になった時である。
「ルーク! 見て!」
「きれいだねぇ」
庭で仲良く花を摘むスティファニーとルークを窓から見つめる女性。
スティファニーの母、エルザであった。
エルザは当時から、ルークが王族のものであると知っていた。
知っていながら、スティファニーを止めなかった。
「ああ、ティファ……」
彼女は、七年先の未来を読むことができる、「七の巫女」の力を持っていた。
見えていた。
すべてわかっていた。
わかっていたからこそ、止めなかった。
今は。
今だけは愛しい子に、幸せでいてほしいから。
今だけは夢を見させてあげたいから。
「どうか、負けないで……!」
巫女は、空に祈った。
コメント
1件
ああ、第2話めっちゃ良かった…! スティファニー、優秀すぎて逆に「天才」って言葉が軽く感じるレベルなのに、本人はルークのためなら頑張れるってのがもう尊い。最後の母エルザの視点で「七の巫女」の未来予知と「今だけは幸せでいて」の願いが刺さりすぎた。この先に何があるのか気になりすぎる…! 続き待ってる🔥